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1章:伯爵令嬢3歳の奮闘

1−4話:オクトルザース様のご両親に猛アピールよ!

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 ああ! 目の前にあるのはオクトルザース様の住まうトウージョス伯爵のお家!
 今はビルゼニウス公爵邸の離れにあるのよ。

 さあ、屋敷の中に入るわね?! 今は……何時かしらね? 出発したのは『魔蛇まじゃの時』、10時の直前だったのよねぇ。
 まあ、良いわ。それは兎も角ともかく……、オクトルザース様はどこにいるのかしら?

「おお! 良く来たな! フェルにエミー夫人!」

「いらっしゃいませ? フェル様にエミー! エミーは久しぶりね!」

 目の前にいるのはトウージョス伯爵で次期ビルゼニウス公爵でもあるアイヘルトマース様とその奥様のエレオノーレ様よね?

「久しぶりですね! ヘルマス様にレーネ様! 今日はお世話になりますよ!」

「久しぶりです! ヘルマス様にレーネ様! レーネ様はお元気でしたか?」

 こちらは大人同士で盛り上がっているわね。まあ、いいでしょう。その間にチェックしないと。

 アイヘルトマース様のよそおいは灰色のジャケット、黒のベスト、水色のシャツ、灰色のスラックスね。
 そうね。アイヘルトマース様はあごが小さめな逆三角形顔なのよねぇ。で、ちょっと吊り目なのに眉は平行眉なのよ。団子っ鼻でちょっと大きめのお口かしら? 唇も少し薄めね? でも不細工には見えないのよ。むしろイケメンなのよ。
 髪型はセンター分けの短髪よね? サラッサラの黒髪をしてるわね。

 さて、今度はエレオノーレ様……。イムワルタス騎士爵エイルンドルウス家の娘だったわね……。

 うん。顔つきはどうかしら? 頬骨がしっかり通っている感じの逆ダイヤモンド型かしら? で、扁桃アーモンド型でちょっと大きめな目としっかりと高く筋の通った鼻をお持ちよね? でも、鼻の穴の辺りのくぼみはないのよ? で、厚ぼったい上下の唇と小さめのお口がちょっと色気を感じさせるわよね?
 で、ちょっと癖のある長い髪をサイドポニーテールに仕上げたのね。

 問題はドレスよ……? 本当にお下品。なぜ胸元を大きく開けたのかしら? これは余りにもお下品が過ぎますわよ? 薄いアクアマリン色のドレスが泣いていますわ?

 確かにエレオノーレ様の体つきはお母様と同じくらい? いや、それよりはやや細い感じではあるわ? でも、お胸はしっかりあるのよねぇ?
 その上でそのたわわに実ったお胸の谷間を露出させるようなドレスはねぇ? ちょっと女の武器を安売りしすぎているわ?

 っと、私の方を見ているわね? 私も不躾ぶしつけすぎたかしら?

 ここは頑張ってカーテシーをしてみましょうか? 出来るかしら?
 ……って、出来るかしら? じゃないわね? やるのよ!

 ドレスの裾を両手でつまんで軽く持ち上げてから、左足を後ろに持っていくわ?
 そう言えば……今までに習っていたかしら? いえいえ、習ってはいないわね。
 ただ、エマは何度かメイド服のまま、カーテシーをやっていたわね。ならば、エマがやっていたことを真似たとでも言い訳はつくわね。

「おや!? 随分と可愛いカーテシーだね? フェル? この子が君たちの秘蔵っ子かな?」

 よし! アイヘルトマース様が私のカーテシーに気付いてくれたわね? 3歳にして私がお馬鹿ではない事を証明するのよ?

「ええ、そうですね。ヘルマス様。この子がメイリーナですよ。メリナ? そのまま、ご挨拶なさい?」

 ふっふふ。そのままの流れでお父様が私に対し、アイヘルトマース様とエレオノーレ様への挨拶を指示してくれたわね? 助かるわ?!

「おはちゅはつにおもじがかなことまこちょこうえい光栄おもいましゅ! わたくちはシワイーナはくしゃく伯爵フェルナンデス・キーウダガスが1女いちじょ、メイリーナ・キーウダガスともうしましゅ! こんご今後もよしなにおたにょもうしあげましゅ!」

 しっかりと口上を述べるに決まっているでしょう? 将来の義両親相手に好印象を持たせることって何よりも大事なのよ?
 何よりも『この子ならうちのオクトルザースを任せられる!』と思わせる事に注力を置くのは間違っているかしら?

 それにしても柔和そうなアイヘルトマース様とエレオノーレ様。喋り方を見る分にはそこまで愚かにも見えないわ……。

 エレオノーレ様のドレスがお下品だから、それなりにお馬鹿さんかな? っていう先入観が合ったのだけれど……。前々世のメイリーナの記憶はどうだったかしら?
 言葉の端々はしばしには知識不足が否めない部分はあったわ。でも、そう頭の回転が悪かったというわけではないわね? お2方とも。

 そういえば……。前世の芽里菜めりなの記憶だとアイヘルトマース様もオクトルザース様も凡愚な親子というのが小説での設定だったわよね?

 なのに、話している分にはアイヘルトマース様から凡愚さを見いだせないわ?

 どういうこと? あのロリコン大公……。今はアトキグナス大公と名乗っているアルバトルガス・セイルノオーズ王弟殿下は確かにそう言ってたわよね? 『アイヘルトマース様もオクトルザース様も凡愚』だと……。

 もしかして……、もしかする? あの小説の世界のアイヘルトマース様もオクトルザース様も何かにあらがっていた? うつけのふりをしていた? ただ、犯罪には手を染めていた……。

 となると……、諸悪の根源がどこかにあるはずなのよ?

 って……、そう言えば……、アトキグナス大公が現ビルゼニウス公爵であるモルゲニアス・ミラトーウス様に接触を図るのは1年以内の話よね?
 秋頃の事だったかしら……。闇組織もまたお母様やエレオノーレ様に接触を図る……。

 そういえば……財政も危うかったかしら……。それもモルゲニアス・ミラトーウス様の後妻・・の散財が原因だったかしら。
 後妻はオイヌレスス男爵ウジェガイナキス家の出身……、チェチェリアーナ様だったわね。

 ……って、チェチェリアーナ様の事もどうにかしなければならないわね?

 ああ! っもう! やることが多すぎるわ! それよりもオクトルザース様はどこかしら?
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