ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

Scene04 五古河逆と俺の保健室

第25話

「おう、先輩とやら」

逆が俺に話かける。
五古河逆、ごふるかわさからう。
一見スポーツマン風の美少年。
だが、その正体は凶器を隠し持つ危険な美少女だ。
年齢は俺と同じくらいだろうか。

「保健室を目指してたんだろう。
　目的は何なんだ」

彼女は保健室を見渡す。
診療机。
薬品の入った棚。
カーテンの掛かったベッド。
どこの保健室とも変わらない光景。

しかし。
天上に取り付けられた、火災感知器のような丸い物。
俺は知ってる。
あれは熱感知器じゃない。

コン、コン。
そんな感じで俺は保健室の床を踏み鳴らす。
ノック。
人の部屋に尋ねる時の礼儀。

「ウツ、見えてるだろう。
　開けてくれ」

顔は天井へ。
火災感知器のような物を睨む。
しかし反応が無い。

「ハナ紙、ご主人様が訪ねて来たんだ。
　早くしろ」

俺は怒鳴ってやった。
サービスだ。

逆はコイツどうしたんだと言う目で俺を見てる。
円花とネコも一緒。

「草薙先輩、どうしたんですの？」
「お嬢様、近付いてはなりません。
　一人で叫ぶ危険人物です」

拳銃を人に向けるメイドの方がよっぽど危険人物だ。
俺はそう思うがあえて口には出さない。

すぐに俺への誤解は解けた
床が開く。
ベッドの下。
ネコミミを付けたメイドが腰掛けてたベッドの下に空間が開けたのだ。
階段が見え、下へと続いている。
天上付近から声が響く。

「すまないね、真悟くん。
　三人も奇麗な女性を連れて来たのでね。
　ご主人様の事だ。
　保健室のベッドで四人プレイでも見せてくれるのかと思ったんだよ」

俺は地下への階段を下りていく。
円花も恐る恐るついてくる。

「お嬢様、大丈夫ですか」
「この学校には保健室に地下が有るのか。
　変わった学校だな」

円花が行くのでネコ耳メイドも凶器女もついてくる。

「先輩、逢いに行くのは保健室のヌシとか言っていましたよね。
　どんな方なんですか」
「高天原宇宙。
　非常時なら少しは役に立ちそうな知り合いだ」

高天原宇宙、たかまがはらうつと読む。

「タカマガハラ…まさか。
　別人ですね、こんな所に居るはずが無い」

なにかメイド服がブツブツ呟く。