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22 ロキ→オズウェル→ロキ
クロから変な首輪を付けられた日。ついにオレはリンと結ばれた。
リンの中は柔らかくてあたたかくて、ひとつになれた幸せにもう死んでもいいって思えた。
まあ、それは言葉の綾なんだけどさ。だって、オレが死んだらリンも死ぬって言うんだから。
いつ死んでもいいって思いながら生きてきたのに、今は絶対死ねないなって思うんだ。
エッチの後、一緒に眠るのって気持ちいいんだね。体はもうつながっていなくても、ずっとひとつのままみたい。
「おはよう、リン。昨日ので髪がくしゃくしゃだ。梳かさなきゃ。……白い肌に赤い髪がきれいだね。そろそろ服着よっか」
「ロキ、首元を見せてくれ」
「ん? どうぞ」
「んふふふふっ、鏡を見てこいっ」
妙にうれしそうなリンに急かされて鏡の前に立つと、昨日クロに付けられた首輪のような文様が赤色に染まっていた。
「赤い……」
「ああ、私の赤で上書きしてやった」
「そんなこと出来るんだ?」
「やってみたら出来たというか。私の執着心の勝ちなのだ」
オレが死にかけた夜、リンは魔法を読み解き辿る能力を手に入れたらしい。
このクロに付けられた文様にはいろんな効力があって、消すには惜しいんだそうだ。
伴侶の縁でつながったリンにも同様の効果があるから、都合のいいとこだけいただいたと笑っていた。
「へー、リンってすごいんだね! オレの首輪はリンの色。わん!」
「おまえは私の大切な犬だからな。誰にも渡さんぞ」
「わん!」
◇◇◇
――兄さんを失ってから、はや数年が経った。
抜け殻のようになった俺は、周りの人の手を借りて少しずつ気力を取り戻していった。
俺を待ち続けてくれたクレマンティーヌとの結婚。そして、二人の子どもに恵まれた。
今思えば、兄さんの存在すら夢だったかのように思える。
隣国の会議に出席するため、通りかかった辺境。
天高くそびえる大樹の枝葉で覆われた鬱蒼とした森の様子が、馬車の窓からうかがえる。
人の気配のない暗い森に、聞き慣れぬ野獣の遠吠えが響く。
国の施策で少しずつ開拓を進めてはいるが、まだほんの一部に手を入れたに過ぎない謎めいた土地。
足場の悪い辺境の道は、最高級の王室の馬車でさえ、車輪を軋ませた。前後に数十名の騎兵がつき、守られてはいるが、それでも身の不安を感じた。
俺はここに兄さんを飛ばしたのか――
ふと、生い茂る大樹の間を、高速で移動する赤いものが見えた。高い笑い声が森に木霊する。
ここには魔物が棲むというし、悪戯な精霊もいるだろう。
俺は手の中の資料に目を移し、これから行われる会議のことを考えた。
兄さん、ごめん。俺は取り返しのつかないことをした。その代わり――この国は確りと守り抜くよ。
◇◇◇
「ロキっ!ロキっ!南の森に木苺採りに行こー!」
「ちょっと待ってね。籠の準備するから」
「いっぱい採ってジャムを作るのだ。甘酸っぱくて美味いっ!」
「リンはジャム大好きだもんね。はい、背中に乗って」
オレはリンを乗せて、大樹の森を疾走した。
体は小さくなったが、リンから風魔法のちゃんとした使い方を教わり、以前と同じくらいに速く走れるようになったのだ。
「あはっ!ロキ、もっと速くー!」
「しっかり掴まっててよ」
「速いっ、速いぞっ、あははははははははっ!」
縛られていたはずの孤独な辺境は、リンとふたりだけの楽園になった。
オレたちは歳をとらなかった。
魔物や病にも侵されなかった。
ただ今までのさみしさを補うような、限りのない愛だけがあった。
いつまでもこんな日が続くといい。
そう思いながら、オレは前に向かって大きく足を踏み出した――
◇おわり◇
これにてこのお話はおしまいです。
お読みくださり、ありがとうございました!
よかったら感想をお聞かせくださいまし。
では、またの!
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はな様、お読みくださり、感想までくださり、誠にありがとうございます!
純情わんこ系男子ロキを好いてくださり、ありがとうございます。
リンと二人で末永く辺境の森を暴走していただきたいと思います。
今作はなるべくストレスを少なくして楽しく読めるように、意識して書きました。
はな様のお心にも負担があまりかからなかったようでよかったです。
キラキラしたものがほとんど出ない地味なお話でしたが、最後までお読みくださりありがとうございました!わーい!