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その1 入団試験

第22話 護衛団の人たち

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護衛団の人達はザワザワしてるわ。

「アンズーが出たのか?」
「大変じゃないか! 一般人じゃとても敵わない」
「放っておいたら、被害者が出るぞ」

うーん、あんまり心配しにゃくていーわよ。

「にしても一人であの#魔物_ダェーヴァ__#を倒すとは……」
「さすが、トーヤー!」
「あの若さで四番隊の隊長を任されるだけの事はあるぜ」

人びとの視線の先にはトーヤー隊長。
ふーん。
有名人にゃのね。
少し愛想無いけど、美人だし当然かしら。

「けっ、どこまで本当だか。
 あの死体だってライオンの頭は付いてねー。
 少しデカイ鷲を青く塗ったんじゃないの」

そんな憎まれ口をたたいてる男がいるわね。

「サイラス、トーヤー隊長が嘘をついてるって言うのか」
「へっ、そこまでは言わないがな。
 いくらトーヤーでもアンズーを一人で倒したってのはよ。
 相手は腕利きが数人がかりでも苦戦する#魔物_ダェーヴァ__#なんだぜ。
 しかもヴァウーザカも三体居たってんだろ。
 どうやって一人で倒すんだっての」
「そう、言われると……」

にゃによ、こいつ。
トーヤーさんがウソツキにゃら、一緒に居るエステルちゃんまでウソツキににゃっちゃうじゃにゃい。
一発ぶんにゃぐってやろうかしら。
あたしが必殺のネコパンチを準備してると、トーヤーさんが大声を出すの。

「自分一人でアンズーを倒したのでは無い。
 この少女も一緒だ。
 エステルくんはまだ若いが、大したルドラ神の加護の使い手だぞ」

トーヤーさんってばエステルちゃんの手を引いて男達の視線の前に連れ出すの。

「えっ、えっ?!」

エステルちゃん、ビックリしちゃってるじゃにゃい。
周りに居る大人たちの視線を一身に浴びてる。
みんな護衛団の団員、プロの戦士達。
その厳しいマナザシにエステルちゃん、緊張しちゃってるわ。
揃いの武装の男の人たち。
いつも#魔物_ダェーヴァ__#と命懸けで戦ってる男達の視線。
エステルちゃん耐えられにゃくにゃってる。
足が震えてるの。


「さっすが、エステル。
 アタシの親友なだけはあるわ」

大きい明るい声を出したのはステュティラちゃんね。
エステルちゃんの隣に行って手を握ってる。
緊張してたエステルちゃんもホッとしたみたい。

「みんなー、アタシも一人で#魔物_ダェーヴァ__#倒したのよ。
 ついてたアレシュがアルミラージにぶっ飛ばされたトコロを
アタシの大活躍で逆転よ。
 アタシたちは大したモノなのよー」

団員たちの前で手を振るステュティラちゃん。
男の人達が笑いだすわ。

「あれ、ステュティラちゃんじゃないか」
「オレが通ってる道場の娘だ」
「子供だけど剣の腕はちょっとしたもんだぜ」

場の雰囲気は凄く和やか。
口笛を吹いたり、拍手をする人もいる。
護衛団の人たち、コワイ戦士ばかりかと思ったら結構ノリの良い人たちじゃにゃい。 
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