君をヒモにしてくれる魔女か、君を食い殺す魔女か

唐草太知

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みるくす

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仮面で顔を隠し、唇だけを露出してる変わった女性に言われる・
「君は一週間後に死ぬんだ」
突然の事だった。
「だが、助かる道はある」
「教えてくれ、何をすればいい」
「魔女を・・・殺せばいい」
「分かった」
俺はこうして、
血の一週間と呼ばれるblood weekに参加することになった。

ルールはこうだった。
一週間のうちに7つの城を攻略する。
そうすることで冷刻の魔女と呼ばれる彼女に会える。
そうすれば死なずに済むと。
だから、俺は参加しなければならない。
死ぬわけにはいかないのだから。
「ここか」
植物に覆われた城に入る。
「いらっしゃい」
「この城の主か」
「そうだよ」
三角帽子を被った魔女がそんなことを言う。
「お前を殺しに来た」
「いいよ、殺しても」
魔女は両手を広げて俺に殺されても良いと言ってくる。
「意味が分かってるのか」
「うん、わかってる」
「なら」
「僕を殺せば君は生きれるんだろう?」
「それは、そうだが」
「だったら僕を殺してよ、僕の命よりも君の命の方が大事だ」
「どうして、そんな風に言えるんだ。
人は自分の命が一番の筈だ、なのに、どうして」
「それは・・・うーん・・・そうだな。
見て貰った方が早いかな」
「何を」
「えい」
魔女は目の前で自分の首を掻っ切った。
そして首がぼとりと落ちるのだった。
「うわあああああああ!」
俺は思わず悲鳴をあげる。
無理も無いだろう、目の前で、首が落ちたのだから。
「あははははははは」
首だけになった魔女は笑っていた。
「な、何で笑えるんだ!?」
死んだはずなのに、彼女は楽しそうに笑う。
俺は気が変になりそうだ。
「僕はね・・・魂が複数あるのさ。
1度くらい死んでも別に構わない・・・さぁ・・・
これで君の命は救われるんだろう?」
「あぁ・・・多分・・・そうだ」
「せっかく来たんだ、茶でも飲んでいきなよ」
「いいのか?」
「構わないよ、この城に人が来るのは珍しいんだ。
僕は人が好きなんだ、だから、お喋りしよう?」
「分かったよ」
「あぁ・・・そうだ・・・首を持ってってくれ。
しばらくすれば身体が元に戻る」
「全く、気が変になりそうだ」
俺は首を拾って、歩き出す。
「違う、違う。
そっちの扉じゃない」
「こっちであってるか?」
「あってるよ」
首だけになったにも関わらず、彼女はずいぶんとお喋りだった。
「しっかし、もっと、何て言うか、
こう殺伐するのを想像したんだが」
「何だ、君は女の子に責められたいのか。
とんだドMだな、まぁ、否定はしないよ。
性癖は自由だ」
「いや、そういうことではなくてだな」
「では、どういう意味だ」
「俺は魔女を殺せって頼まれたんだ。
だからさ、普通は殺すってのは相手から嫌われる行為だろう」
「そうだな」
「だからさ、俺は魔女に嫌われてもいい。
そんな覚悟で俺は自分自身の命が助かるために
魔女の命を犠牲にしてでも生きてやる・・・。
そんな気分で城の攻略に臨んだんだがなぁ」
「あははははは、
魔王のように振る舞えば君の好みになったかもしれないな」
首だけの魔女は楽しそうに笑う。
「笑いごとか?」
「楽しいのだ、笑いたくもなるさ。
さっきも言ったが、僕は人が好きなんだ。
だからね、君が来てくれて嬉しい」
「そう・・・なのか」
「あぁ」
首だけの彼女はニヤッと笑う。
俺は・・・こんな子を殺そうとしてたのか。
会話をしない方が良かったな。
悪い人に見えないじゃないか。
「っと、ここか?」
「そうだね。ついた」
豪華な扉に辿り着く。
「開けるぞ」
「どうぞ」
俺は扉を開ける。
真っ白なテーブルが置かれて、その周りには植物が生い茂ってる・
「座るぞ」
「構わないよ」
俺は適当な椅子を見つけて座る。
「茶は」
「今出すよ」
「首だけなのにか?」
「魔法があるからね・・・イース」
彼女はそう、唱えるとスコーンと、ハーブティーが出る。
「魔法なんて初めて見た」
「ふふ・・・そうなのか・・・君の初めてを奪ってしまった」
「変な言い方をしないでくれ」
「いいじゃないか」
「はぁ」
俺はため息を吐く。
「どうぞ、召し上がれ」
「毒は入ってないだろうな」
「首だけの僕に、そんな芸当が出来るとでも?」
「それもそうか」
俺は茶を飲む。
「美味いな」
「だろう、自信作だ。ちなみにハーブは僕が育てた」
「そうなのか」
「あぁ、ここは僕の城だからね」
「なぁ、聞きたいことがある」
「何だい?」
「話やすい、あんただから聞けるんだが」
「いいとも、何でも聞き給え」
「どうして俺は死ななければならない」
「理由は分からない、ただまぁ、こんなことをするのは、
冷刻の魔女の可能性は高いね」
「彼女に理由を聞けないのか?」
「魔女だからと言って仲良しって訳じゃないからね。
同じ種族でも仲良くなるとは限らない。
それは人間である君が一番よく分かってると思うが」
「そうか」
「他に聞きたいことは?」
「血の一週間って何なんだ」
「魔女のお祭りって所かな、魔女が主催して、
客である人間を呼び出す。そうして祭りは始まるのさ」
「どうして魔女を殺して俺は生きれる?」
「それが祭りのルールだからさ。
ルールを破ればペナルティ、
だけどルールを守れば、君は侵されない。
死なずに済むって訳だ」
「酷く悪趣味なルールだ」
「だが、1つ抜け道がある」
「抜け道?」
「それは魔女に気に入られることだ」
「魔女に・・・気に入られる?」
「7つの城があるように、7人の魔女が居る。
君は魔女を殺して歩いても構わないが、
もしもお気に入りの魔女が出来たならば殺さないことだ。
何故ならば、その魔女が君を守ってくれるのだから」
「それが・・・抜け道」
「あぁ」
「じゃあ、お前に・・・」
魔女は俺の言葉を聞き終える前に、
遮って発言する。
「生憎だが、僕は人間が好きだ。
それは嘘偽りのない真実だと言える、
でもね、君の人生を背負うほど責任感がある訳じゃないんだ」
「・・・」
「でも、そうだね・・・。
君が僕に対してメリットを感じるものがあれば助けてあげるかもしれない」
「それが、お前の考えか」
「あぁ」
「なるほどね」
「この宴を理解したかい?」
「なんとなくな」
「ふふ・・・宴を楽しんでくれ」
「俺の命がかかってなければ素直に楽しめるんだがな」
俺は茶を飲む。
「面白い人だ」
クスクスと魔女は笑っていた。
「邪魔したな」
俺はこの場を去ろうとする。
「あぁ、そうだ。言い忘れてたことがある」
「なんだ?」
「抜け道って言ったけどね、
その逆もあって、悪い方に傾くこともある」
「悪い方?」
「魔女が君を守らずに、7日間を終える前に殺すってことさ」
「・・・」
「君がどんな魔女を好きになるかは分からない。
でもね、よく考えることだ。
7人の魔女のうち、誰かは君の事を本気で守ってくれる。
でもね、君の命を雑に扱うものも居る。
そのことを良く考えて、魔女を選ぶんだ・・・いいね?」
「アドバイスありがとう」
「いいんだ、気にしないでくれ。
それじゃあ、宴を楽しんでくれ・・・バイバイ」
俺はこの場を後にした。
そして、この血の一週間を乗り越えるために作戦を考えるのだった。
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