自由を求めて僕らは

RyugaMaki

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誕生日

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「なぁカイ、いつ、行くんだ?」
「あぁ、それだけど、俺の18の誕生日にしようかな…ってさ」
「なんで死ぬかもしれない日を誕生日にするんだよ!」

普段温厚で天然なコウが、真剣な目で食いつく。
カイは表情を崩さなかった。

「でも、出れたら最っ高な誕生日、だろ?」

ニっと笑いながら言うカイに、コウは言い返せなかった。

「絶対生き残れる。力のコウ。頭のレン。それに速さと全てを持つ俺がいれば最強だろ?」

カイ達の住む国には一部、特殊な能力を持つ血族がいた。
この3人は運命とでも言うかのようにそれぞれ能力を持っていたのだ。
身体の力が圧倒的に特化されている力の能力。頭の回転が特化されている頭の能力。様々な運動能力そしてその速さが特化されている早さの能力。
この3つを3人はそれぞれ持っていた。
そのような血族の能力を持っているものの中に、たった一家族に限り、全ての能力を持つ一族がいる。
その能力は一つ一つが完全ではないものの、普通の人間よりも全てがずば抜けている。
それをカイは持っていた。

「みんなには持ってないもんを俺達は持ってんだよ。だから、みんなの夢を叶えてやろうぜ。兵士なんてものは、そんな怖いもんじゃねぇ!ってな!」
「…うんっ!」
「おう」

2人は頷く。3人は希望に溢れていた。これから地獄を味わうことになるかもしれないというのに。

「今日はこれで解散にしよう。あ、あと最後に1つ。俺達いつも3人でいて、俺はお前らを家族みたいに思ってるけど、お前ら2人にもいるだろ?世話になった人。大切な人。俺にだっている。ここから出るとしたら、生きてるかも、帰ってこれるかもわからねぇ。…だから、ちゃんと報告と挨拶、しとけよ。……それだけだ。俺はここで作業してくよ。これから出発前日までは各自やりたいこととか、色々準備しようぜ。んじゃ、解散な」

カイはヒラヒラと手を振って工場の奥へと入っていった。いつもはここで作業するのだが、挨拶をしておけと言った時の2人の顔を見て、配慮をしたのだろう。
レンとコウの2人は、少しの間そのまま呆然とし、コウは一言も喋らず工場を出ていく。
レンもただ何も言葉を発することなくその姿を見つめていた。

しばらくしてレンは俯きギュッと拳を握ると立ち上がり、工場の奥へと進んでいった。


「……カイ」
「ん?あぁレンか」

金属の塊を手にして何やら作業をするカイが顔を上げる。その顔は、少し意外そうだった。
カイは手元に視線を戻し、レンに見えないよう、少し、悲しそうに笑った。

「レン、お前いつまで素の自分でいんの?せっかくやってきたのに台無しじゃねぇか」

レンはピクリと反応し、視線を下げた。

「…ごめん。……急にこんなこと決めてさ、普段通りなんてできねぇよ…」

頑張って喋り方までは戻したが、口調までは無理そうだった。

「……ふーん…じゃあこれは食わねえか?キャラメル味の飴」
「え、欲しい欲しいくれよ!!ねぇ!」

カイが取り出した、レンの大好物のキャラメル味になっている飴にレンは飛びついた。

「いつまでもウジウジしてる奴にはやんねーよ!」
「ウジウジなんてしてねぇよ!!意地悪い事すんなっ……ていってぇ!!?」

飴を取ろうとするレンをカイはヒラリとかわし、カイお得意の足払いを食らわせた。

「ほら、お前の調子はこうじゃねぇと、俺の調子が狂うだろ?」

飴とともに、レンに手を差し伸べた。

「…悪かったな。素は弱虫で」

レンはブスッと不貞腐れながら立ち上がる。もちろん飴を貰うのは忘れない。

「別に悪くねぇよ。いつも自分を作んなくたっていい。ただ、俺は今のお前がいいよ」

レンは目を見開いてカイを見た。

「……なんて言うんだ…?…無理はして欲しくねぇけど、俺はいつものお前を見ると安心する…んだよな、」
「…………」

少しの間沈黙が続くとカイはぐしゃぐしゃと自分の頭をかいた。

「なんか言えよ……こっちだって恥ずかしいんだからさ…」
「うわ~カイが恥ずかしがるとかめ~ずらし!」
「おいっ!……っ」

やめろと言おうとしたカイの動きが止まった。

「…ありがとう。ありがとな、カイ」

レンは、なんとも言えない、とても綺麗な笑顔をカイに向けていた。

「…おう」

カイにはそれしか答え方が見つからなかった。
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