本能のままに

揚羽

文字の大きさ
上 下
20 / 20
亡主との再会

本願寺からの使者

しおりを挟む
上杉景勝が能登から撤退し、数日経ったあと柴田勝家、前田利家、佐々成政は北ノ庄城で合流していた。

「そういえば、勝家様。本願寺との話は結局どうなったのですか?」

「それがな、まだ何も言ってこないのだ。やはり坊主どもに頼ったのが間違いであったわ。
もし一向一揆を起こしていたなら上杉に対抗できていたのだが…」

「まぁ、織田は本願寺にとてつもなく恨まれていますからな…」

勝家と利家がそのよう話をしていた。

その時

「勝家様!ようやく本願寺の使者が参りました!」

「噂をすれば、というやつですかな。」

「本願寺め、今更来てもなんの意味もないだろうが!
使者の首、わしがはねてくれよう!」

「勝家様!?さすがにそれはまずいですよ!」

「うるさい!元々一向宗は殺せと信長様から命を受けている!なんの問題もないわ!」

『じゃあなんで協力を依頼したんだよ!』

利家は心のなかでそう思った。

「まずは落ち着いて話を聞きましょう!勝家様!」

利家は勝家をなだめ、本願寺の使者と話すように説得した。

『…前にもこのようなことがあったな…』

北ノ庄城 客間

「…ずいぶんと遅かったな。本願寺。」

「大変申し訳ございません、柴田様。こちらも混乱しておりまして…」

「織田を滅ぼす策がお釈迦になってしまったからか?」

「柴田様、ご冗談を…。」

客間には柴田勝家と本願寺の使者との微妙な空気が流れていた。

『…やはり勝家様と本願寺は水と油だ…。しかし、勝家様と話している小柄な者と、その後ろにいる男、どこかで見たことがあるような気がするのだが…』

前田利家がそう考えていたその時…

「ずいぶんと言ってくれるな。権六。」

小柄な者の後ろにいた男が突然勝家に向け言い放った。

「なっ、貴様!この場で切り捨ててくれる!」

勝家と成政が刀を抜きかけたが、それを利家が制止した。

「お待ち下さい!まさか、あなたは…」




「信長様でいらっしゃいますか…?」

勝家と成政はあ然としていた。それもそのはずである。

「な、何を言っている…利家。そのようなことがあるわけないだろうが!」

「ハッハッハ!!権六もにぶくなったものだ!
利家よ。そのとおりだ!」

ここに第六天魔王、織田信長が忠臣、柴田勝家と再会したのである。

「の、信長様…!大変申し訳ございません!」


北ノ庄城 別部屋

「…信長、様?」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...