100万ℓの血涙

唐草太知

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そこは砂砂漠(すなさばく)だった。
気温は熱かったが湿度は乾いていたため苦痛ではなかった。そんな場所での出来事だった。
目の前には1人の女性が居た。
それは美しい女性だった。
長い髪をなびかせ、ドレスアーマーを身に着ける。
けれど、仄暗い黒い目をしている。
手には槍が握られていた。
「貴方を愛してます」
それは告白だった。
女性は照れくさそうに笑い、今か今かと俺の返事を待っていた。
「答えはNOだ」
俺は手に持っていた剣で彼女の心臓を突き刺す。
「がっ・・・」
「悪いが、俺が愛してる女性はお前じゃないんだよ」
剣を強引に力で回転させて心臓へのダメージを増やす。そうしてから剣を抜くのだった。
「げほっ」
彼女は喀血する。
そして、その場に倒れこむのだった。
乾いた砂漠には彼女の血が実に良く染み渡る。
「これで30・・・」
俺は呟いた。
血塗られた剣をしまう。
そして自宅へと帰るのだった。
軽装の鎧を外して、防具立てにつける。
俺はラフな格好になるのだった。
部屋は家具で溢れてる。
一人暮らしの俺には不似合いなほど沢山。
空いた椅子に座る。
空席が目立つ、それもそうだろう。
席が6つもあるのだから。
けれど座ってるのは俺だけ。
他は誰も座っては居ない。
料理は得意ではない、けれどそうもいってられない。作ってくれる女性が居ないのだから自分で作るしかない。料理は相変わらず不味い、俺は下手なんだなと思うが上手になりたいとも思わない、味が不味かろうと栄養にさえなればいいのだから。作れる料理はスープ。といっても野菜とか肉を突っ込んで鍋で煮込むだけ。
特別な味付けは無い。
俺はふと絵を眺める。
俺と二人で描いてもらった絵。
俺は面倒くさそうな顔をしてるが、
女性の方は酷く嬉しそうな顔だった。
そこには先ほど殺した女性と似ている姿があった。隅にはサインが描かれてる。
”Enatria(エナトリア)”
懐かしい、
彼女を殺したら余計に会いたくなる。
そんな風に感傷に浸ってる時だった。
ドアがノックされる。
「あのぉ・・・」
知らない女性の声だ。
初めて聞く。
俺は警戒して武器を手に取る。
そして、ドアから離れて声をかける。
ドアに近づいた状態で声を出すと、
槍を突き刺して殺される危険性を考えての子だった。
「名乗れ、お前は誰だ」
「仲間にしてください」
「はぁ」
敵かと思ったが変な訪問客か、
警戒して損したと思う。
「あの、貴方の力になりたいんです。
結構役立つと思うんですよ、自分」
「帰れ、俺に仲間は必要ない」
面倒くさくなり、俺はソファーで眠る。
ただでさえ先ほど戦ったのだ。
疲れてるんだ、変な奴の相手をしてるほど暇じゃない。
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