ふれたら消える

明樹

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 俺は幼い頃からよく女の子に間違われた。
 それは大きくなった今も同じで、私服で出かけた時などは、ナンパされることもある。
 たいてい、青のひと睨みで皆逃げてしまうけど。
 学校では制服を着てるので、さすがに俺を女と間違える人はいない。
 なのになぜか、男によく告白をされる。
 俺は青が好きだから、当然断った。
 でも皆は、俺が男とつき合うことに抵抗があるから断ったと思うらしく、一度断ったくらいでは諦めてくれない。
 そんな中で、特にしつこい人がいた。
 俺の隣のクラスの篠山海音しのやまかいと。サッカー部で青の先輩だ。
 青の忘れ物を届けに部室に来た俺を見て、一目惚れしたらしい。
 篠山に告白されたのは、二学期に入ってすぐのこと。
 夏休み前に俺に一目惚れをして、夏休み中ずっと悩んでいたと言った。
 自分は女の子が好きなはずなのに、この気持ちはなんだと。弟の青を見ても何も思わないのに、俺のことを考えるだけで胸が苦しくなると。夏休み中に一度、街で俺を見かけた。その時にすごく嬉しく幸せな気持ちになったと。ああそうか。俺は森野が好きなんだと認めたら、世界が明るく見えるようになったと。
 これらのことを聞かされて、好きだといきなり抱きしめられた。
 俺が断ろうと口を開く間も与えずに「好きだ」と連呼する。
 俺は篠山が落ち着くまで待って、身体を離した篠山の目を見て、はっきりと「無理」と言った。

「えっ!なんでっ?俺が男だからっ?そんなの取っぱらって俺を見てくれよ!」

 俺の肩を掴んで力説する篠山から、顔を背ける。背けた視線の先に、怖い顔をした青がいた。

「とにかく俺は好きな人がいるんだ。だから青山の気持ちには応えらんねぇ。ごめん」

 そう一息に言うと、俺は青の方に向かって走った。

「あっ!森っ…昊っ!」

 篠山が俺の名前を叫ぶ。
 俺は壁の陰に消えてしまった青を追って、壁を曲がった。
 その瞬間、何かにぶつかり抱きしめられた。

「いってぇ…あっ、青っ。大丈夫か?」
「俺は大丈夫…。てか、あいつに何言われたの?」
「あー…告白された…」
「ちっ!またかよっ。どいつもこいつもムカつく!昊も呼び出されたらすぐに俺を呼べよ」
「えー。だって今日のは待ち伏せされたんだから仕方ねぇよ」
「…昊はなんて言ったの」
「無理って言った。だって青山のこと、そういう風に見てないし。はあ…本当に困るよ。なんで男にばっかモテるんだろ。俺も青みたいに鍛えた方がいいのかな…」

 俺の頬に当たる青の硬い胸を、ゲンコツで軽く叩く。
 青がその手を掴んで「ダメだ」と怖い顔をした。

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