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第86話 激震! 少女の戦いは大山を揺るがす! (Bパート)
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「ここよ」
いろかがそう言ったことで、あるみは足を止める。
「いい眺め……」
かなみは景色を見て思わず呟く。
こんな状況にも関わらず、景色は変わらないのがなんともいえない。
「普通にハイキングで来たかった……かなみさんと……」
翠華も呟く。
「……呑気ね、こいつら」
「みあさん、何か気になることがあるんですか?」
「怪人が周りにいるのよ」
「……え?」
みあの一言で、かなみ達は周囲を見回す。
「箸にも棒にも掛からないぐらい弱いせいで気づきにくいんだけどね」
「誰が箸にも棒にもだ!?」
草場から怪人が怒声をあげてやってくる。
「うわあ、全然気づかなかったわ!?」
かなみは驚く。
「こいつらは偵察用よ」
いろかは言う。
「あなたの言う通り、箸にも棒にもかかわらない雑魚よ」
「そんな、いろか様!!」
怪人は懇願するように言う。
「よくわかったわね、みあちゃん。えらいえらい」
千歳はみあの頭を撫でる。
「こ、こんなの誰でもわかるわよ。あんたやかなみのお母さんだってわかってたでしょ?」
「フフ、心臓バクバクで~よおくわかったわよぉ」
みあにそう言われて、涼美が言う。
「全然わからなかった……」
かなみは呆気に取られる。
「私も……」
「……です」
翠華も紫織も同じ反応をする。
「雑魚の気配に気づいたからって何の自慢にもならないわよ」
萌実は鼻を鳴らす。
「雑魚……ザコ……」
怪人は少女達にも散々に言われ、落ち込む。
「雑魚なのは事実なんだから落ち込んでも仕方ないわ。それより、首尾はどうなっているの?」
いろかはさらに追い立てるように言う。
「は、はい……! 先ほどと同じように隣の山に追い込んでいます! ご命令通り、つかずはなれずの距離を保っています。山下と空の両面から監視しているので問題ありません!」
「そう、ご苦労様。もう下がっていいわよ、雑魚」
「は、はい!」
怪人は草場の陰へ戻っていく。
「今この山にはどのくらいの怪人がいるの?」
あるみがいろかに訊く。
「さあ、雑魚のことだからいちいち数えていられないわ。二百ぐらいだったかしらね」
「に、二百!?」
かなみは辺り一帯、それから景色を見渡してみる。
「怪人なんて見えないんだけど……」
「息をひそめて待機しているのよ。私が合図したら一斉にヘヴルへ向かっていくわ」
かなみのつぶやきに、いろかが答えるように言う。
「さっきの怪人も?」
「ええ。雑魚なのだから私の命令をきくしか能が無いのよ」
好ましくない言い方だと、かなみはいろかへ不快感を露にする。
フフ、と、いろかはそんなかなみの視線を受け流す。
「それでヘヴルを倒せるの?」
あるみの方は気にせず、質問を続ける。
「いえ、無理でしょうね」
いろかは当然のように答える。
それは、かなみにとって意外なものだった。
「二百も怪人がいるのに?」
「いったでしょ、雑魚なんだから」
「文字通り、一騎当千ってわけね」
あるみは感心する。
「彼を倒せるとするなら、同じ十二席か私以外の支部長の中の誰かでしょうね。あるいはあなた達の魔法少女の誰か」
いろかがそう言うと、かなみはいろかから視線を感じる。
まるで、あなたが倒すのよ、と、脅迫されているような感覚だ。
「他の支部長は来るの?」
「いずれ、くるでしょうね。ここは関東支部長のいない無法地帯みたいなものだから」
あるみの問いに、いろかは答える。
「あたしらの住んでるとこ、無法地帯なのね」
みあがぼやく。
「なんで、そういうことになったのかしら?」
かなみは首を傾げる。
「カリウス様がいなくなってしまったからですよ」
「うわあ!?」
いきなり横にさっきの怪人が現れて口出ししてくるから、かなみは驚く。
「いきなり飛び出してこないでよ」
「すみません。どうしても言いたくなりまして」
「いや、そういうわけじゃなくて……カリウスがいなくなったから、って前にも聞いたような」
「カリウス様が消息を絶ってから、関東支部長は不在の状況が続いて、自分達へ命令する支部長がいないと全国から怪人が雪崩れ込むようになっているのが今の関東の怪人状況なんです」
「イヤな状況ね……上がいないとみんな好き勝手やるってわけね」
みあは言う。
大企業の社長令嬢らしい発言にも聞こえた。
「……その上を決める争いでまた好き勝手やってるんだから、どうしようもないわよ」
いろかは皮肉交じりに言う。
「それで、私達はどうすればいいんですか?」
かなみはあるみへ訊く。
あるみに訊いたのはできれば、いろかと関わりたくないからだ。
「タイミングを見計らって、ヘヴルと戦ってもらうわ」
「タイミングって?」
「支部長が割って入ってくる頃合いよ」
「支部長が!?」
「支部長といえども、十二席の座は魅力的なのよ」
いろかは言う。
「おそらく、もうそろそろやってくるでしょうね」
その一言にかなみ達は緊迫感を覚えた。
ヘヴルはこの山に潜んでから一日が経とうとしていた。
パリパリパリ!!
次元が割れる音がやたらと耳に響く。
「どうしても俺を追い返したいようだな……」
次に割れるのは一時間後か、いやそれよりももっと早いか。
いずれにしても長くこの世界に留まっていてはろくなことにならない。
ただ、それでもこの世界にはまだやり残したことがある。
ウィィィィィン!!
凄まじい金切り音が響き渡る。
「――来たか!」
ヘヴルは喜々とした表情を浮かべる。
これまでの名を知らぬ怪人、周囲を取り囲んでいる雑魚とはわけが違う。
本物の強者――支部長がやってきたのだ。
「名を聞こう」
ヘヴルは姿を現した支部長へ問う。
「中国支部長・チューソー!」
ネズミの頭をした偉丈夫の怪人が堂々と名乗りを上げ、ヘヴルはニヤリと笑う。
ズドォォォン!!
地震にも似た山鳴りに、かなみ達はひっくり返りそうになる。
「支部長がやってきたのよ」
「チューソー様です」
怪人がまた唐突に現れてその名前を告げる。
「チューソーって?」
「中国支部長よ」
かなみの問いに、いろかは答える。
「頃合ってわけね」
千歳は言い、涼美へ合図を送る。
「それじゃ~かなみ~私はぁあの山のふもとにいるからぁ」
「そこで次元の穴を作っておくから、ヘヴルをちゃんと放り込んでね」
そう言って二人は、隣の山へ向かっていく。
「放り込むって……」
かなみはとんでもない無茶振りをされた気分になった。
「それでヘヴルとチューソー、どっち分があるの?」
あるみはいろかに訊く。
「さあ。同じ支部長でもどれだけのチカラを持っているのかわからないわ。ただヘヴルだって伊達に十二席の座についているわけじゃないわ。たとえ別の世界の、でもね」
ズドォォォン!!
いろかの返答に応じるように、また隣の山鳴りがする。
「そろそろ行ってもらうわよ」
いろかは言う。
「かなみちゃん」
「やっぱり、いかなきゃいけないでしょうか……」
あるみに言われて、かなみは渋々応じる。
「私にやれるんでしょうか?」
かなみはあるみへ問う。
いざ戦うとなった時、ヘヴルの強さを目の当たりにして弱気にかられる。自分ではまるっきり勝ち目が無いかもとも思う。
「やれるわ」
あるみは何の迷いもなく言い切る。
「何度でも言うわ。かなみちゃんならやれるわ」
「………………」
かなみは少しの間、閉口した後こう答える。
「はい!」
あるみがそう言ってくれるのならと思う。
私が私のことを信じられなくても、あるみが私のことを信じてくれるのなら、私は信じられる。
「こちらです」
怪人が案内してくれる。
ズドォォォン!! ズドォォォン!!
そして、山鳴りがだんだん大きくなってくる。爆心地へ近づいていることを否が応でも実感する。
「あれが魔法少女か」
「いろか様の命令だ。手を出しちゃならねえ」
山道を進んでいくと何人もの怪人と目が合う。その度に戦いになるのかと身構えたけど、大人しく素通ししてくれた。
何ともいえない奇妙な感覚だ。
「いろか様が契約なさっていますからね。ヘヴルを倒すまで私達はあなた方に手出しは出来ませんよ」
案内役の怪人はそう言う。
「……お前が、魔法少女カナミか?」
しかし、これまでと違って敵意を剥き出しにした怪人が三、四人のグループを組んで現れる。
「お前を倒せば十二席入りだぜ!」
「大したことなさそうだから、ちょろいもんだぜ!」
ここで戦いを仕掛けてくるつもりらしい。いろかがここにいる怪人とは協同耐性に入っているから襲ってこないと言っていたのに。
「お前ら、いろか様の命令を忘れたのか!?」
案内役の怪人は怒声を上げる。
どうやら、この怪人はいろかに忠実なようで一応は味方らしい。
「忘れちゃいねえよ! だが、お前こそ忘れちゃいねえか!?」
「カナミを倒して俺が十二席になれば、いろか様を、いや、いろかを命令する立場になれるんだぜ!」
「こんな千載一遇のチャンスを逃してたまるかってんだ!!」
グループは一斉に襲い掛かる。
「「「「「マジカルワークス!!」」」」」
五人は一斉に変身する。
「尺が心もとないから、口上は省略ね」
などとマニィが言って、いつもの口上は省略された。
「魔法少女かなみの首は俺がもらった!」
怪人達が怯んだけど、一人だけ飛び掛かった。
ゴォォォォォン!!
そこへ大木がいきなり飛んできて、怪人は吹っ飛ばされた。
「な、なに!?」
「また来るわよ!!」
戸惑うカナミに対して、モモミは空を指す。
カナミはこれを魔法弾で撃ち落として軌道修正する。
「一体何なのこれ!?」
「多分、ヘヴルとチューソーの戦いで飛ばされてきたのよ」
スイカが言う
ズドォォォン!!
その推論を裏付けるように、山鳴りがしてまた木が飛んでくる。
「ギャア!?」
「グェェッ!?」
カナミ達を襲おうとした怪人達はその木に倒される。
「……自業自得です」
シオリが辛辣なことを呟く。
「さあ行きましょう。戦場は近いんですから」
案内役の怪人は平然と促す。
「あんた、意外に肝がすわってるわね」
ミアは感心する。
ヘヴルとチューソーはお互いの拳を打ち合った。
お互いに丸太のようなたくましい腕のため、打ち合っただけで山鳴りが起きる。
「ぐ!?」
だが、チューソーにはこの勝負、分が悪かった。
ヘヴルが六本の腕を持っているのに対して、チューソーは二本しかない。
六対二で、単純に三倍の戦力差があるということだ。
このまま打ち合っていたら、腕の数で負けてしまう。
「ならば!」
チューソーは鼻を鳴らす。
ウィィィィィン!!
のこぎりのようなけたたましい金切り音を鼻から立てて、顔を振る。
「これぞ、チューソーのチェーンソー!!」
すると木々が斬れて、ヘヴルへ倒れていく。
「ぬぅん!」
ヘヴルはこれを剛腕で吹っ飛ばしていく。
「おりゃああッ!!」
チューソーは大木をどんどん飛ばしていきつつ、ヘヴルへ突撃する。
「ぬぅん!」
ヘヴルは六本の腕を駆使して向かってくる大木を吹っ飛ばす。
その隙を縫って、チューソーは拳を突き出す。
文字通り、足りない手数を木をぶつけることで補う戦法だ。
「工夫は認める。だが、そんな戦法いつまでも続けられるわけがない」
「何!」
指摘されたチューソーは自分の周囲に木が無くなりつつあることに気づく。
「ならば、このを丸裸にする前に倒す!」
「そう簡単にいくまい!」
ヘヴルとチューソーは拳を打ち合う。
そんな二人の戦いぶりを遠くから見て、及び腰になっている怪人達がいた。
「おい、どうする?」
「どうするって?」
「戦うんじゃねえのか!? お前、言ってたよな?『ヘヴルの野郎ぶったおして、絶対に十二席になる!』って!!」
「ああ、言ってたぜ! だがよ、あの戦いを見たらよ……」
「怖じ気づいたか?」
「んなわけねえだろ!!」
「だったら早く行けよ!」
「そういうお前こそいけよ!」
「おお!?」
「ああ!?」
怪人達は言い争いを始める。
「黙れぇぇぇぇッ!!」
そこへある怪人の怒声が響き渡る。それとともに木々や草が、ゴォと燃えがる。
「ヒィッ!?」
怪人達は思わず悲鳴を上げる。
その怪人と自分達では、あまりにも格が違いすぎたからだ。
何故なら、その怪人は――。
「「「四国支部長ヒバシラ様!!?」」」
「あ……まずいことになったわね」
いろかは隣の山の一角を見て言う。
その一角は火の手を上がっていて、一般人が見ていたら「山火事だ!」と大騒ぎになっていたことだろう。
「あの火事が? それとも、もう一人の支部長が現れたこと?」
「火で一山焼けるぐらい、どうということはないわ。問題はあれに部下達が巻き込まれることよ」
「思っていたより部下想いなのね」
「そんなこと言って呑気にしている場合かしら? あなたの娘達もあの火事に巻き込まれるのよ」
「私は契約してるから手出しできない。だから、ジタバタしてもしょうがないと思ってるだけよ」
「そう……ジタバタするあなたも見てみたかったけど」
「ご期待にそえず、ごめんなさいね」
あるみは嫌味を言う。すると、いろかの微笑みに青筋が浮かぶ。
「とはいっても」
いろかは大仰な仕草で仕切りなおすように告げる。
「あなたがジタバタしても、しなくても状況は変わらないわ! あなたの娘達が勝つか、負けるか!存分にここから見物しましょう! 高みの見物をね!!」
「………………」
あるみは無言だった。
「ジタバタしても仕方が無いと言っているが……」
肩に乗っているリリィが耳元で囁くように言う。
「今すぐにでも契約を破棄してでも駆けつけたいのだろう」
あるみはそれに対して何も言わなかった。
「――火か!」
ヘヴルの周囲が炎に包まれた。
「ヘヴルの首は俺がもらったぁぁぁぁッ!!」
怒声に応じるように、周囲の炎がヘヴルへ猛獣のように襲い掛かる。
「ヒバシラか! 余計なことを!」
チューソーがヒバシラへ振り立てる。
「ハ! 早い者勝ちだ! 席は一つしかないんだからな!!」
「ならば!」
チューソーは駆け出す。
「おう!!」
ヒバシラもそれに応じて駆ける。
「「「ヘヴル覚悟!!!!」」」
二人が狙うのは、ヘヴルの首ただ一つであった。
ズゴォォォォン!!
ヘヴルとチューソー、ヒバシラが戦っている場所へ向かうカナミ達。震動はより一層激しく、火の粉までこちらに飛び散ってきた。
「山火事かしら?」
スイカが言う。
「これ、あるみ社長からの伝達なんだけど」
マニィが前置きして言う。
あるみとマニィ達マスコットは距離が離れていても魔力供給で繋がっており、感覚や情報を共有できる。
「四国支部長ヒバシラもやってきたそうだよ」
「名前からして暑苦しそうなやつね。それじゃ、山火事もそいつのせいね」
ミアは文句を言って、火の手が上がっている方を見る。
「なんと……支部長が二人もやってきましたか」
案内役の怪人は驚く
ズゴォォォォン!!
再び山が揺れる。
「十二席に……支部長二人……」
カナミが戦いが起きているであろう方向を見つめて立ち止まる。
間近に迫ってきた戦場に気圧されてきた。
今この山で起きている戦いは、もとはといえば自分がこの世界に帰るためにヘヴルを巻き込んでしまったことが原因だ。だから自分がなんとかしなければと思ってここまで来たんだけど……。
――怖い。私があそこにいっても、きっと何もできない。
今さらだけど、恐怖で足がすくみそうになる。
「怖いか、かなみよ?」
煌黄がその心情を察して問いかける。
「無理もないことじゃ。人であればあれだけのチカラを見せつけられて恐怖しても仕方が無い。たとえ、この場から逃げ出したとしても誰も責めはせぬぞ」
「こ、コウちゃん、何を言っているの?」
「なあに、誰かがヘヴルを倒して元の世界に帰せばそれでよいのじゃ。その役割を儂が担ったところで何の問題は無い。むしろ、そっちの方がごく自然のことじゃよ」
「仙人ってそんなことしなくちゃいけないの?」
「まあな。これも人を捨て、人の領域を踏み越えてしまった仙人の義務というやつでな。まあ、ここまでの大事となると、ちと儂の手に余るかもしれんからな。恥を忍んで、お主達に協力を仰いだわけなんじゃが」
「でも、あれはもとはといえば私が」
「そこはそれほど問題ではない。大事なのはどうやって解決するか、じゃからな。言うたであろう、仙人とはこういうことを解決するためにいるようなものじゃ」
「コウちゃん……」
煌黄からかなみを想っての発言だと伝わってくる。
「………………」
カナミ達は沈黙する。
しかし、すぐにカナミがこう答える。
「コウちゃん、ありがとう。でも、コウちゃん一人には任せられないよ」
「カナミ」
「コウちゃんにそんなこと言われたら任せられないわよ。コウちゃん、言ったでしょ。大事なのはどうやって解決するか、だって。だったら、私が解決する!」
「私、達でしょ」
ミアが付け加える。他の魔法少女達も気持ちは同じのようだ。
「しかし、これは人ではない仙人の領域なんじゃぞ」
「大丈夫!」
かなみは自分にも言い聞かせるように、力強く言う。
「だって、私達は魔法少女だから! それに、困っている友達や仲間を絶対に見捨てておけないから!!」
「む……! 儂のことを困っている友達、とな……」
そこまで言われて、煌黄は頭を沈める。少し表情が見づらくなった。
「わ、儂は別に困っているわけではないぞ」
「もしかしてコウさん、照れてますか?」
シオリが訊く。
「て、照れてなぞおらん! ほれ、とっとといくぞ、早くせんとまずいことになるやもしれぬからな!!」
「……わかりやすい」
ミアがぼやく。
「もしかして、あの仙人もライバル……?」
スイカは一抹の不安を口にする。
いろかがそう言ったことで、あるみは足を止める。
「いい眺め……」
かなみは景色を見て思わず呟く。
こんな状況にも関わらず、景色は変わらないのがなんともいえない。
「普通にハイキングで来たかった……かなみさんと……」
翠華も呟く。
「……呑気ね、こいつら」
「みあさん、何か気になることがあるんですか?」
「怪人が周りにいるのよ」
「……え?」
みあの一言で、かなみ達は周囲を見回す。
「箸にも棒にも掛からないぐらい弱いせいで気づきにくいんだけどね」
「誰が箸にも棒にもだ!?」
草場から怪人が怒声をあげてやってくる。
「うわあ、全然気づかなかったわ!?」
かなみは驚く。
「こいつらは偵察用よ」
いろかは言う。
「あなたの言う通り、箸にも棒にもかかわらない雑魚よ」
「そんな、いろか様!!」
怪人は懇願するように言う。
「よくわかったわね、みあちゃん。えらいえらい」
千歳はみあの頭を撫でる。
「こ、こんなの誰でもわかるわよ。あんたやかなみのお母さんだってわかってたでしょ?」
「フフ、心臓バクバクで~よおくわかったわよぉ」
みあにそう言われて、涼美が言う。
「全然わからなかった……」
かなみは呆気に取られる。
「私も……」
「……です」
翠華も紫織も同じ反応をする。
「雑魚の気配に気づいたからって何の自慢にもならないわよ」
萌実は鼻を鳴らす。
「雑魚……ザコ……」
怪人は少女達にも散々に言われ、落ち込む。
「雑魚なのは事実なんだから落ち込んでも仕方ないわ。それより、首尾はどうなっているの?」
いろかはさらに追い立てるように言う。
「は、はい……! 先ほどと同じように隣の山に追い込んでいます! ご命令通り、つかずはなれずの距離を保っています。山下と空の両面から監視しているので問題ありません!」
「そう、ご苦労様。もう下がっていいわよ、雑魚」
「は、はい!」
怪人は草場の陰へ戻っていく。
「今この山にはどのくらいの怪人がいるの?」
あるみがいろかに訊く。
「さあ、雑魚のことだからいちいち数えていられないわ。二百ぐらいだったかしらね」
「に、二百!?」
かなみは辺り一帯、それから景色を見渡してみる。
「怪人なんて見えないんだけど……」
「息をひそめて待機しているのよ。私が合図したら一斉にヘヴルへ向かっていくわ」
かなみのつぶやきに、いろかが答えるように言う。
「さっきの怪人も?」
「ええ。雑魚なのだから私の命令をきくしか能が無いのよ」
好ましくない言い方だと、かなみはいろかへ不快感を露にする。
フフ、と、いろかはそんなかなみの視線を受け流す。
「それでヘヴルを倒せるの?」
あるみの方は気にせず、質問を続ける。
「いえ、無理でしょうね」
いろかは当然のように答える。
それは、かなみにとって意外なものだった。
「二百も怪人がいるのに?」
「いったでしょ、雑魚なんだから」
「文字通り、一騎当千ってわけね」
あるみは感心する。
「彼を倒せるとするなら、同じ十二席か私以外の支部長の中の誰かでしょうね。あるいはあなた達の魔法少女の誰か」
いろかがそう言うと、かなみはいろかから視線を感じる。
まるで、あなたが倒すのよ、と、脅迫されているような感覚だ。
「他の支部長は来るの?」
「いずれ、くるでしょうね。ここは関東支部長のいない無法地帯みたいなものだから」
あるみの問いに、いろかは答える。
「あたしらの住んでるとこ、無法地帯なのね」
みあがぼやく。
「なんで、そういうことになったのかしら?」
かなみは首を傾げる。
「カリウス様がいなくなってしまったからですよ」
「うわあ!?」
いきなり横にさっきの怪人が現れて口出ししてくるから、かなみは驚く。
「いきなり飛び出してこないでよ」
「すみません。どうしても言いたくなりまして」
「いや、そういうわけじゃなくて……カリウスがいなくなったから、って前にも聞いたような」
「カリウス様が消息を絶ってから、関東支部長は不在の状況が続いて、自分達へ命令する支部長がいないと全国から怪人が雪崩れ込むようになっているのが今の関東の怪人状況なんです」
「イヤな状況ね……上がいないとみんな好き勝手やるってわけね」
みあは言う。
大企業の社長令嬢らしい発言にも聞こえた。
「……その上を決める争いでまた好き勝手やってるんだから、どうしようもないわよ」
いろかは皮肉交じりに言う。
「それで、私達はどうすればいいんですか?」
かなみはあるみへ訊く。
あるみに訊いたのはできれば、いろかと関わりたくないからだ。
「タイミングを見計らって、ヘヴルと戦ってもらうわ」
「タイミングって?」
「支部長が割って入ってくる頃合いよ」
「支部長が!?」
「支部長といえども、十二席の座は魅力的なのよ」
いろかは言う。
「おそらく、もうそろそろやってくるでしょうね」
その一言にかなみ達は緊迫感を覚えた。
ヘヴルはこの山に潜んでから一日が経とうとしていた。
パリパリパリ!!
次元が割れる音がやたらと耳に響く。
「どうしても俺を追い返したいようだな……」
次に割れるのは一時間後か、いやそれよりももっと早いか。
いずれにしても長くこの世界に留まっていてはろくなことにならない。
ただ、それでもこの世界にはまだやり残したことがある。
ウィィィィィン!!
凄まじい金切り音が響き渡る。
「――来たか!」
ヘヴルは喜々とした表情を浮かべる。
これまでの名を知らぬ怪人、周囲を取り囲んでいる雑魚とはわけが違う。
本物の強者――支部長がやってきたのだ。
「名を聞こう」
ヘヴルは姿を現した支部長へ問う。
「中国支部長・チューソー!」
ネズミの頭をした偉丈夫の怪人が堂々と名乗りを上げ、ヘヴルはニヤリと笑う。
ズドォォォン!!
地震にも似た山鳴りに、かなみ達はひっくり返りそうになる。
「支部長がやってきたのよ」
「チューソー様です」
怪人がまた唐突に現れてその名前を告げる。
「チューソーって?」
「中国支部長よ」
かなみの問いに、いろかは答える。
「頃合ってわけね」
千歳は言い、涼美へ合図を送る。
「それじゃ~かなみ~私はぁあの山のふもとにいるからぁ」
「そこで次元の穴を作っておくから、ヘヴルをちゃんと放り込んでね」
そう言って二人は、隣の山へ向かっていく。
「放り込むって……」
かなみはとんでもない無茶振りをされた気分になった。
「それでヘヴルとチューソー、どっち分があるの?」
あるみはいろかに訊く。
「さあ。同じ支部長でもどれだけのチカラを持っているのかわからないわ。ただヘヴルだって伊達に十二席の座についているわけじゃないわ。たとえ別の世界の、でもね」
ズドォォォン!!
いろかの返答に応じるように、また隣の山鳴りがする。
「そろそろ行ってもらうわよ」
いろかは言う。
「かなみちゃん」
「やっぱり、いかなきゃいけないでしょうか……」
あるみに言われて、かなみは渋々応じる。
「私にやれるんでしょうか?」
かなみはあるみへ問う。
いざ戦うとなった時、ヘヴルの強さを目の当たりにして弱気にかられる。自分ではまるっきり勝ち目が無いかもとも思う。
「やれるわ」
あるみは何の迷いもなく言い切る。
「何度でも言うわ。かなみちゃんならやれるわ」
「………………」
かなみは少しの間、閉口した後こう答える。
「はい!」
あるみがそう言ってくれるのならと思う。
私が私のことを信じられなくても、あるみが私のことを信じてくれるのなら、私は信じられる。
「こちらです」
怪人が案内してくれる。
ズドォォォン!! ズドォォォン!!
そして、山鳴りがだんだん大きくなってくる。爆心地へ近づいていることを否が応でも実感する。
「あれが魔法少女か」
「いろか様の命令だ。手を出しちゃならねえ」
山道を進んでいくと何人もの怪人と目が合う。その度に戦いになるのかと身構えたけど、大人しく素通ししてくれた。
何ともいえない奇妙な感覚だ。
「いろか様が契約なさっていますからね。ヘヴルを倒すまで私達はあなた方に手出しは出来ませんよ」
案内役の怪人はそう言う。
「……お前が、魔法少女カナミか?」
しかし、これまでと違って敵意を剥き出しにした怪人が三、四人のグループを組んで現れる。
「お前を倒せば十二席入りだぜ!」
「大したことなさそうだから、ちょろいもんだぜ!」
ここで戦いを仕掛けてくるつもりらしい。いろかがここにいる怪人とは協同耐性に入っているから襲ってこないと言っていたのに。
「お前ら、いろか様の命令を忘れたのか!?」
案内役の怪人は怒声を上げる。
どうやら、この怪人はいろかに忠実なようで一応は味方らしい。
「忘れちゃいねえよ! だが、お前こそ忘れちゃいねえか!?」
「カナミを倒して俺が十二席になれば、いろか様を、いや、いろかを命令する立場になれるんだぜ!」
「こんな千載一遇のチャンスを逃してたまるかってんだ!!」
グループは一斉に襲い掛かる。
「「「「「マジカルワークス!!」」」」」
五人は一斉に変身する。
「尺が心もとないから、口上は省略ね」
などとマニィが言って、いつもの口上は省略された。
「魔法少女かなみの首は俺がもらった!」
怪人達が怯んだけど、一人だけ飛び掛かった。
ゴォォォォォン!!
そこへ大木がいきなり飛んできて、怪人は吹っ飛ばされた。
「な、なに!?」
「また来るわよ!!」
戸惑うカナミに対して、モモミは空を指す。
カナミはこれを魔法弾で撃ち落として軌道修正する。
「一体何なのこれ!?」
「多分、ヘヴルとチューソーの戦いで飛ばされてきたのよ」
スイカが言う
ズドォォォン!!
その推論を裏付けるように、山鳴りがしてまた木が飛んでくる。
「ギャア!?」
「グェェッ!?」
カナミ達を襲おうとした怪人達はその木に倒される。
「……自業自得です」
シオリが辛辣なことを呟く。
「さあ行きましょう。戦場は近いんですから」
案内役の怪人は平然と促す。
「あんた、意外に肝がすわってるわね」
ミアは感心する。
ヘヴルとチューソーはお互いの拳を打ち合った。
お互いに丸太のようなたくましい腕のため、打ち合っただけで山鳴りが起きる。
「ぐ!?」
だが、チューソーにはこの勝負、分が悪かった。
ヘヴルが六本の腕を持っているのに対して、チューソーは二本しかない。
六対二で、単純に三倍の戦力差があるということだ。
このまま打ち合っていたら、腕の数で負けてしまう。
「ならば!」
チューソーは鼻を鳴らす。
ウィィィィィン!!
のこぎりのようなけたたましい金切り音を鼻から立てて、顔を振る。
「これぞ、チューソーのチェーンソー!!」
すると木々が斬れて、ヘヴルへ倒れていく。
「ぬぅん!」
ヘヴルはこれを剛腕で吹っ飛ばしていく。
「おりゃああッ!!」
チューソーは大木をどんどん飛ばしていきつつ、ヘヴルへ突撃する。
「ぬぅん!」
ヘヴルは六本の腕を駆使して向かってくる大木を吹っ飛ばす。
その隙を縫って、チューソーは拳を突き出す。
文字通り、足りない手数を木をぶつけることで補う戦法だ。
「工夫は認める。だが、そんな戦法いつまでも続けられるわけがない」
「何!」
指摘されたチューソーは自分の周囲に木が無くなりつつあることに気づく。
「ならば、このを丸裸にする前に倒す!」
「そう簡単にいくまい!」
ヘヴルとチューソーは拳を打ち合う。
そんな二人の戦いぶりを遠くから見て、及び腰になっている怪人達がいた。
「おい、どうする?」
「どうするって?」
「戦うんじゃねえのか!? お前、言ってたよな?『ヘヴルの野郎ぶったおして、絶対に十二席になる!』って!!」
「ああ、言ってたぜ! だがよ、あの戦いを見たらよ……」
「怖じ気づいたか?」
「んなわけねえだろ!!」
「だったら早く行けよ!」
「そういうお前こそいけよ!」
「おお!?」
「ああ!?」
怪人達は言い争いを始める。
「黙れぇぇぇぇッ!!」
そこへある怪人の怒声が響き渡る。それとともに木々や草が、ゴォと燃えがる。
「ヒィッ!?」
怪人達は思わず悲鳴を上げる。
その怪人と自分達では、あまりにも格が違いすぎたからだ。
何故なら、その怪人は――。
「「「四国支部長ヒバシラ様!!?」」」
「あ……まずいことになったわね」
いろかは隣の山の一角を見て言う。
その一角は火の手を上がっていて、一般人が見ていたら「山火事だ!」と大騒ぎになっていたことだろう。
「あの火事が? それとも、もう一人の支部長が現れたこと?」
「火で一山焼けるぐらい、どうということはないわ。問題はあれに部下達が巻き込まれることよ」
「思っていたより部下想いなのね」
「そんなこと言って呑気にしている場合かしら? あなたの娘達もあの火事に巻き込まれるのよ」
「私は契約してるから手出しできない。だから、ジタバタしてもしょうがないと思ってるだけよ」
「そう……ジタバタするあなたも見てみたかったけど」
「ご期待にそえず、ごめんなさいね」
あるみは嫌味を言う。すると、いろかの微笑みに青筋が浮かぶ。
「とはいっても」
いろかは大仰な仕草で仕切りなおすように告げる。
「あなたがジタバタしても、しなくても状況は変わらないわ! あなたの娘達が勝つか、負けるか!存分にここから見物しましょう! 高みの見物をね!!」
「………………」
あるみは無言だった。
「ジタバタしても仕方が無いと言っているが……」
肩に乗っているリリィが耳元で囁くように言う。
「今すぐにでも契約を破棄してでも駆けつけたいのだろう」
あるみはそれに対して何も言わなかった。
「――火か!」
ヘヴルの周囲が炎に包まれた。
「ヘヴルの首は俺がもらったぁぁぁぁッ!!」
怒声に応じるように、周囲の炎がヘヴルへ猛獣のように襲い掛かる。
「ヒバシラか! 余計なことを!」
チューソーがヒバシラへ振り立てる。
「ハ! 早い者勝ちだ! 席は一つしかないんだからな!!」
「ならば!」
チューソーは駆け出す。
「おう!!」
ヒバシラもそれに応じて駆ける。
「「「ヘヴル覚悟!!!!」」」
二人が狙うのは、ヘヴルの首ただ一つであった。
ズゴォォォォン!!
ヘヴルとチューソー、ヒバシラが戦っている場所へ向かうカナミ達。震動はより一層激しく、火の粉までこちらに飛び散ってきた。
「山火事かしら?」
スイカが言う。
「これ、あるみ社長からの伝達なんだけど」
マニィが前置きして言う。
あるみとマニィ達マスコットは距離が離れていても魔力供給で繋がっており、感覚や情報を共有できる。
「四国支部長ヒバシラもやってきたそうだよ」
「名前からして暑苦しそうなやつね。それじゃ、山火事もそいつのせいね」
ミアは文句を言って、火の手が上がっている方を見る。
「なんと……支部長が二人もやってきましたか」
案内役の怪人は驚く
ズゴォォォォン!!
再び山が揺れる。
「十二席に……支部長二人……」
カナミが戦いが起きているであろう方向を見つめて立ち止まる。
間近に迫ってきた戦場に気圧されてきた。
今この山で起きている戦いは、もとはといえば自分がこの世界に帰るためにヘヴルを巻き込んでしまったことが原因だ。だから自分がなんとかしなければと思ってここまで来たんだけど……。
――怖い。私があそこにいっても、きっと何もできない。
今さらだけど、恐怖で足がすくみそうになる。
「怖いか、かなみよ?」
煌黄がその心情を察して問いかける。
「無理もないことじゃ。人であればあれだけのチカラを見せつけられて恐怖しても仕方が無い。たとえ、この場から逃げ出したとしても誰も責めはせぬぞ」
「こ、コウちゃん、何を言っているの?」
「なあに、誰かがヘヴルを倒して元の世界に帰せばそれでよいのじゃ。その役割を儂が担ったところで何の問題は無い。むしろ、そっちの方がごく自然のことじゃよ」
「仙人ってそんなことしなくちゃいけないの?」
「まあな。これも人を捨て、人の領域を踏み越えてしまった仙人の義務というやつでな。まあ、ここまでの大事となると、ちと儂の手に余るかもしれんからな。恥を忍んで、お主達に協力を仰いだわけなんじゃが」
「でも、あれはもとはといえば私が」
「そこはそれほど問題ではない。大事なのはどうやって解決するか、じゃからな。言うたであろう、仙人とはこういうことを解決するためにいるようなものじゃ」
「コウちゃん……」
煌黄からかなみを想っての発言だと伝わってくる。
「………………」
カナミ達は沈黙する。
しかし、すぐにカナミがこう答える。
「コウちゃん、ありがとう。でも、コウちゃん一人には任せられないよ」
「カナミ」
「コウちゃんにそんなこと言われたら任せられないわよ。コウちゃん、言ったでしょ。大事なのはどうやって解決するか、だって。だったら、私が解決する!」
「私、達でしょ」
ミアが付け加える。他の魔法少女達も気持ちは同じのようだ。
「しかし、これは人ではない仙人の領域なんじゃぞ」
「大丈夫!」
かなみは自分にも言い聞かせるように、力強く言う。
「だって、私達は魔法少女だから! それに、困っている友達や仲間を絶対に見捨てておけないから!!」
「む……! 儂のことを困っている友達、とな……」
そこまで言われて、煌黄は頭を沈める。少し表情が見づらくなった。
「わ、儂は別に困っているわけではないぞ」
「もしかしてコウさん、照れてますか?」
シオリが訊く。
「て、照れてなぞおらん! ほれ、とっとといくぞ、早くせんとまずいことになるやもしれぬからな!!」
「……わかりやすい」
ミアがぼやく。
「もしかして、あの仙人もライバル……?」
スイカは一抹の不安を口にする。
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