末っ子第三王女は竜王殿下に溺愛される【本編完結】

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続話集

その後

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 妖精宮


 ここは私と愛しい番リディアの住まいである。
 休日の今日、私は歩き始めたばかりの愛娘ミューズの護衛となる者の身上書を眺めていた。
 候補であるアラン・サモエドはリディの護衛でもあるドラフトの推薦である。
 大型犬種族であるアランか……
 母親であるリディのモフモフ好きが遺伝しているらしいミューズの玩具となるであろうな。。。
 リディがドラフトの耳や尾をもふるのでさえ許せない私が娘がサモエドの……違った、アランのあの真っ白な毛に顔を埋める姿を見ていられるのか。
 そんな事を考えていると庭の方から愛しい妻に似つかわしくない声が聞こえて来た。

「こら、待ちなさい!」
「やーもー」

 先ほどまで妖精の池で水浴びをしていた母子に何があったのだ?

「レニー、ミューズを捕まえてちょうだい!」

「ん?」

 見ればずぶ濡れになった小さな塊が、覚束ない飛び方でパタパタと私の膝の高さ位のところを飛びながらこちらに向かってくる。
 私は書類をテーブルの置き、そのまま裸足で庭に降りると羽根つきの塊を掬い上げるように懐に抱き上げる。

「これミューズ、何をしたのだ?」
「クシュン」
 
 クシャミをしている羽根の付いた塊は娘のミューズが白竜に変化した姿である。
 近くまでくれば子竜と分かるが、遠目に見るとコロコロと太った姿がただの塊に羽が生えているようにしか見えないのだ。
 まだ高く飛べず、地面スレスレか私の膝の高さまでを上下に揺れながら飛ぶ事しか出来ない。
 腕の中で我が子は見る見るうちに小さな白竜から人の子の姿へと変わっていった。

「とーま、とーま」

 言葉が早いのか遅いのかは分からないが、竜族の寿命は長いのであまり気にしていない。
 一才半近くなる娘は、産まれたときに全身を覆っていた白く真珠色に輝く鱗は全て皮膚に吸収されており、時折こうして竜の姿に変化するようにもなった。

 腕の中ですっぽんぽんの娘は私の顔を見て上機嫌で笑っている。
 きっと覚束ない足で逃げるよりトロトロでも飛んで逃げた方が早いのだろう。

「もう、ミューったら。池から出て服を着せようとしたら嫌がって、駄々を捏ねて逃げ出したのよ。都合が悪くなると竜になって飛んで行くんだから」
「あはは、仕方ないだろう」
「いまからちゃんとしないと、ダメでしょう?」

 ぷんぷんと怒りながらそう話す愛妻は、我が子を急いで追いかけてきたとはいえ、私から見たら娘と大差ない姿だ。
 自分が幼い姿だった頃と同じくシュミーズ姿で池に入ったのであろう。
 薄い生地はピタリと肌にへばりつき、豊かな胸の頂の先端の赤い実までくっきりと透けて見えている。
 我妻ながら、その淫靡な姿にそそられ、下半身が反応してしまった。
 いかんいかん、娘の前だ。
 私は手をかざし、リディの濡れた躰を風魔法でさっと乾かしてあげる。

「ん、あっ、ありがとうレニー。さぁ、ミューお洋服を着ましょうね」

 私にしがみ付いていた娘が観念したようにリディに差し出された腕の中に移動していく。
 何と可愛いのだろうか、我が妻と娘は。
 ミューをリディに預けると、私はリディの肩を抱いて屋敷の中へ入って行ったのだった。


 暫くして娘を寝かしつけてたリディが私のもとへやって来た。
 テーブルの上の書類を手に取り口元を緩めている。
 どうやら護衛候補のアランが気に入ったらしい。

「サモエドさんて、本当にサモエドなんだ」
「ああ、そうだな。犬族サモエドの族長の孫に当たる」

 きっともう、妻の頭の中には大きくモフモフのサモエド犬の姿で埋め尽くされているに違ない。

「ふーん、十八歳、若いのね」

 意外な言葉にえっ?と顔を覗き込むと、彼女はふふと笑いながら私の膝の上に腰を下ろしてきた。

「レニーの事だからやきもちを妬いてもっと年配の護衛を付けると思ってた」

「なっ、、、私はそれほど狭量ではないつもりだが……
 それにこれから動き回る様になるミューズに振り回される事を考えれば、若い者の方が良いであろう?」

「そう言われれば(笑)」

「だろう?アランは若いが優秀な騎士だ。普段は君と一緒にいるのだからドラフトもついておる。心配はないと思うぞ」

「そうね。でももう少しミューが成長したらもう一人必要になるわ。走り回る子を追い掛けるのは大変よ。ましては飛ぶことも出来るんですもの。追いかけるばかりでは周りに気が回らなくなるわ」

「ふむ、確かにその通りだな。今からもう一人増やして置くか。その方がミューズも慣れるだろう?」

「ええ、そうして貰えると嬉しいわ。
 ふふ、サモエドね、出来たらもう一人はトラ族か……優しい系なら羊族の騎士」

「おい、それはリディがモフりたいだけだろう?」

「あら、バレちゃった?」

 可愛い舌をちろりと出して肩を竦める可愛い妻の唇を奪えば、細い腕が私の首に巻き付いて来る。
 ベッドは愛娘に占領されている。
 昼寝の邪魔をしてはいけないと、私はそのままソファにリディを押し倒した。

 のどかで濃い休日となった。


**********

 ※短いですが親子の休日の一コマでした。

 ※新しいお話をアップしております。
 『異世界で王城生活~陛下の隣で~」こちらも緩い更新ですが、宜しかったらお立ち寄りください。

  https://www.alphapolis.co.jp/novel/823880103/100580199

 
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感想 46

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みんなの感想(46件)

チョコレート

完結後、再読しています
何故か21話が消えているのですが…

2023.02.12

チョコレート様、再読みありがとうございます❣️
先日読み直しながら再度誤字などの確認作業をした際に、どうやら間違えて削除してしまったようです。
ご不便をおかけして申し訳けありませんです。先程再度アップ完了致しましたので、楽しんで頂けたら幸いです。
ありがとう😊

解除
華南
2022.04.29 華南

あはっ!更新嬉しいです!
偶に、またお願いしま〜す!

2022.04.30

オオマサ華代様

ありがとうございます!
はい、また小噺が書けたらと思っています。
よろしくです°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

解除
penpen
2022.04.29 penpen

サモエド〜((*///Д///*))イヤーン

2022.04.29

penpen様

サモエド、ツボって頂けたようで❣(*^-^*)❣

解除

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