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その5 幕間

第68話 スゴイ気配

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『虎タル』さん『逃げ足のグレイ』さんから後で聞いたおはにゃし その3

「でも、まーあの子は頑張ってるじゃにゃいか」

『虎タル』さんが言ってるのはエステルちゃん。

「はい、最初はケガ人を見てショックを受けてたってのに、もうすっかりにゃれたもんですみゃ」

「包帯を巻くのも手際いーにゃ」
「さっすが、天使サマの家族ですみゃ」

「……その天使サマってにゃんにゃんだ?」
「にゃんと『虎タル』の旦那、天使サマをご存じにゃい?
 それは人間たちの言う神様の遣いですみゃ」

「神様の遣いねぇ」
「ええ、世界ってのは広いでしょう。
 神様だけじゃ面倒みきれにゃい。
 そんにゃ時、神様を助けて働くのが天使サマってワケでさあ」

「にゃるほどにゃ。
 するってえと、みゃーのアネゴと俺らの関係みたいにゃモンだにゃ」
「そうっすね。
 じゃぁみゃー様はバステト神様の天使サマ。
 俺はその天使サマの天使サマってコトですみゃ」

そこにわたしが居たら、天使サマって言うにゃーって引っかいてやるトコロにゃんだけど、いにゃかったから仕方にゃいわ。


「おいっ! グレイ」
「はいっ! 虎タルの旦にゃ」

二にゃん組はその時スゴイ気配を感じたそうよ。

「……コイッツは手強いネコだにゃ」
「……猫にゃんですかい、猫にゃんですかい」

「お前だって猫だ。
 分かんだろ、これは猫の気配だよ!」
「確かに! 猫に近いような気配はしますけど!
 こんにゃの猫じゃにゃい、猫じゃにゃいですぜ」

『虎タル』さん、横に大きいトラ猫は怯えてる。
ふるえにゃがら太った全身から汗を垂らしているの。

『逃げ足のグレイ』さん、片目に傷の有る背の高い灰色猫はビクついてる。
長い灰色の尻尾を丸めてお腹の中に隠してるの。

そこに近付いてくる存在。
木々の間を歩いて行く。
だから、護衛団の人たちには感づかれていにゃい。

「アネゴに、みゃーのアネゴにしらせにゃきゃ」
「しかし、みゃー様はエステルさんを守って、とも言ってみゃしたぜ。
 俺らが二人とも行っちまう訳には……」

「にゃら、グレイ、お前行け。
 あの娘っこは俺に任せろ」
「でも『虎タル』の旦那、
 あんなの相手に、いくら旦那でもにゃにも出来ませんぜ」

「だからっ!
 ……お前、ひとっ走りしてアネゴに知らせてくれ。
 アネゴに伝えられるのはお前の逃げ足しかねえ。
 ……ここは俺に任せときにゃ」
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