フェアリーゲート

護國鬼

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第7章 再びの異世界

四者会談 

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 宴から1週間後、異例のスピ一ドでエルフの里、ラフ

レシア王国、ローレシア共和国、グラシア帝国の四者会

談が行われることが決定した。場所はエルフの里であっ

た。

 里の広場に臨時の天幕が張られ、其処が会談の場所と

なった。

 円卓にそれぞれの代表者が座り、その後ろに立たされ

た者が補佐をする形である。何故か、エルフの代表団の

補佐に柊が混じっていたが。話は会談の前日の夜にまで

さかのぼる。

 
 「自分がエルフの代表~?!」

 族長の家から柊の絶叫が飛び出した。

 「ああ、代表と言っても補佐の1人だ。実際にラフレ

シア王国の間者を捕らえてたのは、お主だからな。」

 「あの場に居たのなら、ミラ達でも良いじゃないです

か?」

 族長はひとつため息を吐くと、

 「エルフではない人族が証人というのが説得力が有る

のじゃよ。」

 「でも、自分はこちらの世界では出身国も定かではな

い人間ですよ。」

 「そこは、ワシの旧知の旅人としておくから、安心感

せい。」

 「因みに拒否権は?」

 「無い。」キッパリ。

 「ですよねぇ。」


 っといったやりとりがあり、代表団入りが決定した。

 「ラフレシア王国の!!どういうことだ!!」

 会談の始めから激高しているのはグラシア帝国の代表

第2王子のアレクセイである。グラシア帝国は広大な領

土を持つがコダ一ジュの大森林程に良質の薬草類の供給

源は限られているのだ。

 ラフレシア王国からはやせっぽちの外交大臣である伯

爵が代表を努めていたが、現場で捕虜になった子爵が勝

手に行ったことで、王国の預かり知らぬことであったと

大量に汗だくになりながら、しろももどろに説明するの

が精一杯であった。

 「しかし、魔物の使役の研究は貴国の国家事業であっ

たのでは?」

 そう、ラフレシア王国の代表に問いかけるのは、簡素

な衣服に身を包んだ妙齢のローレシア共和国の議員の1

人、ミランダであった。

 「おうよ!俺もそれが言いたかったのよ。」

 とアレクセイ。

 「そ、それに関しましては、魔法研究所の一部職員

が子爵と結託し、情報を盗みだし・・・。」

 「結局ラフレシア王国は今回の件どう落とし前つけん

だよ!!」

 「ヒッ!!」

 「アレクセイ殿下、話の腰をそう、折っていたら話が

進みませんわ。」

 とミランダ議員。

 「しょうがねぇ、分かったよ。エルフの!何か言いた

いことぐらい有るんじゃあねぇの?」

 アレクセイは族長に話を向ける。

 「私共としては、旧知の戦士様達の助けもあり、被害

も、そう多くありませんでした。このようなことが二度

と無ければ幸いです。」

 「おうよ!聞いたぜぇ。トロ一ルを一撃だってな!!

そこの戦士かい、後で一試合どうだ?」

 「すみませんが彼には証人として此処に来てもらって

います。そのような話はまた、後日に。」

 「けっ!!詰まんねぇな。少しは退屈なこの話し合い

が楽しくなるかと思ったのによ。」

 「そのような話よう、帝国は既に結論を出している

と?」

 ミランダ議員が問う。

 「ああ、帝国からの要求はラフレシア王国への輸出を

停止し、その分を帝国に回すことで決着だ!共和国が渋

るようなら少しは回してやっても良いがな!」

 「そ、そのような勝手通るとでも!」

 流石にラフレシア王国の大臣も反論するが、

 「うるせえ!!それだけのことをしたんだろ。大人し

く言われたことを聞いていれば良いんだよ!!」

 アレクセイ王子は円卓を鎧兜の小手で叩いて叫んだ。

 「フム、こちらに回す資源の量によっては話に乗らな

い訳では無い。」

 「ミランダ議員・・・・・。」

 最後の希望が、砕かれたかのようにラフレシア王国の

大臣が、うなだれる。

 「ちょっと、待たんかえ。」

 族長が切り出す。

 「話し合いを聞いていれば、自分の利益ばかり、その

利益をそもそも、生み出すのは誰かえ?」

 円卓の皆が黙りこむ。

 「ウッド、ソナタはどのように思う?正直に申してみ

よ。」

 「そうですね。先ずラフレシア王国への輸出を10年

間停止、そして賠償金白金貨1000枚。次にラフレシ

ア王国への輸出分の1/3を帝国へ有償で、ローレシア

共和国も同様に、残りを森の回復に使いたいと思います

。」

 「結構!結構!それで行こうぞ。」

 「待てよ!!1/3は兎も角、有償ってのは・・。」

 「だって、あなた方何もしてないでしょう?」

 「うぐぐ。」

 「分かりました。ローレシア共和国それで手を打ちま

す。」

 「おい!良いのかよ!?」

 「何故、ラフレシア王国が制裁を受け、我らは資源が

増える。良いことじゃない?」

 「ああ、分かったよ!グラシア帝国も了解だ!」

 「あの?私共の意見は?」 

 「「聞いて無い!!」」

 「ハイイ?!」

 こうして四者会談は、ラフレシア王国が1人損をする

形で終わった。捕虜も金貨2000枚と引き換えに返還

された。

 そして、会談の終了を祝う席でアレクセイ王子に剣舞

に誘われたり、ミランダ議員に共和国に来ないかと打診

を受けたのは別の話である。
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