魔法少女は働かない

最果ての気球

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序章

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 魔法の衝撃波が迸る。それが体に激突して、大和は顔を顰める。衝撃波はすぐに何事も無かったかのように消え失せたが、それでも大和の体を強かに打ち付けた。
 大和は今、瓦礫の山と化したオフィスビル街の一角で魔法の衝撃波を浴びながら前へ前へと歩いていた。ある場所を目指して。
 一歩動く度に激痛が走る。これ以上、衝撃波を受けようものなら、死ぬ可能性もある。
 でも、前進を止めるわけには行かない。今はもうやるしか無いのだから。
 彼の視線の先には、ボロボロのワイシャツとスラックスに身を包む男の姿があった。
 彼は目に太い血管を浮かび上がらせ、白目は殆ど真っ赤に染まっている。髪はボサボサ、頬はこけて、頭から夥しい血を滴らせ、体のところどころが血で汚れている。
 彼はうわごとのように俺は悪くない、俺は悪くないと呟き、虚空を見詰めていた。そうして、時折激昂したように俺は悪くない!と叫んで、全身から衝撃波を迸らせている。
 男は、この周辺が瓦礫の山と化した元凶であり、同時に利用された存在でもあった。
 彼は無理矢理超常の力、魔法の力を与えられた。
 だけど、それを使いこなす事が出来ず、今はあの有様である。
 彼は魔法の力を与えられて、犯罪を起こすよう、彼は利用されたのだ。
 よく目を凝らせば、足が小刻みに揺れており、立っているのもやっとなようだ。既に相当な量の血を流してしまった。魔法の力が制御出来きていないので、自分の体すら傷つけている。
 恐らくもう限界は近い。
 急がなければ、男は死に至る。彼を救うんだ! 絶対に!
 大和はその決意を旨に男の元へと辿りつこうとしていた。
「アンタ、無茶よ!」
 背後で必死に叫ぶ声。軽く振り返ると、頬から汗を流す見目麗しい少女の姿。彼女は大和の相棒であり、男を止める為のカギを握る人物。桜の姫と書いて、さつきという名の少女だ。
「大丈夫、僕が絶対何とかする!」
 大和は少女に答え、再び全身しだす。男の体から放たれる衝撃波を体に浴びながら。
 そうして、大和は走馬灯のように、今の状況に至るまでの事を思い出した。
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