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番外編 芽吹き 13
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昼食を終えて、アルファムに運動がてら歩きたいと言うと、「なら行く所がある」と一緒に部屋を出た。
長い廊下を進み階段を下りてまた進み角を曲がる。さらに進んで違う建物に入り、豪華な扉の前でようやく止まる。
「アル、ここは?」
「まあ待て。入るぞ」
アルファムが、中に向かって声をかけると、扉が内側へと開いた。
少し緊張しながらアルファムに続いて入る。
「カナデ!」
「え?」
突然名前を呼ばれて、誰かが俺に突進して来たのを、アルファムが止めた。
「おい、危ないだろ。カナに乱暴はするな」
「ちょっと!エン国王は相変わらず過保護だな!カナデ、久しぶり!元気だった?」
「…あ、サッシャ?」
アルファムの身体の横から黄色い頭がひょっこりと覗く。
ニコリと笑う懐かしい顔に、俺のテンションが一気に上がった。
「サッシャ!結婚式以来だね!会えて嬉しい!もしかしてアルの謁見って、サッシャのことだったの?」
「そうだよ。カナデもエン国王と一緒に謁見するのかと思ったらいないし…。本当はもっと早く会いに来ようと思ってたんだけど忙しくて。それよりもカナデ、スイ国に遊びに行ったんだって?また俺の国にも来てくれよ。なんなら今からでも…」
「ダメだ」
俺の前に来て早口で話すサッシャに、アルファムがぴしりと言う。
サッシャは、口を尖らせてアルファムを睨むと、俺の手を引いて木の椅子に座らせた。
「今回は用事でスイ国に行ってたんだ。その帰りにカナデの顔を見に寄ったの」
「そうなんだ。来てくれてありがとう。いつまでいられるの?」
「いつまでも…と言いたい所だけど、五日後には帰るよ。カナデ、僕が国に帰る時に一緒に来ない?」
「だからダメだと言ってる。カナは、しばらく動けん」
俺の後ろに立ち、アルファムが冷たく言い放つ。
サッシャは、また口を尖らせて、溜息を吐いた。
「わかったよ。じゃあ暇になったら来てよ?」
「うん」
返事はしたものの、もしも子供が出来たら数年は行けないと思う。
でもいつか、子供を連れて、日の国ディエスに行けたらいいなぁとサッシャに微笑んだ。
サッシャがいる間は、あっという間に日が過ぎた。
たくさん話したり、街を散策したり。もちろんお忍びとは言っても護衛がいっぱいついてきたけど。
そして五日経って、何度も振り返りながら帰って行った。
「あいつは騒がしかったな」
夜、ベッドで俺を抱き寄せながら、アルファムが呆れたように言う。
俺は、大好きなアルファムの匂いを吸い込んで、うっとりとしながらアルファムを見つめた。
「そう?楽しかったよ。サッシャがいる間、お腹の違和感も忘れてたし」
「だが、あいつ、カナを街に連れ出しただろう。俺は、カナの身体が心配で仕方がなかった」
「そんなこと言って、いっぱい護衛つけてたじゃん。あれじゃあ、余計に目立つよ」
「カナを守るためだ。ところで、今日は何の日かわかるな?」
「えっと……はい」
「子胞薬を飲み終わってから十日経った。きっと、カナの腹には袋が出来ている。今から、たっぷりと子種を注いでやるからな。数日は覚悟しろよ」
少し意地悪に笑って俺に覆い被さるアルファムの熱い息が、顔にかかる。
俺は、期待に身体を震わせた。
長い廊下を進み階段を下りてまた進み角を曲がる。さらに進んで違う建物に入り、豪華な扉の前でようやく止まる。
「アル、ここは?」
「まあ待て。入るぞ」
アルファムが、中に向かって声をかけると、扉が内側へと開いた。
少し緊張しながらアルファムに続いて入る。
「カナデ!」
「え?」
突然名前を呼ばれて、誰かが俺に突進して来たのを、アルファムが止めた。
「おい、危ないだろ。カナに乱暴はするな」
「ちょっと!エン国王は相変わらず過保護だな!カナデ、久しぶり!元気だった?」
「…あ、サッシャ?」
アルファムの身体の横から黄色い頭がひょっこりと覗く。
ニコリと笑う懐かしい顔に、俺のテンションが一気に上がった。
「サッシャ!結婚式以来だね!会えて嬉しい!もしかしてアルの謁見って、サッシャのことだったの?」
「そうだよ。カナデもエン国王と一緒に謁見するのかと思ったらいないし…。本当はもっと早く会いに来ようと思ってたんだけど忙しくて。それよりもカナデ、スイ国に遊びに行ったんだって?また俺の国にも来てくれよ。なんなら今からでも…」
「ダメだ」
俺の前に来て早口で話すサッシャに、アルファムがぴしりと言う。
サッシャは、口を尖らせてアルファムを睨むと、俺の手を引いて木の椅子に座らせた。
「今回は用事でスイ国に行ってたんだ。その帰りにカナデの顔を見に寄ったの」
「そうなんだ。来てくれてありがとう。いつまでいられるの?」
「いつまでも…と言いたい所だけど、五日後には帰るよ。カナデ、僕が国に帰る時に一緒に来ない?」
「だからダメだと言ってる。カナは、しばらく動けん」
俺の後ろに立ち、アルファムが冷たく言い放つ。
サッシャは、また口を尖らせて、溜息を吐いた。
「わかったよ。じゃあ暇になったら来てよ?」
「うん」
返事はしたものの、もしも子供が出来たら数年は行けないと思う。
でもいつか、子供を連れて、日の国ディエスに行けたらいいなぁとサッシャに微笑んだ。
サッシャがいる間は、あっという間に日が過ぎた。
たくさん話したり、街を散策したり。もちろんお忍びとは言っても護衛がいっぱいついてきたけど。
そして五日経って、何度も振り返りながら帰って行った。
「あいつは騒がしかったな」
夜、ベッドで俺を抱き寄せながら、アルファムが呆れたように言う。
俺は、大好きなアルファムの匂いを吸い込んで、うっとりとしながらアルファムを見つめた。
「そう?楽しかったよ。サッシャがいる間、お腹の違和感も忘れてたし」
「だが、あいつ、カナを街に連れ出しただろう。俺は、カナの身体が心配で仕方がなかった」
「そんなこと言って、いっぱい護衛つけてたじゃん。あれじゃあ、余計に目立つよ」
「カナを守るためだ。ところで、今日は何の日かわかるな?」
「えっと……はい」
「子胞薬を飲み終わってから十日経った。きっと、カナの腹には袋が出来ている。今から、たっぷりと子種を注いでやるからな。数日は覚悟しろよ」
少し意地悪に笑って俺に覆い被さるアルファムの熱い息が、顔にかかる。
俺は、期待に身体を震わせた。
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