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1章:伯爵令嬢3歳の奮闘
1−1話:新たな私。ちょっと早めの朝は……
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――――ああ、イリーナが築き上げた心象世界が薄れていく……。いや、薄れていくのではないか……。溶け込んでいくといった方が正しいかな……?
でも、私たち3人の人格が上手く溶け合っていくのが解るわ。誰の成分が強くなるかしら……。
浮田芽里菜の成分が強くなるかしら……。それとも刑死したメイリーナ・キーウダガスの成分が強くなるかしら……。それとも今の3歳のメイリーナ・キーウダガスの成分が強くなるかしら……。
ああ、『契約の神』メジェズーステイムン様? いつか御礼は申し上げます。
だから……誓わせてください。
私は、前々世の私、現世の私、前世の私3人で力を合わせて幸せになり、オクトルザース・ミラトーウス様もまた幸せにすることを誓います。
どうか見守っていて下さい……。
*****
**********
……はっ!
朝ね? 私は……メイリーナ・キーウダガス。3つの人格が1つに統合された私……。
現世の3歳まで生きたメイリーナの成分は……随分と利発そうな目だったわね。それが前々世のようになったと言うのは、何かが悪影響を及ぼしたと見て良いわね。
そして、前々世の私は結構、苛烈よね。それはそうね。違法な事に手を染めているんだもの。苛烈でなければ、平然と出来ないわね。
前世の私もまたどうだったかしら……。少なくとも悪さには手を染めてはいないわ。ただ、より店の中の上位になるために色々と動いていたわね。如何に自分の価値を高めるかに心血を注いでいたわ。そう私はお安くはないのよ?
ふふふ。まあ、いいわ。3歳を過ぎたら私も一人で寝ているのよ! おねしょは……今の所は大丈夫ね。今後のためにも筋肉トレーニングは必須でしょうけどね?
まずは目覚めたら、やるべきことはただ1つ。呼び鈴を鳴らすのよ。
使用人を呼びつけて身だしなみを整えるのよ。
まだ3歳の私には専属の使用人はいないわ。5歳から専属の使用人が着任する予定だったわね、侍女と護衛が。
ええっと来たのは……。エマだったかしら? この人は前々世でも信頼の置けた使用人だったわね。
今日は緑色のドレスを着たい気分だわ。
「エマ? まずはふくをきせてほしいわ? ドレスはみどりけいのいろはあるかしら?」
「ございますよ? そうですね……、今日のメイリーナお嬢様ならば……」
そそくさとドレッサーからエマがライムグリーンのドレスを持ってきたわ。
うん、デザインは……手首のフリルがゴテゴテしているわね。だからちょっと洗練されていない感じがするわ?
後でドレスを総点検した方が良さげね。多分、お母様の分も……。
いえ、これは呂律が回ってからにするわ? ハキハキ噛まずに喋られるようになってからね? 4歳の誕生日までにはハキハキ喋られるようにしましょう? だから、猛特訓はしておいた方が良さげね。
まあ、色は問題ないから、これにするわ。
「ありがとう、エマ。ええ、それにしゅるわ……。きせてちょーだい?!」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様。っと、その前にお顔をお洗いしましょうか?」
そうね。それを忘れていたわ。
「ええ、準備は…………出来ているのね。お願いするわ」
エマに温いお湯が入った盥を差し出された私は、顔を両手で洗う。それが終わればエマからタオルを差し出されたのでタオルで顔を拭く。
「じゃあ、ドレスをきせてちょーだい? エマ」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様」
ということでエマにベッドから下ろしてもらった私は夜着を脱がせてもらう。
素っ裸になった私は新しい下着を着せてもらったわ。その上にドレスを着せてもらったわ。
ドレスの着用が終わったら髪の毛を整えることね。髪型は……ポニーテールにしましょうか。
「エマ? おぐしはしゅく……すいてちょうだい? かりゅくでいいわ? それからくびのうしりょのあたりで、おぐしを1つにリボンでまとめてちょうだい?」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様」
さ、お手並み拝見ね……。いい感じの力加減なのよねぇ。本当に。
とっても軽快に髪の毛を梳いていくエマの手腕は最高よね。エマの派閥の人なら専属にしてもいいわよねぇ。エマは残念ながら近い将来、お母様の専属になる予定だし……。
…………。終わったわね。
「いかがでしょう? メイリーナお嬢様?」
鏡で全体を見せてもらったわ……。どうかしら……? うん、完璧ね!
「ありがとう! エマ! かんぴぇきよ!」
ああ、本当に回らない舌が憎いわねぇ。本当に滑舌の猛特訓が必要よね。
さて、朝食は……、もうお父様とお母様は食事しているのかしら?
時計を見たら、『聖兎』の絵があったから7時よね? で、7時も35分を過ぎてるのね……。
「エマ? おとうしゃまとおかあしゃまはもうおしょくじしているのかしら? もう7じ35ふんよ?」
「いえ、本日は休日です。ですから、そろそろお二方とも目が醒めるのは遅いのです。ましてや、昨晩は随分とお楽しみのようでしたから……。もしかすると『聖竜』、9時を超えるかもしれませんね……」
ああ、今日はお休みなのね? それならば仕方ないわね……。
って、お父様とお母様は早速ハッスルしすぎたのかしら……。そう簡単に子種が定着するとは思えないけれど……、周期的に大丈夫なのかしら?
まあ、いいわ。それはそれとしておいて……。軽くつまめるものを口に入れておきましょうか……。腹持ちがいいのは……、ゆで卵でいいわね。
「そうね。お腹が減ってしまうのはちょっと辛いものがあるわ。だから、軽くつまめる物がほしいわ……。茹でた卵を1つ作っていただけるかしら?」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様、いま暫くお待ちくださいませ……」
私が注文すればエマは颯爽とこの部屋を去っていったわ。
出来る女って身のこなしが全然違うわね。
この身体ももう少し軽快に動けるようになるというのは目指したいところね。出来ればトルザス様も巻き込むわよ。
多分、トルザス様は教え方次第で大いに化けるわよ?
でも、私たち3人の人格が上手く溶け合っていくのが解るわ。誰の成分が強くなるかしら……。
浮田芽里菜の成分が強くなるかしら……。それとも刑死したメイリーナ・キーウダガスの成分が強くなるかしら……。それとも今の3歳のメイリーナ・キーウダガスの成分が強くなるかしら……。
ああ、『契約の神』メジェズーステイムン様? いつか御礼は申し上げます。
だから……誓わせてください。
私は、前々世の私、現世の私、前世の私3人で力を合わせて幸せになり、オクトルザース・ミラトーウス様もまた幸せにすることを誓います。
どうか見守っていて下さい……。
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……はっ!
朝ね? 私は……メイリーナ・キーウダガス。3つの人格が1つに統合された私……。
現世の3歳まで生きたメイリーナの成分は……随分と利発そうな目だったわね。それが前々世のようになったと言うのは、何かが悪影響を及ぼしたと見て良いわね。
そして、前々世の私は結構、苛烈よね。それはそうね。違法な事に手を染めているんだもの。苛烈でなければ、平然と出来ないわね。
前世の私もまたどうだったかしら……。少なくとも悪さには手を染めてはいないわ。ただ、より店の中の上位になるために色々と動いていたわね。如何に自分の価値を高めるかに心血を注いでいたわ。そう私はお安くはないのよ?
ふふふ。まあ、いいわ。3歳を過ぎたら私も一人で寝ているのよ! おねしょは……今の所は大丈夫ね。今後のためにも筋肉トレーニングは必須でしょうけどね?
まずは目覚めたら、やるべきことはただ1つ。呼び鈴を鳴らすのよ。
使用人を呼びつけて身だしなみを整えるのよ。
まだ3歳の私には専属の使用人はいないわ。5歳から専属の使用人が着任する予定だったわね、侍女と護衛が。
ええっと来たのは……。エマだったかしら? この人は前々世でも信頼の置けた使用人だったわね。
今日は緑色のドレスを着たい気分だわ。
「エマ? まずはふくをきせてほしいわ? ドレスはみどりけいのいろはあるかしら?」
「ございますよ? そうですね……、今日のメイリーナお嬢様ならば……」
そそくさとドレッサーからエマがライムグリーンのドレスを持ってきたわ。
うん、デザインは……手首のフリルがゴテゴテしているわね。だからちょっと洗練されていない感じがするわ?
後でドレスを総点検した方が良さげね。多分、お母様の分も……。
いえ、これは呂律が回ってからにするわ? ハキハキ噛まずに喋られるようになってからね? 4歳の誕生日までにはハキハキ喋られるようにしましょう? だから、猛特訓はしておいた方が良さげね。
まあ、色は問題ないから、これにするわ。
「ありがとう、エマ。ええ、それにしゅるわ……。きせてちょーだい?!」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様。っと、その前にお顔をお洗いしましょうか?」
そうね。それを忘れていたわ。
「ええ、準備は…………出来ているのね。お願いするわ」
エマに温いお湯が入った盥を差し出された私は、顔を両手で洗う。それが終わればエマからタオルを差し出されたのでタオルで顔を拭く。
「じゃあ、ドレスをきせてちょーだい? エマ」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様」
ということでエマにベッドから下ろしてもらった私は夜着を脱がせてもらう。
素っ裸になった私は新しい下着を着せてもらったわ。その上にドレスを着せてもらったわ。
ドレスの着用が終わったら髪の毛を整えることね。髪型は……ポニーテールにしましょうか。
「エマ? おぐしはしゅく……すいてちょうだい? かりゅくでいいわ? それからくびのうしりょのあたりで、おぐしを1つにリボンでまとめてちょうだい?」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様」
さ、お手並み拝見ね……。いい感じの力加減なのよねぇ。本当に。
とっても軽快に髪の毛を梳いていくエマの手腕は最高よね。エマの派閥の人なら専属にしてもいいわよねぇ。エマは残念ながら近い将来、お母様の専属になる予定だし……。
…………。終わったわね。
「いかがでしょう? メイリーナお嬢様?」
鏡で全体を見せてもらったわ……。どうかしら……? うん、完璧ね!
「ありがとう! エマ! かんぴぇきよ!」
ああ、本当に回らない舌が憎いわねぇ。本当に滑舌の猛特訓が必要よね。
さて、朝食は……、もうお父様とお母様は食事しているのかしら?
時計を見たら、『聖兎』の絵があったから7時よね? で、7時も35分を過ぎてるのね……。
「エマ? おとうしゃまとおかあしゃまはもうおしょくじしているのかしら? もう7じ35ふんよ?」
「いえ、本日は休日です。ですから、そろそろお二方とも目が醒めるのは遅いのです。ましてや、昨晩は随分とお楽しみのようでしたから……。もしかすると『聖竜』、9時を超えるかもしれませんね……」
ああ、今日はお休みなのね? それならば仕方ないわね……。
って、お父様とお母様は早速ハッスルしすぎたのかしら……。そう簡単に子種が定着するとは思えないけれど……、周期的に大丈夫なのかしら?
まあ、いいわ。それはそれとしておいて……。軽くつまめるものを口に入れておきましょうか……。腹持ちがいいのは……、ゆで卵でいいわね。
「そうね。お腹が減ってしまうのはちょっと辛いものがあるわ。だから、軽くつまめる物がほしいわ……。茹でた卵を1つ作っていただけるかしら?」
「かしこまりました。メイリーナお嬢様、いま暫くお待ちくださいませ……」
私が注文すればエマは颯爽とこの部屋を去っていったわ。
出来る女って身のこなしが全然違うわね。
この身体ももう少し軽快に動けるようになるというのは目指したいところね。出来ればトルザス様も巻き込むわよ。
多分、トルザス様は教え方次第で大いに化けるわよ?
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