A fused world / 融合した世界

あにゃこ

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1-3  運命の赤い糸?

3-2

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「・・・・・・さーい!」

 何か聞こえたと思ったら、勇者が運転席の外にいた。飛んで追い縋って来たようだ。あ、ワリイ、ワスレテタ。まあ飛べるから別に構わんだろ?

「待ちなさい! あなた! 今すぐこれを止めなさい! 止めろ!」

 窓枠に手を掛けて勇者が叫ぶ。何で命令口調なんだよ。向こうの女は全員こんななのか?

「やだね」

「止めないと斬るわよ!? いいの!?」

 行きは荷台のルードと話す為窓を開けていたが、帰りはいいか、寒いから窓を閉めよう。

「あっ、ちょっ」とか言ってる。ふん、知るか。

「ほれルシアよ、こっちゃ来い」

 ルードが勇者の腕を掴み荷台に乗せる。

 あ、ルード何やってんだよ。何で乗せてんだよ。荷台でギャーギャー言い合っている。いや、ギャーギャー言ってるのは勇者だけか。全くなんなんだこいつは。車内は静かになり、やっと落ち着いたと思ったら・・・・・・

「で、そろそろ認める気になった?」

 そうだ・・・・・・まだこいつがいたんだ・・・・・・

「・・・・・・まだ言ってるのかよ・・・・・・俺は触って無い」

「触った」

「絶対に触って無い」

「絶対に触った。触りまくった。揉みしだいた」

「・・・・・・ミカって呼んでいいか?」

「さっきいいって言った」

「そうだな、じゃあミカ、俺が何を揉んだって言うんだよ? いいか? 俺は脇の下に手を入れてそっちに移動させただけだよな? 何でそんな事言うんだよ」

「私の胸は脇の下にある」

「うそこけ! さっき無い胸があるとか言った時、ここに手ぇ充ててたじゃねーか!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 なんだ? 大人しくなったな。 ミカの方からポタッポタッと音がする。何の音だ? 運転中なのでチラチラとミカを見ると、青い瞳で俺を見ている・・・・・・って泣いてんのか!? 何で泣く!?変な言い掛かり付けられて泣きたいのはこっちだって言うのに!

「あーっとミカさん? 何で泣いてるのかな?」

 えずく事も無く、ただ静かに涙を流すミカ。

 ガシュッ!!

 白い何かが俺の視線を遮る。ミカが見えない。なんだこりゃあ。よくよく見るとダンプの鳥居部分を突き破って、勇者が剣を突き立てていた。

「ミカを泣かすな! 消滅させるぞ!!」

「何をやっとるんじゃバカモンが!」

 荷台ではルードとザックが勇者を抑え込んでいる。

「ザック離せ!! ミカが泣いているんだぞ! あいつが何かやったんだ! ルード!!」

 マジで勇者って何なんだ? 大騒ぎの荷台は放っておき、今もなお涙を流すミカに聞く。

「なあミカ、なんで泣いてるんだ? そんなに俺が触った事にしたいのか?」

 ・・・・・・コクリ・・・・・・

 コクリじゃねーよー! 本当にもう何だよ!?

「俺が認めない限り泣き止まないのか?」

 コクリ

「ミカが泣き止まないと、俺勇者に殺されちゃうぜ?」

「それは大丈夫」

「何? ミカって勇者より強いの?」

 フルフルと被りを振った後

「タカオがルシアに殺されたら、私も死ぬ」

 ちょっとこの娘何言ってるのか解らない。 何か重いよ。話が痴漢冤罪から違う方向に行ってるよ!

「あー、ミカ? 何を言っているのか良く解らないんだが」

「タカオが好き」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 翻訳魔導具の故障か? ミカも持っているんだよな? あ、泣き止んだ。スーパーまであと少しだな。ジルのお腹プニプニしたいな。異世界人空飛べていいな。俺も飛んでみたい。きっと気持ち良いんだろうな。そーらを自由にとーびたーいなー、はい、いせかいじんー。ははは。おっと、思考の方がぶっ飛んでたみたいだ。

「・・・・・・何だって?」

「・・・・・・聞こえたはず。何回も言わせるな」

「何でそうなった?」

「マナの器の色が綺麗だから」

「その器が綺麗だと好きになっちゃうの?」

「普通の器ではならない。しかしどうやっても抗えない程惹かれる、その人にとって特別な器があるのも事実。イグナスでは女性が男性の器に惹かれて結婚するのが一般的。だからイグナスの女性は結婚適齢期前に旅に出る。その為の定期馬車も出ている。
 そして私は異世界に旅に来てタカオに出会い、タカオの器に惹かれた。こんなのは初めての事。因みにルシアもそう。タカオの器に惹かれている。だからルシアは照れている。あんなルシアを見るのも初めて。兜を取らないのもそれを隠すため」

 あれ照れてんの? だから兜取らないの? 全く解らないが・・・・・・照れ隠しで剣突き立てるのかよ? ルームミラーで後ろを見ると剣を振りかぶる勇者をルードが抑えている。

「そうなんだ・・・・・・フェロモンみたいなものか?・・・・・・まあ理由は解った。ミカの気持ちは嬉しいよ」

「じゃあ」

「でもな、ミカは19歳だよな。俺は45歳だぞ? それに結婚もしていて妻もいるし、これから会わせるが息子も二人いる。元からどうにかなる余地はないんだよ」

「器に惹かれて結婚する私たちの世界は一夫多妻制。歳の差も何の問題にもならない。」

「そっちの世界はそうでもこっちの世界は違うの。一夫一妻制なの」

「それも問題にはならない。両方の世界は融合し始めている。融合が終わって二つの世界が一つになれば一夫五妻制位にはなるはず」

 なんだよその適当な制度は。突っ込みたい所は多々あるが、

「へー、そんなものなのか?」

「そう、そんなもの」

 ふーん、異世界って色々と凄いん・・・・・・って何だよその謎理論。あぶねー危うく納得する所だった。

 ガキッ!メキメキメキ・・・・おい勇者! ダンプのルーフ剥がすな!! オープンカーにするなよ! 雨降ったらどうするんだよ!?

「ミカに手をだすなーーー!!」

「じゃから止めんかい! 良い所なんじゃから邪魔をするでない!」

「そうだぞルシア。ミカがあそこまで言っているんだ、優しく見守らなきゃ。ルシアの気持ちも解るから」

 何やってんだよこいつらは、盗み聞きかよ・・・・・・・・・・・・しかしまいったな・・・・・・何で会って10分でこんな話になってるんだよ。どうやって断ればいいんだ? 確かにミカはツルペタなのを除けば可愛いとは思う。でも娘位の年齢だし、何より俺には遥がいる。結婚なんかできる訳が無い。・・・・・・スーパーに着いたな・・・・・・ルード達に相談するか。

「ミカ、とりあえず食料を調達するから、その話はまた“今度”な」

「・・・・・・解った。また“後で”」

 チッ、このままうやむやにしたかったが駄目だったか。

「ルード! ここで食料を調達するから降りてくれ!」

「そうか、解った」

 車を降りてドアを閉めようと振り向くと・・・・・・ミカが両手を俺に差し出していた。

「・・・・・・何?」

「降りられない」

「・・・・・・やだよ、自分で乗って来たんだから降りられるだろ? 空だって飛べるんだし。それにまたどこそこ触ったとか言われたく無いし」

「もう言わない。約束する。」

「本当か?」

「本当。旦那様に触られて訴える女はいない」

 旦那じゃねーし! 何言ってんのこの娘本当に! 勘弁してくれマジで!

「お、ミカ。もうそこ迄話が進んだのか? おめでとう。タカオもやるな、この短時間で炎帝ミカを落とすとは」

 おい、そこの金髪。ニヤニヤしながら何言ってんだお前。炎帝ってなんだよ? ルード、お前も止めてくれよ。助けを求める視線をルードに送るが、

「なんじゃタカオも。ミカの重さなんぞたかが知れているじゃろうに。それ位良いであろう」

 そう言ってルードとザックは店に向かってしまった。この場には俺とミカと勇者のみ・・・・・・あ、ミカの眼がウルウルしてきた! また泣くのか!? 「カチャリ・・・・」 おい勇者、剣の柄に手を掛けるなよ。

「あーっ、もう解ったよ!」

 何か・・・・・・嫌な感じがする・・・・・・両手を前に出すミカ。何でそんなに腕を真っ直ぐに伸ばしているんだ? 普通はもっと腕を広げないか? それじゃあ脇に手を入れたら本当に胸を触っちまうぞ? おかしい・・・・・・やっぱり何かがおかしい。

 俺の一瞬の逡巡を見て取ったのか、隙があったのか、いきなりミカが飛びついてきた。俺の首に両手を巻き付け顔を擦りつける。

「おい! ミカ! 何やってんだお前!」

「やっぱりフガフガタカオのフガマナの器フガフガは凄いいい。」

 お前クールっぽいくせにしがみついてフガフガしてんじゃねーよ! おっさん臭いだけだろうが! 何だこいつ剥がれねー! 凄い力だ! 魔法使いって非力なんじゃないのか? ミカを引き剥がそうとするが全く動かない。「触るなエッチ」とか言ってやがる! ふざけんな! 苦しくは無いが凄い力でしがみついている。

「シャアアアア――ッキンッ」

 何の音だ?・・・・・・って勇者が剣を抜いてプルプル震えている。

「ミカ! ミカ! 勇者が剣を抜いてるから! 降りてくれマジで!」

「死ね!!!」

 勇者が上段に剣を構え振り下ろす。 おい!ミカがくっ付いているんだぞ! ミカをぶら下げたままダンプのドアに隠れる。

 バガン!! ゴシャアッ!

・・・・・・ドアが短くなっている・・・・・・後ろを見ると、10m位離れた場所に駐車してあるミニバンのバックドアに、斬られたダンプのドアが刺さっている。剣でガラスって斬れるんだな。割れる事無く短くなったドアに付いているガラスを見てそう思う。・・・・・・これって避けてなかったら直撃コースだよな・・・・・・ミカごと・・・・・・

「なあ、ミカ」

「解ってる。ルシア止めて」

 そう言って、やっと俺から降りるミカ。

「タカオはルード達と食料を取って来て。その間に私はルシアと話しておく」

「・・・・・・ああ、頼むぜ本当に」

「任せて」

 そう言葉を交わし、俺は勇者の方を見る事無く店内へ向かった。
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