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1章:伯爵令嬢3歳の奮闘
1−10話:今こそメジェズーステイムン様に祈りを捧げますわ!
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今、王城の聖堂におりますわよ? なんか邪魔が入るかなと思ったんだけれど、入らなかったのよねぇ。
アイヘルトマース様の執務室では互いの家との間での婚約の協定を決めましたの。
決まったことは3つ。
1つ、互いに3年の内に父親から爵位を譲り受けてもらい、実権を完全に握ること。
2つ、互いの家の領地同士では経済発展のための交流を深めること。
3つ、いずれかに不貞、不法行為があった結果、婚約破棄に至った場合は有責の側がそれ相応の違約金を払うこと。その金額は金貨50枚とする。
それを契約書に纏めて、4部作成したわ。
トウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家のそれぞれで保管するもの、教会、王家で保管するもの。
でもって、この4部の婚約に伴う契約書について、王城の聖別を受けることになったの。
ちなみに4部の契約書を取り交わしている間にアイヘルトマース様の侍従の方がターシッカス子爵邸から戻ってまいりましたのよ?
ちなみに侍従の方曰く「子爵邸に入る時には御夫人はまだご帰宅されておらなかったけれども、帰り際に御夫人とすれ違った。すれ違い様に『新たな雇用について、後ほどシワイーナ伯爵からご連絡をさしあげる』旨を耳元で伝えてきた」ですって!?
出来る侍従ね! それでいいのよ!
ということで、王城の聖堂にトウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家の面々で向かいましたのよ!
そうそう、エレオノーレ様については、お母様と同様に80cmくらいの藤色のストールを肩から胸を隠すように掛けてもらったの。
そしたらですわ? それを見たアイヘルトマース様がクラッと来ていたのですわよ?
そうよね? 隠すことで出る色気っていうのがあるのよ? 豊かなお胸って、ただ谷間を出せば色っぽいって思われるかも知れないけれど、敢えて隠すことで出る色気っていうものがあるのよねぇ。
今は魔馬の時――12時――30分になるだろう頃なんですよ?
で、そろそろ謁見が叶うことになった国教会14代教主ベルディネルクト猊下も聖堂に着く頃かと思うのですが……?
って、来ましたわね?
ということでトウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家の面々が順次ベルディネルクト教主猊下へとご挨拶をしていきましたわ。
オクトルザース様は緊張していたのかしら? たどたどしくもありましたが、それでもしっかりとご挨拶をやり遂げましたよ? 素晴らしいですね!? 格好よかったですわ!
では最後は私の番でございます。
「こっきょうかいじゅうよんだいきょうしゅベルディネルクトげいかへのはいえちゅがかなったこと、シワイーナはくしゃくキーウダガスけとうしゅフェルナンデス・キーウダガスが1女、メイリーナ・キーウダガスがつつしんでよろこびのいをあわらしましゅ!」
ああっ! ちょっと噛んでしまったわ! まあ、3歳だもの仕方ないわね!
それでも、物怖じせずにちゃんと言えたというのが素晴らしいことよ!
いやあ、本当に若きベルディネルクト教主猊下って物凄いオーラがあるのよ?
そう言えば、去年だったわね。サンヌヨールス王国の13代国王にギュスタルボス・セイルノオーズ陛下が、国教会14代教主にベルディネルクト猊下が就位なされたのは。
確か、猊下より陛下の方が少し年下だったかしら?
だから20代前半だったはずよ? 今のベルディネルクト教主猊下って。
ええっとベルディネルクト教主猊下って長いから、猊下に略すわ?
「ええっと、こちらの小さな2人が新たに婚約を結ぶ方たちですね? では、4枚の契約書を持っている方はそれを祭壇の上に乗せて下さい」
「はっ。こちらに」
今回はアイヘルトマース様が4通分、契約書を上着のポケットから出して祭壇の上にそっと乗せたのよ?
「…………。ふむ。どれも契約内容には問題が無いようですね。これで聖別をしても問題はないでしょう。契約事項に変更がある場合はまた聖別が必要になりますのでご注意を。では、『契約の神』メジェズーステイムン様にお願いいたしましょうか」
一通り、内容を確認して、契約内容に瑕疵が無いことを確認した猊下。徐に猊下が居住まいを正したわ。
契約書を4通、2列2段に広げて並べた猊下は瓶の蓋を開けて、中身を4通の契約書のそれぞれの中心部分に振り掛けたの。
「今、振り掛けたのが『契約の神』メジェズーステイムン様のための聖水です」
猊下が何を振り掛けたのかを私たちに簡潔に説明してきたわ。私たちはそういうものだと思うしかないわね。
突如として、猊下がより神妙な面持ちになったわね!? これから聖別が始まるのね……。
「〈『契約の神』メジェズーステイムン様! 『契約の神』メジェズーステイムン様! 畏れ多くも伏して願います!〉」
猊下からの『契約の神』メジェズーステイムンへの語りかけ。それを済ませた猊下が背を前に屈めたわ。
「〈『契約の神』メジェズーステイムン様! 『契約の神』メジェズーステイムン様! 畏れ多くも伏して願います!〉」
裁断に視線を降ろした猊下が『契約の神』メジェズーステイムンへと再び語りかているわね。
「〈此度、トウージョス伯爵アイヘルトマース・ミラトーウスが第1男オクトルザース・ミラトーウスとシワイーナ伯爵フェルナンデス・キーウダガスが第1女メイリーナ・キーウダガスが婚約の運びとなりました。つきましては、この4枚の契約書に『契約の神』メジェズーステイムン様より御印を賜りたく存じ上げます。そして、その婚約が恙無きものであるための祝福を賜りたく存じ上げます。どうか『契約の神』メジェズーステイムン様の祝福を!〉」
猊下は長々と口上を述べたわね。これによって『契約の神』メジェズーステイムン様からの祝福を乞うのね。
私も強く祈りを捧げましょう。
〈オクトルザース様と一生、いえいえ、何度も生まれ変わっても夫婦でいられますように……〉
聞いてくれると嬉しいわ。
<汝の願い、聞き入れた! 此度の婚約に祝福を!>
どこからともなく声が私の脳内に響いたわ。
あら? 祭壇がピカピカ光っているわ? 少し時間を置いて、その光は収まったわね。
これは……! 無事に強い祝福を得られたわね!?
アイヘルトマース様の執務室では互いの家との間での婚約の協定を決めましたの。
決まったことは3つ。
1つ、互いに3年の内に父親から爵位を譲り受けてもらい、実権を完全に握ること。
2つ、互いの家の領地同士では経済発展のための交流を深めること。
3つ、いずれかに不貞、不法行為があった結果、婚約破棄に至った場合は有責の側がそれ相応の違約金を払うこと。その金額は金貨50枚とする。
それを契約書に纏めて、4部作成したわ。
トウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家のそれぞれで保管するもの、教会、王家で保管するもの。
でもって、この4部の婚約に伴う契約書について、王城の聖別を受けることになったの。
ちなみに4部の契約書を取り交わしている間にアイヘルトマース様の侍従の方がターシッカス子爵邸から戻ってまいりましたのよ?
ちなみに侍従の方曰く「子爵邸に入る時には御夫人はまだご帰宅されておらなかったけれども、帰り際に御夫人とすれ違った。すれ違い様に『新たな雇用について、後ほどシワイーナ伯爵からご連絡をさしあげる』旨を耳元で伝えてきた」ですって!?
出来る侍従ね! それでいいのよ!
ということで、王城の聖堂にトウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家の面々で向かいましたのよ!
そうそう、エレオノーレ様については、お母様と同様に80cmくらいの藤色のストールを肩から胸を隠すように掛けてもらったの。
そしたらですわ? それを見たアイヘルトマース様がクラッと来ていたのですわよ?
そうよね? 隠すことで出る色気っていうのがあるのよ? 豊かなお胸って、ただ谷間を出せば色っぽいって思われるかも知れないけれど、敢えて隠すことで出る色気っていうものがあるのよねぇ。
今は魔馬の時――12時――30分になるだろう頃なんですよ?
で、そろそろ謁見が叶うことになった国教会14代教主ベルディネルクト猊下も聖堂に着く頃かと思うのですが……?
って、来ましたわね?
ということでトウージョス伯爵ミラトーウス家、シワイーナ伯爵キーウダガス家の面々が順次ベルディネルクト教主猊下へとご挨拶をしていきましたわ。
オクトルザース様は緊張していたのかしら? たどたどしくもありましたが、それでもしっかりとご挨拶をやり遂げましたよ? 素晴らしいですね!? 格好よかったですわ!
では最後は私の番でございます。
「こっきょうかいじゅうよんだいきょうしゅベルディネルクトげいかへのはいえちゅがかなったこと、シワイーナはくしゃくキーウダガスけとうしゅフェルナンデス・キーウダガスが1女、メイリーナ・キーウダガスがつつしんでよろこびのいをあわらしましゅ!」
ああっ! ちょっと噛んでしまったわ! まあ、3歳だもの仕方ないわね!
それでも、物怖じせずにちゃんと言えたというのが素晴らしいことよ!
いやあ、本当に若きベルディネルクト教主猊下って物凄いオーラがあるのよ?
そう言えば、去年だったわね。サンヌヨールス王国の13代国王にギュスタルボス・セイルノオーズ陛下が、国教会14代教主にベルディネルクト猊下が就位なされたのは。
確か、猊下より陛下の方が少し年下だったかしら?
だから20代前半だったはずよ? 今のベルディネルクト教主猊下って。
ええっとベルディネルクト教主猊下って長いから、猊下に略すわ?
「ええっと、こちらの小さな2人が新たに婚約を結ぶ方たちですね? では、4枚の契約書を持っている方はそれを祭壇の上に乗せて下さい」
「はっ。こちらに」
今回はアイヘルトマース様が4通分、契約書を上着のポケットから出して祭壇の上にそっと乗せたのよ?
「…………。ふむ。どれも契約内容には問題が無いようですね。これで聖別をしても問題はないでしょう。契約事項に変更がある場合はまた聖別が必要になりますのでご注意を。では、『契約の神』メジェズーステイムン様にお願いいたしましょうか」
一通り、内容を確認して、契約内容に瑕疵が無いことを確認した猊下。徐に猊下が居住まいを正したわ。
契約書を4通、2列2段に広げて並べた猊下は瓶の蓋を開けて、中身を4通の契約書のそれぞれの中心部分に振り掛けたの。
「今、振り掛けたのが『契約の神』メジェズーステイムン様のための聖水です」
猊下が何を振り掛けたのかを私たちに簡潔に説明してきたわ。私たちはそういうものだと思うしかないわね。
突如として、猊下がより神妙な面持ちになったわね!? これから聖別が始まるのね……。
「〈『契約の神』メジェズーステイムン様! 『契約の神』メジェズーステイムン様! 畏れ多くも伏して願います!〉」
猊下からの『契約の神』メジェズーステイムンへの語りかけ。それを済ませた猊下が背を前に屈めたわ。
「〈『契約の神』メジェズーステイムン様! 『契約の神』メジェズーステイムン様! 畏れ多くも伏して願います!〉」
裁断に視線を降ろした猊下が『契約の神』メジェズーステイムンへと再び語りかているわね。
「〈此度、トウージョス伯爵アイヘルトマース・ミラトーウスが第1男オクトルザース・ミラトーウスとシワイーナ伯爵フェルナンデス・キーウダガスが第1女メイリーナ・キーウダガスが婚約の運びとなりました。つきましては、この4枚の契約書に『契約の神』メジェズーステイムン様より御印を賜りたく存じ上げます。そして、その婚約が恙無きものであるための祝福を賜りたく存じ上げます。どうか『契約の神』メジェズーステイムン様の祝福を!〉」
猊下は長々と口上を述べたわね。これによって『契約の神』メジェズーステイムン様からの祝福を乞うのね。
私も強く祈りを捧げましょう。
〈オクトルザース様と一生、いえいえ、何度も生まれ変わっても夫婦でいられますように……〉
聞いてくれると嬉しいわ。
<汝の願い、聞き入れた! 此度の婚約に祝福を!>
どこからともなく声が私の脳内に響いたわ。
あら? 祭壇がピカピカ光っているわ? 少し時間を置いて、その光は収まったわね。
これは……! 無事に強い祝福を得られたわね!?
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