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第一話
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外の空気を吸い込んで深呼吸する。さっきまで勉強していた教科書をぱたんと閉じて、窓の外を眺める。遠くに見える平地が見えた。これは七年前、隣国の悪組織からの攻撃の跡だ。七年前までは平穏に暮らしていたのに——。
七年前、私はまだ十歳だった。魔法学校小等部四年生だ。学校での授業中、ものすごい爆発音が聞こえた。そのとたん強い風が吹き、地面が揺れた。先生が私達に身を屈めるよう指示をする。そして魔法で大きな結界を作り振動が収まるまで待った。振動が収まり安全を確認した先生は結界をとく。先生達は慌てて事態を確認する。生徒達は窓の周りに集まり被害を受けた方を見た。私は息を飲んだ。そこは私の家族が住んでいる町の方だった。他の町から軍隊が駆けつけて水属性魔法を使って消火しているがなかなか火は消えない。周りでは警告のサイレンが鳴り響いている。心臓が激しくなっている。めまいがした。家族が生きているか不安だった。家族が亡くなったら私の帰る家がない。私はどこに帰ればいいの?両親にまだ別れも言ってないのに。頭がくらくらして意識が薄くなって気を失った。
目を覚ましたら保健室にいた。先生が回復魔法を使ってくれているからさっきみたいにめまいはしなくなった。ただずっと涙が収まらなかった。
「あなたさっき倒れたの。原因は大きなショックを受けたから。」
心配そうな表情で先生が言う。
「あのさっきの爆発の情報は……。」
そう聞くと先生の目が真剣になる。
「あの爆発の被害を受けた人はほとんど亡くなった。あなたの家族も。お気の毒に……。」
「そんな…………。うそでしょ……。」
そのとたん大粒の涙が流れた。家族が死んだ。今の状況が信じられない。ただショックで悲しかった。先生が私の手を握る。
「あなたはこれからこの学校の寮で暮らすことになるわ。生活費はあなたの家族の残りの財産と学校側も出す事になる。学費は中等部までは払ってもらっているから、高等部では成績優秀だと奨学金がもらえるからそれでなんとか学校へは通えるわ。もちろん働くという手めあるのよ。でもあなたは努力家だからここで学校を辞めるのはもったいないと思う。」
ショックで他の事を考えるのも難しい。
ただ今は悲しみでいっぱいだった。
その日の夜は泣き続けて眠れなかった。
次の日は学校には行ったけれど全く授業の内容が頭に入って来なかった。それから一週間めそんな状態が続いて成績も落ちていった。友達からも心配されたけどもうそれも悲しかった。私はこんなにも弱くなった。
休日に町に出かけて家族のお墓に行った。遠い親戚が建てたのだろう。墓石だけ、家族の骨はすべて消えたからだ。商店街の花屋で買った花束を添える。手を合わせる。「お母さん、お父さん、さみしいよ。会いたいよ。私を一人にしないでよ。」墓石はもちろん何も答えない。ずっとただそこにたったまま。悲しかった。本当にもう家族はいないと分かって心細買った。でももう泣かなかった。昨日の夜、お母さんの言葉を思い出したからだ。
強くなりさい。誰かを守れるようになりなさい。挫けそうな時も心を強く持ちなさい。私達はあなたの事を応援してるから。
私は立って歩き出した。一度振り返る。強くなってまた来るよ、そう心の中で言ってお墓を離れた。そして電車に乗って攻撃の被害を受けたところの近くまで行った。そこは何もなかった。建物も植物もなく殺風景だった。あの被害を受けた日からもう二週間も経つのにずっと結界が張られたままだった。誰も入る事はできない。あの組織が攻撃した時に毒薬のようなのがまかれてこの国の政府が危険と判断し、結界を張ったのだ。
私はあの組織を倒してみせる。強くなりたい。それが亡くなった家族のためにできる事。そう心に決めた。
七年前、私はまだ十歳だった。魔法学校小等部四年生だ。学校での授業中、ものすごい爆発音が聞こえた。そのとたん強い風が吹き、地面が揺れた。先生が私達に身を屈めるよう指示をする。そして魔法で大きな結界を作り振動が収まるまで待った。振動が収まり安全を確認した先生は結界をとく。先生達は慌てて事態を確認する。生徒達は窓の周りに集まり被害を受けた方を見た。私は息を飲んだ。そこは私の家族が住んでいる町の方だった。他の町から軍隊が駆けつけて水属性魔法を使って消火しているがなかなか火は消えない。周りでは警告のサイレンが鳴り響いている。心臓が激しくなっている。めまいがした。家族が生きているか不安だった。家族が亡くなったら私の帰る家がない。私はどこに帰ればいいの?両親にまだ別れも言ってないのに。頭がくらくらして意識が薄くなって気を失った。
目を覚ましたら保健室にいた。先生が回復魔法を使ってくれているからさっきみたいにめまいはしなくなった。ただずっと涙が収まらなかった。
「あなたさっき倒れたの。原因は大きなショックを受けたから。」
心配そうな表情で先生が言う。
「あのさっきの爆発の情報は……。」
そう聞くと先生の目が真剣になる。
「あの爆発の被害を受けた人はほとんど亡くなった。あなたの家族も。お気の毒に……。」
「そんな…………。うそでしょ……。」
そのとたん大粒の涙が流れた。家族が死んだ。今の状況が信じられない。ただショックで悲しかった。先生が私の手を握る。
「あなたはこれからこの学校の寮で暮らすことになるわ。生活費はあなたの家族の残りの財産と学校側も出す事になる。学費は中等部までは払ってもらっているから、高等部では成績優秀だと奨学金がもらえるからそれでなんとか学校へは通えるわ。もちろん働くという手めあるのよ。でもあなたは努力家だからここで学校を辞めるのはもったいないと思う。」
ショックで他の事を考えるのも難しい。
ただ今は悲しみでいっぱいだった。
その日の夜は泣き続けて眠れなかった。
次の日は学校には行ったけれど全く授業の内容が頭に入って来なかった。それから一週間めそんな状態が続いて成績も落ちていった。友達からも心配されたけどもうそれも悲しかった。私はこんなにも弱くなった。
休日に町に出かけて家族のお墓に行った。遠い親戚が建てたのだろう。墓石だけ、家族の骨はすべて消えたからだ。商店街の花屋で買った花束を添える。手を合わせる。「お母さん、お父さん、さみしいよ。会いたいよ。私を一人にしないでよ。」墓石はもちろん何も答えない。ずっとただそこにたったまま。悲しかった。本当にもう家族はいないと分かって心細買った。でももう泣かなかった。昨日の夜、お母さんの言葉を思い出したからだ。
強くなりさい。誰かを守れるようになりなさい。挫けそうな時も心を強く持ちなさい。私達はあなたの事を応援してるから。
私は立って歩き出した。一度振り返る。強くなってまた来るよ、そう心の中で言ってお墓を離れた。そして電車に乗って攻撃の被害を受けたところの近くまで行った。そこは何もなかった。建物も植物もなく殺風景だった。あの被害を受けた日からもう二週間も経つのにずっと結界が張られたままだった。誰も入る事はできない。あの組織が攻撃した時に毒薬のようなのがまかれてこの国の政府が危険と判断し、結界を張ったのだ。
私はあの組織を倒してみせる。強くなりたい。それが亡くなった家族のためにできる事。そう心に決めた。
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