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変化④
しおりを挟む「まぁ、いいや。編集長に相談しよっと」
「僕じゃダメ?」
「仕事で知り合った人だと思うから」
「琴里の仕事は秘密が多くて心配だな」
「あーちゃんが顧客情報を言えないとの同じだよ。銀行って預金高とかパソコンで一発でわかっちゃうんでしょ? 私から言わせたら、それの方が闇だわ」
「まぁ、そうだけど」
「マニキュア塗ってみたい?」
「どうしてわかったの?」
「ずっと見てるから」
わたくしがどの色がいいかと尋ねると、全部いいと言って選んでくれません。
「琴里が夏に足の爪に塗ってたの、可愛かったな」
「ペニキュアはネイルサロン行ってたからな。上手くできるか分からないけど」
「やってくれるの?」
「今日だけサービスね」
彼女の足を膝に乗せ、マニキュアの小瓶を取った左手が急に痺れて落としてしまいました。
「大丈夫?」
「うん」
痺れはすぐに引きましたが、妙な感覚を残した左の手のひらを確認するように見ていましたが、特に変わった様子はありません。気のせいだろうと彼女の足の爪にペニキュアを塗り、ふーふーと息を吹きかけるとくすぐったいと笑っています。
「今夜、また久月さん行く?」
「このままでいたいから、お家でご飯がいい」
「靴下はけば外でれるでしょ」
「靴下はくのがもったいない」
彼女は女の子の足だと感激しています。向き合って彼女の顔に化粧水をパッティングしてあげると、気持ち良さそうにしています。
「しみ込め、しみ込めって念じるんだよ」
「わかった」
彼女の肌は綺麗です。化粧を今までしていないぶん、くすみがありません。少し眉を整えましたが、それ以外は彼女自身で化粧していきます。
「こうやって女の子になるんだね」
「そう。あーちゃんのスーツと一緒。武装するの」
「琴里は戦う女だね。あの琴里の好きなブランドの華奢なヒールとか、踏まれたら死ぬ」
「靴はおしゃれの全てが詰まってると思ってるの。良い靴を履いてると背筋が伸びるし、逆にどんなにおしゃれしていても靴がくたびれていたら残念に思う」
「確かに」
「良く側溝にハマって引っこ抜いてるけど。あーちゃん、上向いて」
「それは?」
「マスカラ。青いのつけてみようか」
「青?」
「ミッドナイトブルー。黒よりも少し柔らかくなるし、しっとりした雰囲気になる」
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