銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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 ネロは、イヴァル帝国の王族である僕や、代々王に仕えてきた一族出身のトラビスも知らない、興味深い話を語った。
 前王もフェリ様も知らなかったでしょうと、ラズールは言った。

 約三百年前の頃の話だ。イヴァル帝国は男の王が治めていた。
 王には二人の子供がいた。王女と、二つ下の王子だ。当然二人とも、王族の証の、輝くような銀髪を持っていた。
 王女は賢く、魔法の力も強く、剣の腕も立ち、誰よりも優れていた。
 王子も賢く、魔法も剣も強かったが、王女よりは劣っていた。
 そのために王女は、跡継ぎが王子であることに不満だった。
「別に男が跡を継ぐ必要は無いではないか。私の方が優秀なのだから、私が王になるべきだ。男でなくとも、女が王になってもいいではないか」
 そう父王や大臣達に何度も進言したが、全く聞き入れてもらえない。でもどうしても弟が王になることが納得できない王女は、水面下で根回しを始める。
 そしてついに、転機が訪れた。
 王が急死したのだ。狩りに出かけた際に、馬が暴れて落馬し、地面に身体を強く打ちつけて死んだ。非常に懐いていた愛馬なのに、なぜ暴れたのか。原因はわかっていない。
 王が亡くなった時、王女が十八歳、王子が十六歳だった。
 急死であったために、王の口から直接、跡継ぎの名を聞くことができなかった。しかし次期王は、王子だと決まっている。
 王の葬儀が終わるとすぐに、大臣達が集まり、王子を王にするための書類と王冠を作る相談をしていた。そこへ若い騎士達が乱入して、大臣達は捕らえられた。若い騎士達は、王女に忠誠を誓う者達だった。
 王子は王女の前に連れてこられ、「王位継承権を放棄すると言え」と迫られた。
 しかし王子は言わなかった。王子も王となり、国を守りたいという強い意志を持っていたのだ。
 言うことを聞かない王子に、王女は腹を立てたが、たった一人の弟を殺すことはできない。だが王城に置いて、いつか反乱されては困る。
 王女は、王子を王都から遠く離れた地へ追いやることにした。
 王子は少しの従者と共に、バイロン国沿いにある、辺境すぎて見放されている領地へと行かされた。
 邪魔者がいなくなり、すっきりとした王女は、自分に忠誠を誓う若い者達を、大宰相や大臣、将軍にすえた。そしてイヴァル帝国初の女王となった。
 女王は優秀な騎士を夫にし、一人の女の子を産んだ。その子が次期王となる。そしてこの時に、女王は娘に対して、破ってはならない強い呪いの魔法をかけた。
 イヴァル帝国は未来永劫、血族の女が王となること。
 もし血族の男が王になれば、たちまち国は滅びに向かう。王になった男も、呪いによって苦しんで死ぬ。
 王女の呪いの言葉は、国に仕える全ての者の頭の中に刷り込まれ、代々と語り継がれていった。
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