狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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「おまえ、おかしいぞ。アシュレイに恩があるからって、侵略に協力する?魔獣を使って?それで人が死んだんだぞ!俺達の魔法は、そんなことに使うためにあるんじゃないっ」
「それは必要な犠牲だ。それにこの国の奴らが、俺達の仲間を連れ去り殺したんだ。ろくな奴らじゃない!アシュレイに統治してもらった方が、民は幸せになる!」
「勝手なことを言うなっ!」

 リオは、机を強く叩いた。拳が痛い。だけど心の方が、もっと痛い。

「俺は、デックが生きていたとわかって、心底嬉しかった。なのに、おまえは変わってしまったな。どうして村の人達が、この国の人に攫われて殺されたって決めつけるんだ?違うかもしれないだろ?証拠なんてないだろ?俺は、ギデオンがいるこの国を侵略させない。全力で阻止する。魔法で守る。たとえデックと戦うことになっても!」
「なんでそこまで肩入れする!狼領主と呼ばれているくらいだ。冷酷な奴なんだろ?リオは利用されてるんだ!」
「ギデオンのことを何も知らないくせに、悪く言うな!ギデオンは民を想い正しく領地を治めているだけ。立派な人だ。俺は尊敬している。これからもずっと、ギデオンの傍にいて役に立ちたいと思ってる。それに利用なんてされてない。ギデオンは魔法のことを知らないんだよ?一人で旅をしていた俺を、困っていた俺を救ってくれただけ。優しい人なんだ。次にギデオンの悪口言ったら、二度と許さないからな!」

 リオは怒ってアンを連れて部屋を出て行く。
 デックが追いかけようとしたが、部屋を出るタイミングでアシュレイが戻ってきて、デックを止めた。

「言い合う声が聞こえたが…リオを怒らせてしまったんだね。リオをこちらに引き込むのは難しいな。狼領主に心酔しんすいしているみたいだからね。無理に引き止めて、計画に支障が出ても困る」
「でもっ、こちらの計画を話しちまった。狼領主や隣国の王に知られたらまずいぞ」
「話すかな?リオは魔法が使えることを、尊敬していると言った狼領主にでさえ、話していない。魔法のことを話さない限りは、こちらの計画はバレない。きっと彼は話せないよ」
「そうかなぁ。あいつはいい加減に見えて真面目な所があるからなぁ。信頼してる狼領主には、その内話しそう」
「話したならそれでもいい。計画に変更はない。さて、リオが賛同してくれないなら、ここにいてもらっても困る。こんな時刻だが、早々に帰してやろう。デック、大通りまで送ってやれ」
「いいのか?アシュレイは甘いね」
「ふっ、そんなことはないと思うが」

 デックは大きなため息をついて、ロンを呼ぶ。
そしてロンを肩に止まらせ、アシュレイに手を上げて部屋を出た。
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