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なんでこの人からプロポーズされているの?
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「スカーレット嬢。あなたがグレイに婚約破棄をされたのならば、次は私と婚約をお願いしたい」
舞踏会の会場に新しい風が吹き込んだ。
スカーレットはこの状況が呑み込めていない。それは傍からスカーレットのことを婚約破棄した直後のグレイも同じのようだ。
すこしちょっと前の話をしよう。
「スカーレット。私はスカーレットと婚約破棄をする! もう金輪際僕の前に現われないでくれ」
(やった。やっと婚約破棄をしてくれた! ありがとう、グレイ!)
スカーレットは婚約者であるグレイに婚約破棄をされたばかりだというのにも関わらずあり得ないくらい嬉しそうな顔をしている。
「いいか、スカーレット? お前の今までの行動にはもううんざりだ。僕は君のことを尊重していたのにもかかわらず、君は自分勝手な行動ばかり。もう我慢できない。君とは一生を共にすることは出来ない!」
「分かりました。では婚約破棄をしましょう」
嬉しさのあまりスカーレットは前向きな発言をしてしまった。グレイは今の歓喜の表情に唖然としている。
(ダメだ。ダメだ。私はもっと悲しそうな表情をしないといけないのに。そうしないとこれまでの努力がすべて水の泡になってしまうかもしれない)
いままでスカーレットは好きでもないグレイと結婚させられそうになったために、さんざん自分のダメなところをグレイに見せることでグレイがスカーレットのことを好きでなくそうとしたのだ。
そして、その作戦は上手く功を奏した。
今のようにグレイはスカーレットに婚約破棄をして、ちょうどいまスカーレットは振られているのだ。
(さあ、もうこんなところで踊る相手はいなくなったんだし、さっさとここから出ていこうっと!)
スカーレットがこの場所から逃げようとしたその時だった。
「ちょっと待った! スカーレット嬢。君に話がある」
一人のイケメンがスカーレットを呼び止める。
(えっ? スカイ王子じゃない。そこまで関りはないけど、どうしてこんなところに?)
スカイ王子。
かれは別名氷結王子とも呼ばれていて、非常に凛とした顔立ちをしているものの女性や恋愛嫌いがあるらしくあまり女の子は得意ではないようだった。
そんな王子がスカーレットに何の用かと思う。
一応つながりはあるけれども、そこまでいい印象を持たれているとは思えない。
いちどスカイ王子と他の数人でグループ活動をしている中で彼がした間違いに私だけが気づいてそれを指摘したくらいだ。そんな人に用事があるとは思えないのだけれど、とスカーレットは思った。
「スカーレット嬢。あなたがグレイに婚約破棄をされたのならば、次は私と婚約していただきたい」
その一言に女性陣の歓声が上がる。スカイが初めて女性を誘っているのを見てみんな驚愕をしているのだ。
「ひとつ聞いても良いですか? どうして私なんですか?」
「それは君が非常に強い女性だからだよ。私に臆することなく意見を言えるような人が僕は好きなんだ」
「ああ、そういうこと」
きっとグループワークをしたときに間違いを指摘したときのことをいっているのだろう。それ以外に彼との設定がないからそうだと思う。
「どうかな? 私との婚約を受けてくれないか?」
「ちょっとまて、どうしてスカーレットにそんなことを言うんだ。彼女は俺の……」
「スカーレットが君のなにかな? 君は今さっき婚約破棄をしたじゃないか」
「そうだけど」
「もしかして君は自分の元婚約者がすぐに他の男のものになりそうと思って、急に独占欲でも出しているのかい?」
「ち、違う」
「ならば黙っていてくれ」
グレイはスカイに簡単に言いくるめられてしま手、本当に黙り込む。
「どうかな、スカーレット? 私と婚約していただけないだろうか?」
「お断りします」
初めに言っておくとこれは完全に想定外の出来事だった。私はグレイと別れた後に一人で生きていくつもりだったし、結婚する人もいないだろうと思っていた。
そして、スカーレットはスカイとほとんど関りがない。
そんな相手と結婚できるわけがなかった。
「私は一人で生きていきたいわ。だからあなたと結婚することは出来ないわ」
「そんなところも芯があって素晴らしいと思うよ」
スカーレットは黙ってこの会場を出ていく。その後の会場にはスカーレットに対する尊敬の念が集まっていた。
舞踏会の会場に新しい風が吹き込んだ。
スカーレットはこの状況が呑み込めていない。それは傍からスカーレットのことを婚約破棄した直後のグレイも同じのようだ。
すこしちょっと前の話をしよう。
「スカーレット。私はスカーレットと婚約破棄をする! もう金輪際僕の前に現われないでくれ」
(やった。やっと婚約破棄をしてくれた! ありがとう、グレイ!)
スカーレットは婚約者であるグレイに婚約破棄をされたばかりだというのにも関わらずあり得ないくらい嬉しそうな顔をしている。
「いいか、スカーレット? お前の今までの行動にはもううんざりだ。僕は君のことを尊重していたのにもかかわらず、君は自分勝手な行動ばかり。もう我慢できない。君とは一生を共にすることは出来ない!」
「分かりました。では婚約破棄をしましょう」
嬉しさのあまりスカーレットは前向きな発言をしてしまった。グレイは今の歓喜の表情に唖然としている。
(ダメだ。ダメだ。私はもっと悲しそうな表情をしないといけないのに。そうしないとこれまでの努力がすべて水の泡になってしまうかもしれない)
いままでスカーレットは好きでもないグレイと結婚させられそうになったために、さんざん自分のダメなところをグレイに見せることでグレイがスカーレットのことを好きでなくそうとしたのだ。
そして、その作戦は上手く功を奏した。
今のようにグレイはスカーレットに婚約破棄をして、ちょうどいまスカーレットは振られているのだ。
(さあ、もうこんなところで踊る相手はいなくなったんだし、さっさとここから出ていこうっと!)
スカーレットがこの場所から逃げようとしたその時だった。
「ちょっと待った! スカーレット嬢。君に話がある」
一人のイケメンがスカーレットを呼び止める。
(えっ? スカイ王子じゃない。そこまで関りはないけど、どうしてこんなところに?)
スカイ王子。
かれは別名氷結王子とも呼ばれていて、非常に凛とした顔立ちをしているものの女性や恋愛嫌いがあるらしくあまり女の子は得意ではないようだった。
そんな王子がスカーレットに何の用かと思う。
一応つながりはあるけれども、そこまでいい印象を持たれているとは思えない。
いちどスカイ王子と他の数人でグループ活動をしている中で彼がした間違いに私だけが気づいてそれを指摘したくらいだ。そんな人に用事があるとは思えないのだけれど、とスカーレットは思った。
「スカーレット嬢。あなたがグレイに婚約破棄をされたのならば、次は私と婚約していただきたい」
その一言に女性陣の歓声が上がる。スカイが初めて女性を誘っているのを見てみんな驚愕をしているのだ。
「ひとつ聞いても良いですか? どうして私なんですか?」
「それは君が非常に強い女性だからだよ。私に臆することなく意見を言えるような人が僕は好きなんだ」
「ああ、そういうこと」
きっとグループワークをしたときに間違いを指摘したときのことをいっているのだろう。それ以外に彼との設定がないからそうだと思う。
「どうかな? 私との婚約を受けてくれないか?」
「ちょっとまて、どうしてスカーレットにそんなことを言うんだ。彼女は俺の……」
「スカーレットが君のなにかな? 君は今さっき婚約破棄をしたじゃないか」
「そうだけど」
「もしかして君は自分の元婚約者がすぐに他の男のものになりそうと思って、急に独占欲でも出しているのかい?」
「ち、違う」
「ならば黙っていてくれ」
グレイはスカイに簡単に言いくるめられてしま手、本当に黙り込む。
「どうかな、スカーレット? 私と婚約していただけないだろうか?」
「お断りします」
初めに言っておくとこれは完全に想定外の出来事だった。私はグレイと別れた後に一人で生きていくつもりだったし、結婚する人もいないだろうと思っていた。
そして、スカーレットはスカイとほとんど関りがない。
そんな相手と結婚できるわけがなかった。
「私は一人で生きていきたいわ。だからあなたと結婚することは出来ないわ」
「そんなところも芯があって素晴らしいと思うよ」
スカーレットは黙ってこの会場を出ていく。その後の会場にはスカーレットに対する尊敬の念が集まっていた。
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