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第90話 野営! 野山をめぐる少女と少女の葛藤 (Aパート)
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仕事が終わったあとの深夜。
庭でスイカはレイピアの素振りをしていた。
「千回!」
目にも止まらない突きを繰り返していき、とうとうそんな回数になった。
「はあ~」
一息ついて、変身を解く。
「こんなんじゃダメね……」
最近、毎晩こうして魔法の特訓をしているものの、強くなれた気がしない。
「せめて足手まといにならないくらいには……」
そう思っているものの、ままならない。
この前のヘヴルとの戦いではチカラにはなれなかった。
自分にチカラがあったら、かなみはあんなにボロボロになってまで戦うことはなかった。
「チカラになりたいんだけど……」
「誰の?」
「わ、きゃ!? 姉さん!?」
家に入ったら、独り言を聞かれてしまった。
姉の愛華(まなか)だ。魔法少女に変身しているところを見られているんじゃないかとドキッとする。
「こんな時間までバイト? 毎日大変ね」
「ううん、好きでやってることだから」
「そう、好きな人がいるからなのね」
「えぇ!?」
愛華はニヤリと笑う。
「わっかりやすい反応ね。妹としてはめちゃくちゃかわいいわ」
「お姉ちゃん、からかわないで」
「からかったんじゃなくてかまかけたのよ」
「屁理屈ね……」
「もうそんなにすねないでよ。って、自分の部屋に入らないでー!」
「お姉ちゃんと話すことなんてないから」
「あ~からかったのは悪かったわ。だから好きな人の話聞かせて―!」
翠華は愛華から目を背けて扉を締める。
多分、今は顔が赤くなっていることだろう。
翌日、翠華は学校が終わってオフィスへやってくると紫織とみあがいた。かなみは多分、もう外に出ていたんだろう。
「あ~最近身体の調子がいいわね」
みあはそのままピョンピョン飛び跳ねそうなほどに上機嫌だった。
「怪獣退治してからずっとそんな調子ね」
「ええ、あるみが言うには怪獣の魔力を取り込んだおかげらしいのよ」
「か、怪獣の魔力を!?」
「おかげで魔法の攻撃力も格段に上がったわ。昨日も怪人を一発で仕留められたし」
「そ、それはすごいわね!」
ちょっとうらやましいと思った。
どうやったら強くなれるのか思い悩んでいるだけに一気に置いていかれたような気がする。
「私も怪獣に食べられたら強くなれるのかしら?」
「いや、やめた方がいいわ」
みあは珍しく釘を刺す。
「危うく意識をもっていかれかけたし、一歩間違えたら消化されてたかもだしね」
「あ……」
それはできれば真似したくない方法だった。
「それに怪獣は百年に一回発生するかどうかだし」
そもそも真似できる方法じゃなかった。
「……みあちゃんに差をつけられた気分ね」
「まだあるみには遠く及ばないけどね」
それはそうね、と翠華も心の中で同意した。
バタン!!
とんでもない音を出して扉が開かれる。
「あ~、かなみちゃん、まだ来てないのね」
こんな音を立ててくるのはあるみだ。
「かなみさんに何か?」
「かなみちゃんにぴったりの仕事があってね」
「ぴったりの仕事?」
少し興味が湧く。
「あ~どうせろくでもないものでしょ」
「みあちゃん……」
みあの歯に衣着せぬ物言いに、翠華は苦笑する。
「それじゃみあちゃん、やってみる?」
「じょ、冗談じゃないわよ。だいたい骨折り損のくたびれもうけになる決まってるんだから!」
「そうとも限らないわよ。かなみちゃん、最近稼いでるし」
「あの……それはどんなお仕事なんですか?」
翠華は興味を示す。
「やめた方がいいわよ」
みあは忠告する。
「翠華ちゃん、やってみる?」
あるみは封筒を翠華に渡す。
「おはようございます」
かなみはオフィスへやってくる。
「遅かったじゃない」
みあが言う。
「今日は日直と掃除当番が重なっちゃってね」
「そりゃ災難ね。ま、翠華には負けそうだけど」
「え、翠華さんがどうかしたの?」
そう言われて、かなみは翠華がいないことに気づく。
「あんたにぴったりの仕事を引き受けていったわ」
「わ、私にぴったりの仕事? それってどういうの?」
「さあ、あるみに聞いてみたら?」
「その社長はいないんだけど……」
あるみは外に出ていることが多いから、翠華の方が先に帰ってきそうだった。
翠華が帰ってきたらどんな仕事だったのか聞こうと思った。
しかしその日、オフィスに翠華が帰ってくることはなかった。
次の日は休日で、かなみは朝からオフィスへやってきた。
「おはようございます」
しかし、他にいなかった。
別に珍しいことではない。休日には他の子達は本当に休んでいることが多く、一人でいることだってある。
「翠華さんに、何の仕事をしたのか聞こうと思ったのに」
「翠華ちゃんならまだ帰ってきてないわよ」
「わあああッ!?」
千歳がするりと入ってくる。
千歳はたまに幽体になって、扉を開けたり、物音を立てずにやってくる。恐ろしく心臓に悪い。
「千歳さん、驚かさないでください」
「ごめんね。こうして驚かせるのが生きがいだから」
「幽霊なのに生きがいって笑えませんよ」
「あははは、そうね」
「それより翠華さんが帰ってないって?」
「あ~、さっきちょっと、あるみちゃんと話してね」
「その社長は?」
「出かけたわ。今日は帰らないって」
「ふうん……」
別に珍しいことじゃなかった。
一度、あるみが出かけていって帰ってこないことが多い。
ただ、それで翠華がどんな仕事をしているのかわからない。わからないから気になってくる。
「マニィ、知ってる?」
「さあね」
「社長に聞きなさい」
「多分聞いても自分で聞きなさいって言われるよ」
「それもそうね……」
しかし、その社長は今日は帰ってこない。
仕方なく、かなみは一日中業務をして過ごした。
次の日も休日で、かなみは朝からオフィスへやってきた。
「おはようございます」
いつものようにオフィスへ入ると、千歳がそこにいた。
「おはよう、かなみちゃん!」
今日は人形の姿だった。こっちの方が幾分か接しやすい。
「社長は?」
「今日はいるわよ」
バタン!!
扉を突き破る勢いで入ってくる。
「あら、かなみちゃん。今日もはやいわね」
「お、おかげさまで……」
かなみはせめてもの皮肉で言い返す。
「今日は仕事がないのよね。翠華ちゃんがかなみちゃんの仕事を引き受けたから」
「翠華さんが引き受けた仕事って何なんですか? っていうか、まだ帰ってないんですか?」
「帰ってないわよ。数日かかりそうな仕事だったからね」
「数日……そ、そんなに……」
「今週は連休だからね」
「そういう問題なんですか?」
「かなみちゃん、高校生になって欠席が多くなると最悪留年することだってあり得るのよ」
「それは大問題ですね!! 翠華さん、今日中には帰ってこられるんですか!?」
「さあ、それはわからないわね」
「ですから、どんな仕事を翠華にさせてるんですか!?」
かなみは血相を変えて問い詰める。
「そんなに気になるの?」
「そりゃ翠華さんの留年がかかってますから!」
「私が言ったのは最悪の場合よ」
「最悪でも起こりうるんでしょ! 翠華さんが留年したらどう責任とればいいんでしょうか!?」
「別にかなみちゃんが責任をとる必要はないと思うんだけど」
「翠華さんは私の代わりに仕事を引き受けたんじゃないですか!!」
「そりゃそうだけど」
「翠華さん、どんな仕事をしてるんですか!?」
「知ってどうするの?」
あるみの問いにかなみはこう答える。
「手伝います!」
バスを乗り継いで山奥に辿り着く。
『この先、クマが出ます。
ご注意してください』
そんな立て看板がある。
「クマが出たらどうしよう?」
かなみはマニィに問う。
こんな山奥なら人に見られる心配がないから堂々と肩に乗って喋られる。
「戦うか逃げるか、だよ」
「逃げるわね」
かなみは即答する。
「でも、クマって案外足速いよ」
「うーん、だったら死んだふりよ」
「戦うことは選ばないんだね」
「戦うって勝てるわけないじゃない」
「君はクマより強い怪人をいくらでも倒してきたじゃないか」
「それは魔法を使ったらの話でしょ」
「魔法を使って退治すればいいじゃないか」
「あ~そっか。怪人と戦うときと非常事態のとき以外は魔法を使わないように言われてるからつい」
「クマに襲われることは非常事態じゃないんだ」
「それもそうね」
「君の危機感にちょっと不安を覚えてきたよ」
「だ、大丈夫よ! それより早く翠華さんのところへ行きましょう!」
「はいはい、このまままっすぐだよ」
マニィは指示をする。
マニィはスイカと一緒にいるウシ型マスコット・ウシィはあるみとの魔力供給の線でつながっている。そのため、あるみとマスコット達はお互いの居場所を常に把握することができる。
翠華とウシィが一緒にいるなら、それで合流できるということだ。
フサフサ
背後から草が揺れる音がする。
「――!」
かなみはビクッと震える。
「何、今の?」
「この山奥で人がいるわけないからね」
「人じゃなかったら、今の音は何?」
「足音じゃない?」
「誰のかって聞いてるのよ」
「振り向いて確かめたら?」
「……振り向きたくない、あんたが振り向いて」
「仕方ないな……」
マニィはかなみの肩の上で百八十度回って告げる。
「クマだよ」
「え??」
かなみは振り向く。
クマがいた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
山びこで反響しそうな悲鳴が出る。
そして逃げる。
ドサドサドサッ!!
クマがものすごい物音を立ててやってくる。
必死に追いかけてくるのだ。
人が通っていない獣道だとどうしても足場が悪く、思いっきり走れない。
しかし、クマは獣なので獣道をものともせず進んでくる。
つまり、差がどんどんつまってくる。
「ええい、こうなったら!!」
かなみはコインを取り出して、変身する準備をする。
「いや、その必要はないよ」
マニィがそう言うと、前から青い光が飛び出してくる。
「スイカさん!!」
スイカは即座にレイピアを構える。
「ノーブル・スティンガー!!」
高速で突き出された一撃で、クマは吹っ飛ぶ。
「かなみさん、早くここから逃げましょう!」
「え、えぇ、どういうことですか!?」
「この山のボスクマがやってくるのよ!」
「ぼ、ボスクマ!?」
ドォン!!
直後に、爆撃のような足音がする。
すると、さっきよりも二回りも三回りも大きいクマがやってくる。
(ぼ、ボス……!)
一目見ただけで「この山のボスは俺だ」と風格を放っている。まさしくボスクマだ。
スイカはレイピアを構える。ボスクマはスイカを睨みつける。
一触即発の空気が流れる。
数秒、膠着が続いた後、ボスクマは後退して去っていく。
「どうしたんでしょうか?」
かなみはスイカに訊く。
「見た目よりも慎重なんでしょうね。戦って負けるかもしれないから戦わなかったんじゃないかしら」
「た、たしかにそれは慎重ね」
あの外見は後先考えずに突っ走ってくる獣のそれだとばかり思っていたのだけど。
「それよりも、かなみさんはどうしてここに?」
「あ、それは……スイカさんが留年しちゃいそうで心配で、お手伝いしたくて……」
「え、留年?」
「欠席が多いと留年するって、社長が!」
「私、一応毎日出席してるから、その点は心配ないと思うけど」
「あ、そうですか……」
かなみは安堵する。
「私のこと、心配してくれたの?」
翠華は問う。
かなみの様子からみて大体の心情を察したようだ。
「え、あぁ……その、はい……」
かなみは頷く。
「ありがとう」
翠華はお礼を言う。
「とりあえず、何もないところだけど」
と決まり文句のように翠華は言う。
「……本当に何もありませんね」
かなみは思わず遠慮なく言ってしまう。
翠華に案内されてやってきたのは、焚き火の跡と寝袋だけがあるほら穴だった。
「翠華さん、こんなところで寝泊まりしてるの?」
「ええ、テントが重くてね……寝袋でもなんとか寝れるわよ」
「私も寝袋をお借りしてきました」
オフィスの備品だった。
「そ、そうなの……」
「あ、でも、できれば今日中に見つけられたらいいのですけど!」
「そうね……もう二日も探しているんだけど、影も形もなくて」
「本当にいるんでしょうかね、――ツチノコ、なんて」
かなみがそう言うと、翠華は口をつぐむ。
『ツチノコを見つけて保護する』
それが今回の翠華の仕事であって、本来かなみが受けるはずだった仕事だ。
あるみの話ではこの山にいるはず、とのことだけど、とてもそうは思えない。
「ツチノコは一種の妖精かもしれなくてね。いるなら保護しておかないといけないのよ」
マニィはあるみが言っていたことを口真似して言う。
「相変わらず似てないわね」
かなみは苦言を呈する。
「ペットは飼い主に似るっていうけど」
「ボクはマスコットだし、社長は親みたいなものだから」
「それじゃ、親は子に似るってわけでもないのね」
「君のところと似たようなものだよ」
かなみと涼美のことを指してマニィは言う。
「……まあ確かに」
かなみはしかめ面で納得する。
「でも母さんならツチノコの足音を一発で聞き取れるかもしれないわね。私が来るより母さんが来た方が……」
「そ、そんなことないわよ! かなみさんが来てくれてとても頼もしいわ!!」
「本当ですか?」
「ええ、二人で協力してツチノコを探し当てましょう」
「はい!」
かなみは元気よく返事する。
そこから二人で手分けてして探し回った。
もし、またクマに出くわしたら、全力で逃げること、いざとなったら魔法少女に変身して応戦することを取り決めておく。
「ツチノコなんて、どこを探したら?」
かなみは辺り一面見渡して言う。
「どこかに巣を作っているわけじゃないしね」
「地道に探していくしか無いのね」
それでも二人になったことで探索できる範囲は広がっている、と前向きに考えて山道を歩いていく。
「かなみ、あれ」
「ツチノコ、いたの?」
「食べられる山菜だよ」
「え、本当!?」
かなみは山菜を取る。
「これ、本当に食べられるの?」
「茹でたり、天ぷらにするとね」
「なんでそういうこと知ってるの?」
「あるみ社長の知識だよ」
「社長……サバイバルでもしてたことあるの?」
「さあ、本人にでも訊いてみたら?」
マニィにはぐらかされる。
「社長がサバイバル……」
想像してみる。
わりとたくましく山や海を駆け巡って立派に生きている姿がありありと浮かぶ。
「違和感ないわね……」
かなみは苦笑する。
結局、一日山中を探し回ってツチノコは見つからなかった。
日が沈んで辺りが暗くなったころ、かなみはほら穴に戻る。
「かなみさん、遅くまでありがとう」
先に翠華は戻っていた。
「そんな、山の夜ってものすごく暗いから夜目がお役にたてなくてすみません」
「ううん、そんなことないわよ。かなみさんも一緒に頑張ってくれていると思うととても心強いわ」
「そうですか、よかった……」
翠華がそう言ってくれたことで、かなみも気持ちが晴れる。
「夕食にしましょう。水とカップ麺が十分にあるから」
「あ、私キノコと山菜とってきました!!」
「え?」
かなみは袋にいっぱい入れたキノコと山菜を見せる。
「こ、こんなに……?」
「マニィが食べられるキノコや山菜をいっぱい知っていまして、マニィは社長から教えてもらってたんですよ」
「なるほどね」
「鍋にしましょう!」
かなみはリュックからアルミ鍋を取り出す。
「味噌を入れれば、なんでも美味しいですよ!」
「そ、そうなの?」
「火は魔法でなんとかします」
「それじゃ、私が下ごしらえをしておくわ」
翠華はそう言って、レイピアを出現させる。
キノコや山菜を食べやすいサイズに切って、
「それじゃ、火は私が出します」
かなみはステッキを出現して、火を出して薪木に火をつける。
バチバチ!
そんな音を聞いて、心が落ち着く。
「あったまりますね」
かなみは笑顔で言う。
「ええ、そうね」
翠華もまた笑顔で応じる。
たき火で温めたアルミ鍋に、水とキノコ、山菜を入れる。
アクがとれたころに、味噌を入れて溶かす。溶け切ったところで食べごろになる。
全部マニィが教えてくれたけど、こんなに簡単な鍋を料理といっていいのかちょっとわからないけど、煮えた鍋に浮かぶ山菜やキノコの見た目、味噌の香ばしい香りは食欲をそそるには申し分無い。
「材料が無いからね。あるみ社長は水だけで煮て食べてたよ」
マニィのその言葉を聞いて、かなみはため息をつく。
「……味噌、持ってきてよかったわ」
自分だけなら水だけでも大丈夫だけど、翠華はちょっと食べるのがきついかもしれないと、かなみは思った。
「翠華さん、もう十分に煮えたから食べましょう」
「ええ」
かなみは紙のお皿に山菜、キノコ、汁を盛り付けて翠華に渡す。次にかなみも自分のお皿に盛り付ける。
「「いただきます」」
かなみと翠華は同時に一口食する。
「おいしい!」
日中歩き通して、たっぷりお腹を空かしていたのもあってとにかくおいしかった。
「キノコと山菜ってこんなにおいしいの!?」
「はい! 私も何度か食べたことありますが、こんなにおいしいの初めてです!!」
あっという間にたべおわってしまった。
「かなみさん、おかわり頼める?」
「はい、私もおかわりします!」
かなみは二人分お皿に盛る。
アルミ鍋いっぱいに入れたキノコと山菜は瞬く間に食べ尽くしてしまった。
「あ~こんなにお腹いっぱい食べるとは思わなかったわ。かなみさん、ありがとう」
「いえいえ、喜んでいただいて何よりです」
二人は身も心も暖かくなったのであった。
庭でスイカはレイピアの素振りをしていた。
「千回!」
目にも止まらない突きを繰り返していき、とうとうそんな回数になった。
「はあ~」
一息ついて、変身を解く。
「こんなんじゃダメね……」
最近、毎晩こうして魔法の特訓をしているものの、強くなれた気がしない。
「せめて足手まといにならないくらいには……」
そう思っているものの、ままならない。
この前のヘヴルとの戦いではチカラにはなれなかった。
自分にチカラがあったら、かなみはあんなにボロボロになってまで戦うことはなかった。
「チカラになりたいんだけど……」
「誰の?」
「わ、きゃ!? 姉さん!?」
家に入ったら、独り言を聞かれてしまった。
姉の愛華(まなか)だ。魔法少女に変身しているところを見られているんじゃないかとドキッとする。
「こんな時間までバイト? 毎日大変ね」
「ううん、好きでやってることだから」
「そう、好きな人がいるからなのね」
「えぇ!?」
愛華はニヤリと笑う。
「わっかりやすい反応ね。妹としてはめちゃくちゃかわいいわ」
「お姉ちゃん、からかわないで」
「からかったんじゃなくてかまかけたのよ」
「屁理屈ね……」
「もうそんなにすねないでよ。って、自分の部屋に入らないでー!」
「お姉ちゃんと話すことなんてないから」
「あ~からかったのは悪かったわ。だから好きな人の話聞かせて―!」
翠華は愛華から目を背けて扉を締める。
多分、今は顔が赤くなっていることだろう。
翌日、翠華は学校が終わってオフィスへやってくると紫織とみあがいた。かなみは多分、もう外に出ていたんだろう。
「あ~最近身体の調子がいいわね」
みあはそのままピョンピョン飛び跳ねそうなほどに上機嫌だった。
「怪獣退治してからずっとそんな調子ね」
「ええ、あるみが言うには怪獣の魔力を取り込んだおかげらしいのよ」
「か、怪獣の魔力を!?」
「おかげで魔法の攻撃力も格段に上がったわ。昨日も怪人を一発で仕留められたし」
「そ、それはすごいわね!」
ちょっとうらやましいと思った。
どうやったら強くなれるのか思い悩んでいるだけに一気に置いていかれたような気がする。
「私も怪獣に食べられたら強くなれるのかしら?」
「いや、やめた方がいいわ」
みあは珍しく釘を刺す。
「危うく意識をもっていかれかけたし、一歩間違えたら消化されてたかもだしね」
「あ……」
それはできれば真似したくない方法だった。
「それに怪獣は百年に一回発生するかどうかだし」
そもそも真似できる方法じゃなかった。
「……みあちゃんに差をつけられた気分ね」
「まだあるみには遠く及ばないけどね」
それはそうね、と翠華も心の中で同意した。
バタン!!
とんでもない音を出して扉が開かれる。
「あ~、かなみちゃん、まだ来てないのね」
こんな音を立ててくるのはあるみだ。
「かなみさんに何か?」
「かなみちゃんにぴったりの仕事があってね」
「ぴったりの仕事?」
少し興味が湧く。
「あ~どうせろくでもないものでしょ」
「みあちゃん……」
みあの歯に衣着せぬ物言いに、翠華は苦笑する。
「それじゃみあちゃん、やってみる?」
「じょ、冗談じゃないわよ。だいたい骨折り損のくたびれもうけになる決まってるんだから!」
「そうとも限らないわよ。かなみちゃん、最近稼いでるし」
「あの……それはどんなお仕事なんですか?」
翠華は興味を示す。
「やめた方がいいわよ」
みあは忠告する。
「翠華ちゃん、やってみる?」
あるみは封筒を翠華に渡す。
「おはようございます」
かなみはオフィスへやってくる。
「遅かったじゃない」
みあが言う。
「今日は日直と掃除当番が重なっちゃってね」
「そりゃ災難ね。ま、翠華には負けそうだけど」
「え、翠華さんがどうかしたの?」
そう言われて、かなみは翠華がいないことに気づく。
「あんたにぴったりの仕事を引き受けていったわ」
「わ、私にぴったりの仕事? それってどういうの?」
「さあ、あるみに聞いてみたら?」
「その社長はいないんだけど……」
あるみは外に出ていることが多いから、翠華の方が先に帰ってきそうだった。
翠華が帰ってきたらどんな仕事だったのか聞こうと思った。
しかしその日、オフィスに翠華が帰ってくることはなかった。
次の日は休日で、かなみは朝からオフィスへやってきた。
「おはようございます」
しかし、他にいなかった。
別に珍しいことではない。休日には他の子達は本当に休んでいることが多く、一人でいることだってある。
「翠華さんに、何の仕事をしたのか聞こうと思ったのに」
「翠華ちゃんならまだ帰ってきてないわよ」
「わあああッ!?」
千歳がするりと入ってくる。
千歳はたまに幽体になって、扉を開けたり、物音を立てずにやってくる。恐ろしく心臓に悪い。
「千歳さん、驚かさないでください」
「ごめんね。こうして驚かせるのが生きがいだから」
「幽霊なのに生きがいって笑えませんよ」
「あははは、そうね」
「それより翠華さんが帰ってないって?」
「あ~、さっきちょっと、あるみちゃんと話してね」
「その社長は?」
「出かけたわ。今日は帰らないって」
「ふうん……」
別に珍しいことじゃなかった。
一度、あるみが出かけていって帰ってこないことが多い。
ただ、それで翠華がどんな仕事をしているのかわからない。わからないから気になってくる。
「マニィ、知ってる?」
「さあね」
「社長に聞きなさい」
「多分聞いても自分で聞きなさいって言われるよ」
「それもそうね……」
しかし、その社長は今日は帰ってこない。
仕方なく、かなみは一日中業務をして過ごした。
次の日も休日で、かなみは朝からオフィスへやってきた。
「おはようございます」
いつものようにオフィスへ入ると、千歳がそこにいた。
「おはよう、かなみちゃん!」
今日は人形の姿だった。こっちの方が幾分か接しやすい。
「社長は?」
「今日はいるわよ」
バタン!!
扉を突き破る勢いで入ってくる。
「あら、かなみちゃん。今日もはやいわね」
「お、おかげさまで……」
かなみはせめてもの皮肉で言い返す。
「今日は仕事がないのよね。翠華ちゃんがかなみちゃんの仕事を引き受けたから」
「翠華さんが引き受けた仕事って何なんですか? っていうか、まだ帰ってないんですか?」
「帰ってないわよ。数日かかりそうな仕事だったからね」
「数日……そ、そんなに……」
「今週は連休だからね」
「そういう問題なんですか?」
「かなみちゃん、高校生になって欠席が多くなると最悪留年することだってあり得るのよ」
「それは大問題ですね!! 翠華さん、今日中には帰ってこられるんですか!?」
「さあ、それはわからないわね」
「ですから、どんな仕事を翠華にさせてるんですか!?」
かなみは血相を変えて問い詰める。
「そんなに気になるの?」
「そりゃ翠華さんの留年がかかってますから!」
「私が言ったのは最悪の場合よ」
「最悪でも起こりうるんでしょ! 翠華さんが留年したらどう責任とればいいんでしょうか!?」
「別にかなみちゃんが責任をとる必要はないと思うんだけど」
「翠華さんは私の代わりに仕事を引き受けたんじゃないですか!!」
「そりゃそうだけど」
「翠華さん、どんな仕事をしてるんですか!?」
「知ってどうするの?」
あるみの問いにかなみはこう答える。
「手伝います!」
バスを乗り継いで山奥に辿り着く。
『この先、クマが出ます。
ご注意してください』
そんな立て看板がある。
「クマが出たらどうしよう?」
かなみはマニィに問う。
こんな山奥なら人に見られる心配がないから堂々と肩に乗って喋られる。
「戦うか逃げるか、だよ」
「逃げるわね」
かなみは即答する。
「でも、クマって案外足速いよ」
「うーん、だったら死んだふりよ」
「戦うことは選ばないんだね」
「戦うって勝てるわけないじゃない」
「君はクマより強い怪人をいくらでも倒してきたじゃないか」
「それは魔法を使ったらの話でしょ」
「魔法を使って退治すればいいじゃないか」
「あ~そっか。怪人と戦うときと非常事態のとき以外は魔法を使わないように言われてるからつい」
「クマに襲われることは非常事態じゃないんだ」
「それもそうね」
「君の危機感にちょっと不安を覚えてきたよ」
「だ、大丈夫よ! それより早く翠華さんのところへ行きましょう!」
「はいはい、このまままっすぐだよ」
マニィは指示をする。
マニィはスイカと一緒にいるウシ型マスコット・ウシィはあるみとの魔力供給の線でつながっている。そのため、あるみとマスコット達はお互いの居場所を常に把握することができる。
翠華とウシィが一緒にいるなら、それで合流できるということだ。
フサフサ
背後から草が揺れる音がする。
「――!」
かなみはビクッと震える。
「何、今の?」
「この山奥で人がいるわけないからね」
「人じゃなかったら、今の音は何?」
「足音じゃない?」
「誰のかって聞いてるのよ」
「振り向いて確かめたら?」
「……振り向きたくない、あんたが振り向いて」
「仕方ないな……」
マニィはかなみの肩の上で百八十度回って告げる。
「クマだよ」
「え??」
かなみは振り向く。
クマがいた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
山びこで反響しそうな悲鳴が出る。
そして逃げる。
ドサドサドサッ!!
クマがものすごい物音を立ててやってくる。
必死に追いかけてくるのだ。
人が通っていない獣道だとどうしても足場が悪く、思いっきり走れない。
しかし、クマは獣なので獣道をものともせず進んでくる。
つまり、差がどんどんつまってくる。
「ええい、こうなったら!!」
かなみはコインを取り出して、変身する準備をする。
「いや、その必要はないよ」
マニィがそう言うと、前から青い光が飛び出してくる。
「スイカさん!!」
スイカは即座にレイピアを構える。
「ノーブル・スティンガー!!」
高速で突き出された一撃で、クマは吹っ飛ぶ。
「かなみさん、早くここから逃げましょう!」
「え、えぇ、どういうことですか!?」
「この山のボスクマがやってくるのよ!」
「ぼ、ボスクマ!?」
ドォン!!
直後に、爆撃のような足音がする。
すると、さっきよりも二回りも三回りも大きいクマがやってくる。
(ぼ、ボス……!)
一目見ただけで「この山のボスは俺だ」と風格を放っている。まさしくボスクマだ。
スイカはレイピアを構える。ボスクマはスイカを睨みつける。
一触即発の空気が流れる。
数秒、膠着が続いた後、ボスクマは後退して去っていく。
「どうしたんでしょうか?」
かなみはスイカに訊く。
「見た目よりも慎重なんでしょうね。戦って負けるかもしれないから戦わなかったんじゃないかしら」
「た、たしかにそれは慎重ね」
あの外見は後先考えずに突っ走ってくる獣のそれだとばかり思っていたのだけど。
「それよりも、かなみさんはどうしてここに?」
「あ、それは……スイカさんが留年しちゃいそうで心配で、お手伝いしたくて……」
「え、留年?」
「欠席が多いと留年するって、社長が!」
「私、一応毎日出席してるから、その点は心配ないと思うけど」
「あ、そうですか……」
かなみは安堵する。
「私のこと、心配してくれたの?」
翠華は問う。
かなみの様子からみて大体の心情を察したようだ。
「え、あぁ……その、はい……」
かなみは頷く。
「ありがとう」
翠華はお礼を言う。
「とりあえず、何もないところだけど」
と決まり文句のように翠華は言う。
「……本当に何もありませんね」
かなみは思わず遠慮なく言ってしまう。
翠華に案内されてやってきたのは、焚き火の跡と寝袋だけがあるほら穴だった。
「翠華さん、こんなところで寝泊まりしてるの?」
「ええ、テントが重くてね……寝袋でもなんとか寝れるわよ」
「私も寝袋をお借りしてきました」
オフィスの備品だった。
「そ、そうなの……」
「あ、でも、できれば今日中に見つけられたらいいのですけど!」
「そうね……もう二日も探しているんだけど、影も形もなくて」
「本当にいるんでしょうかね、――ツチノコ、なんて」
かなみがそう言うと、翠華は口をつぐむ。
『ツチノコを見つけて保護する』
それが今回の翠華の仕事であって、本来かなみが受けるはずだった仕事だ。
あるみの話ではこの山にいるはず、とのことだけど、とてもそうは思えない。
「ツチノコは一種の妖精かもしれなくてね。いるなら保護しておかないといけないのよ」
マニィはあるみが言っていたことを口真似して言う。
「相変わらず似てないわね」
かなみは苦言を呈する。
「ペットは飼い主に似るっていうけど」
「ボクはマスコットだし、社長は親みたいなものだから」
「それじゃ、親は子に似るってわけでもないのね」
「君のところと似たようなものだよ」
かなみと涼美のことを指してマニィは言う。
「……まあ確かに」
かなみはしかめ面で納得する。
「でも母さんならツチノコの足音を一発で聞き取れるかもしれないわね。私が来るより母さんが来た方が……」
「そ、そんなことないわよ! かなみさんが来てくれてとても頼もしいわ!!」
「本当ですか?」
「ええ、二人で協力してツチノコを探し当てましょう」
「はい!」
かなみは元気よく返事する。
そこから二人で手分けてして探し回った。
もし、またクマに出くわしたら、全力で逃げること、いざとなったら魔法少女に変身して応戦することを取り決めておく。
「ツチノコなんて、どこを探したら?」
かなみは辺り一面見渡して言う。
「どこかに巣を作っているわけじゃないしね」
「地道に探していくしか無いのね」
それでも二人になったことで探索できる範囲は広がっている、と前向きに考えて山道を歩いていく。
「かなみ、あれ」
「ツチノコ、いたの?」
「食べられる山菜だよ」
「え、本当!?」
かなみは山菜を取る。
「これ、本当に食べられるの?」
「茹でたり、天ぷらにするとね」
「なんでそういうこと知ってるの?」
「あるみ社長の知識だよ」
「社長……サバイバルでもしてたことあるの?」
「さあ、本人にでも訊いてみたら?」
マニィにはぐらかされる。
「社長がサバイバル……」
想像してみる。
わりとたくましく山や海を駆け巡って立派に生きている姿がありありと浮かぶ。
「違和感ないわね……」
かなみは苦笑する。
結局、一日山中を探し回ってツチノコは見つからなかった。
日が沈んで辺りが暗くなったころ、かなみはほら穴に戻る。
「かなみさん、遅くまでありがとう」
先に翠華は戻っていた。
「そんな、山の夜ってものすごく暗いから夜目がお役にたてなくてすみません」
「ううん、そんなことないわよ。かなみさんも一緒に頑張ってくれていると思うととても心強いわ」
「そうですか、よかった……」
翠華がそう言ってくれたことで、かなみも気持ちが晴れる。
「夕食にしましょう。水とカップ麺が十分にあるから」
「あ、私キノコと山菜とってきました!!」
「え?」
かなみは袋にいっぱい入れたキノコと山菜を見せる。
「こ、こんなに……?」
「マニィが食べられるキノコや山菜をいっぱい知っていまして、マニィは社長から教えてもらってたんですよ」
「なるほどね」
「鍋にしましょう!」
かなみはリュックからアルミ鍋を取り出す。
「味噌を入れれば、なんでも美味しいですよ!」
「そ、そうなの?」
「火は魔法でなんとかします」
「それじゃ、私が下ごしらえをしておくわ」
翠華はそう言って、レイピアを出現させる。
キノコや山菜を食べやすいサイズに切って、
「それじゃ、火は私が出します」
かなみはステッキを出現して、火を出して薪木に火をつける。
バチバチ!
そんな音を聞いて、心が落ち着く。
「あったまりますね」
かなみは笑顔で言う。
「ええ、そうね」
翠華もまた笑顔で応じる。
たき火で温めたアルミ鍋に、水とキノコ、山菜を入れる。
アクがとれたころに、味噌を入れて溶かす。溶け切ったところで食べごろになる。
全部マニィが教えてくれたけど、こんなに簡単な鍋を料理といっていいのかちょっとわからないけど、煮えた鍋に浮かぶ山菜やキノコの見た目、味噌の香ばしい香りは食欲をそそるには申し分無い。
「材料が無いからね。あるみ社長は水だけで煮て食べてたよ」
マニィのその言葉を聞いて、かなみはため息をつく。
「……味噌、持ってきてよかったわ」
自分だけなら水だけでも大丈夫だけど、翠華はちょっと食べるのがきついかもしれないと、かなみは思った。
「翠華さん、もう十分に煮えたから食べましょう」
「ええ」
かなみは紙のお皿に山菜、キノコ、汁を盛り付けて翠華に渡す。次にかなみも自分のお皿に盛り付ける。
「「いただきます」」
かなみと翠華は同時に一口食する。
「おいしい!」
日中歩き通して、たっぷりお腹を空かしていたのもあってとにかくおいしかった。
「キノコと山菜ってこんなにおいしいの!?」
「はい! 私も何度か食べたことありますが、こんなにおいしいの初めてです!!」
あっという間にたべおわってしまった。
「かなみさん、おかわり頼める?」
「はい、私もおかわりします!」
かなみは二人分お皿に盛る。
アルミ鍋いっぱいに入れたキノコと山菜は瞬く間に食べ尽くしてしまった。
「あ~こんなにお腹いっぱい食べるとは思わなかったわ。かなみさん、ありがとう」
「いえいえ、喜んでいただいて何よりです」
二人は身も心も暖かくなったのであった。
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