スキルテスター！本来大当たりなはずの数々のスキルがハズレ扱いされるのは大体コイツのせいである

第四章カマヤロウ考察編

考察10::カマヤロウ、四人の日替わりスキルをまとめる

　ジェニファーに捕まって、魔王城に連れて行かれてから数日後。ヒースはこっそりとテスターに語りかけた。

(馬鹿金髪、聞こえるか？)
(こいつ、直接脳内に！)
(そういうボケはいらん。アタシ今マジで死にそうやねん。神様からエネルギー供給されてへんよって。せやから、これが最後のお願いや)
(一生に一度のお願いという奴だな。何だ？)
(お前はマーガレットと一緒に生きるんや。次にジェニファーが魔族にならないかと誘ってきたら契約せえ)

　それがヒースとテスターが最後にした会話だった。この後テスターはジェニファーに従い魔族化、マーガレットも続いて堕天使となり、その契約の最中ヒースは人知れず消滅していた。

　だが、ヒースは生きていた！テスターの脳内に直接！そう、思念体となり寄生し続けていたのである！

　そんな事出来るのか？出来る、出来るのだ。マーガレットがまだ天使として実体を持たず大賢者のスキルでしか無かった頃、彼はどうやって生きていたのか？それは他のスキル同様テスターの脳内に居たと考えられる。だから、ヒースは賭けに出た。敵にも味方にも気づかれず、思念体としてテスターの中に留まり、隙を見てジェニファーを倒す。

　思念体として生き残るという最初のハードルは楽に突破出来た。四姉弟の規格は見た目と戦闘スタイル以外は共通している為、脳内に本体を移すのは上手く出来た。また、テスターが神と魔王と二重契約し頭の中が凄くやかましい状態になっていたのも幸いし、そこにヒースが加わってもテスターは違和感に気付く事は無かった。

　後は、テスターに流れ込み続ける莫大な魔力をチューチューして少しづつ実体を取り戻し、準備が整えばテスターを内側から操りジェニファーを倒す算段だった。

「で、テスターのコントロールを完全に得たタイミングで、アンタらがジェニファーと渡り合ってたから、今がチャンスとばかりに仕留めれたって訳や」
「やり口が天使の所業じゃないわ！悪魔の発想よ！」

　アレックスの非難は若干ズレていた。ヒースは悪魔の様に立ち回り悪魔を上回ったのでは無く、ただ単に失敗を想像出来なかったアホがアホ故に思い切った事をしてしまい、それが奇跡的にクリティカルしただけである。

「まあこの人？天使？は味方って事でいいんゴブね？」
「せや、そこは信用してーな」
「分かったゴブ。家族の仇討ちしてくれてありがとゴブ」

　なお、リブの実の父ブリダイコンを殺したのはテスターとヒースであり、テスターはブリダイコンに四～五回殺されている。お互いその事を知らないのは幸いだった。

「さてと、おい起きろ馬鹿金髪！魔王倒したいんやろ！」

　話を終えたヒースは、テスターの開きっぱなしの口に青い薬瓶を放り込む。すると、怪我も火傷も修復されていき、魔族化と頭の悪さ以外治療された。

「悪いのはジェニファー！アンタもこいつらもジェニファーのせいで敵対してた！ハイ、仲直り！」
「いや待てヒース、俺はマリアを見つけて貰う契約をあの堕天使としていてだな」
「殿下、我が娘マリアは貴方様が捕まって暫く後にジェニファーに捕まりました」
「えっ？…えっ？」

　クレイムの言葉を聞き、しばし沈黙するテスター。

「…えっ？つまり、もうマリアは見つかっていて、えっ？でも俺はそんな事聞いてないし。えっ？」
「多分、あの魔王がマリアさんちゃうかなあ？ジェニファーのアホがこの戦いにマリアさん人質に使わんかったから、消去法でもうあの女魔王のガワがそうとしか考えられへん」
「あのぺ天使！俺を騙したのか！やろうぶっ殺してやる！」
「もう死んどる」

　こうして、テスターが人側サイドに戻り、スキル試用者が遂に揃ったのだった。

「さて、時は一刻を争うな。魔王を倒しに行くなら今しか無い」

　仕切り屋のクレイムが急ぐべきと意見する。

「敵は今油断しているはずだ。しかし、最強の堕天使の死とテスタメント殿下の離脱を知れば、残りの戦力で立て直してくるだろう。その前に魔王と決着をつけ、可能ならばマリアを取り戻したい」
「お父さん、そうは言うけどさ、ピスタチオにどうやって行く？俺だけなら死にワープ出来るけど」

　ここに来て話は振り出しに戻った。インゲンの漁師は船を出してくれないし、ツワモノ達で作ったニクちゃん丸はテスターが燃やしてしまった。

「皆で力を合わせたらどうにかなるかも知れないわ。魔王を倒す為のスキルなんでしょ？」
「「「「「それな」」」」」

　読者の皆様お待たせしました。よーやく、神が試用者に貸し与えたスキル全公開です。ここまでホンマ長かった。


【スキル日程】
一日目
テスター:鑑定
クレイム:ラッコマン
ニクちゃん:暴食
リブ:解毒
二日目
テスター:無詠唱魔法
クレイム:縮地
ニクちゃん:剣聖
リブ:影縛り
三日目
テスター:ポーション制作
クレイム:ラッコマン
ニクちゃん:経験値百倍
リブ:性転換
四日目
テスター:現代日本知識
クレイム:縮地
ニクちゃん:オートクラフト
リブ:ゴミ拾い
五日目
テスター:アイテム増殖
クレイム:ラッコマン
ニクちゃん:農業
リブ:嘘感知
六日目
テスター:大賢者
クレイム:縮地
ニクちゃん:ステータス振り直し
リブ:急所突き
七日目
テスター:死に戻り
クレイム:ラッコマン
ニクちゃん:支援魔術
リブ:合成術
八日目
テスター:英雄ガチャ
クレイム:縮地
ニクちゃん:スキルコピー
リブ:器用貧乏
九日目
テスター:自爆
クレイム：ラッコマン
ニクちゃん:テイム
リブ:ネットスーパー
十日目
テスター:婚約破棄
クレイム:縮地
ニクちゃん:アイテムボックス
リブ:鍋奉行

「できたわ！補足すると、リブは何時でも鑑定が使えるわ。それと、死亡復活は四人共通だけどマトモに使った事があるのは殿下だけね」
「ハッハッハ、死亡復活のコツは心臓をナイフで一突きだ。お前らも練習しとけ！」
「誰がするかゴブ！それでパパ、今日はリブのスキルはゴミ拾いだから、このアホが現代日本知識？ってのでカスヤロウが縮地、肉ちゃんがオートクラフトで合ってるゴブ？」
「そうよ。という訳で皆さん頑張って！スキルの無い私は雑用でサポートするから」

　取り敢えずインゲンに向かいながら、毎日のスキルで何が出来るか考えながら移動するのだった。