君になんか抱かれるもんか

林檎飴

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終わり

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「安原さーん。起きてくださーい」

彼は以前働いていた店の店長の体をゆすりながらそう言った。それでも中々起きないので、カーテンをばっと開け、布団を剥いた。うぅ…と寒そうな声を出す安原に彼は近づいて、もう一度起きるように促した。

「いやだぁ…さむい…」

そういうと、安原は布団を持っている彼ごと自分の方に抱き寄せた。起こしに来たのに、これじゃあまるで寝かされているようじゃないかそう思った彼が上を向くと、安原と目があった。

「へへっ…やっとこっち見てくれた。」

安原は、彼のことをぎゅっ…とすると同時に、キスをしてきた。最初は唇同士がちょっと触れるくらいの軽いキスだったが、だんだん激しくなっていく。君のお尻って、すっごく柔らかいね。と耳元で囁かれ、真っ赤になっている彼はムラムラしてるのを我慢して言った。

「安原さん…ちょっと…ご飯できてるんで…お腹すいてないんすか?」

「空いてるよー?でも僕、デザートは最初に食べる派だからさー。」

そう言うと安原は彼を逃さまいと、腰に当てた手に力を入れ、耳を舐めてきたり、蕾にキスをしたりと散々いじってくる。自分より小柄だけど、馬鹿力な安原に身を委ねる。安原は、父や、店に来る人たちとは違う。その行為自体は激しいもののどこか優しさがある。だからこそ安心して委ねられる。

「んぅっ…はぁっ…あっ…はぁっ…」

「もう行きそう?」

下をいじっていた手の激しさが増す。流石に朝だから後ろに入れるつもりはないようで、そのまま彼は言ってしまった。それから二人は、一緒にお風呂に入ることにした。

「朝から汚してごめん。お詫びに今日どっか行く?」

「ん…駅前のケーキ食べ放題に行きたい」

好きな人と一緒に、甘い物をいっぱい食べたい。昔の彼だったら、そんなことは無理だったかもしれないが、安原と付き合うようになってから随分と丸くなった彼は、そういうわがままも言えるようになっていた。それから安原に体を洗って貰ったり洗ったりと、二人はのぼせるほど、お風呂でイチャイチャしていた。

「あ、そうだ。ねぇ、安原じゃなくて、僕の名前で呼んでよ」

「あ…はい。えと…そうごさん。」

「…なんか照れるね」

「やっぱ安原さんでいいすか…?」

「うん…」

END
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