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③森田先生に厳しく叱られた4年生の最初の授業
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③森田先生に厳しく叱られた4年生の最初の授業
4年生も4月の最初は植物の学習だ。自己紹介、そして、単元導入だ。主発問は、学校には、どんな植物があるのか、黒板に準備をしておいた模造紙に書いた校庭の図絵(一部写真)を磁石ではった。
向日葵先生は全員に答えてほしかったので、窓側の一番前から順番に指名していった。森田先生が後ろで見てくださっていたが、向日葵は簡単なことなので何の不安もない。事前に調べておいたものと子どもの意見を重ねて書いていく。
ある女の子の順番になった時に向日葵先生は、その子をとばして指名した。場面寡黙症の子で、みんなの前では話せない子だ。向日葵先生は、子どもの心に寄り添い、一人ひとりに対応していくことを大切にしている。だから、話せない子を指名して友達に何か嫌なことを言われないように配慮したのだ。
「向日葵先生、ちょっと、準備室へ!」
子どもたちに教科書で課題を出し、準備室で森田先生からご指導をいただく。
「どうして、あの女の子を指名しないで後ろの子を指名したのかな!」 向日葵は自分があの子のために配慮をしたことをわかってもらおうと説明した。
「向日葵先生、あの子を指名しないのは間違っています! 反省しなさい! 私が変わります」
森田先生と授業を交代した。
「今、向日葵先生と勉強して植物に興味をもって好きになったみたいで、先生はうれしいです。ごめんなさい。ここから、先生と一緒にお勉強してくれるかな、ダメかな?」
子ども達は、きょろきょろしながらも、頷いた。
「今から小さな紙を前から配るから、それを持って今から決めるグループで校庭に行き、植物の絵を描いて帰って来てほしい。時間は二十分、はい、ここがグループ、行ってらっしゃい、次ここがグループ・・・・・・」
子ども達が帰ってきて話し合いが始まる。
「グループの中で黒板に貼りにくる人を指名します。紙を貼った人は前で待っていてください。はい、~~さん、~~さん、・・・」
その中に場面寡黙症の女の子も指名されて、黒板に紙を貼った。
「みんなの代表で貼ってくれたお友達に拍手をしましょう~」
グループ代表者にみんなは拍手をした。そして、本時の学習である、校庭にはたくさんの身近な草花、木があることを理解した。
一日の振り返りで森田先生は、出来ない子と決めつけずに、何が出来るのか、どうすれば活躍の場を与えることができるのかを考えることが大切で、場面寡黙症の子がいたなら絵など表現させれば良いことを向日葵先生に力説した。
言葉は表現方法の一つ、どの子も活躍できる理科の学習が大切であることを学んだ。特に、指名しないことが配慮ではなく、その子に出来ることを見つけ出すことが配慮だということ。
(お父ちゃん、指名しないことが優しさではなく、障害や症状があっても、理科の学習を主体的にできるように創意工夫し、楽しい理科が出来るようにすることが大切なんだね)
4年生も4月の最初は植物の学習だ。自己紹介、そして、単元導入だ。主発問は、学校には、どんな植物があるのか、黒板に準備をしておいた模造紙に書いた校庭の図絵(一部写真)を磁石ではった。
向日葵先生は全員に答えてほしかったので、窓側の一番前から順番に指名していった。森田先生が後ろで見てくださっていたが、向日葵は簡単なことなので何の不安もない。事前に調べておいたものと子どもの意見を重ねて書いていく。
ある女の子の順番になった時に向日葵先生は、その子をとばして指名した。場面寡黙症の子で、みんなの前では話せない子だ。向日葵先生は、子どもの心に寄り添い、一人ひとりに対応していくことを大切にしている。だから、話せない子を指名して友達に何か嫌なことを言われないように配慮したのだ。
「向日葵先生、ちょっと、準備室へ!」
子どもたちに教科書で課題を出し、準備室で森田先生からご指導をいただく。
「どうして、あの女の子を指名しないで後ろの子を指名したのかな!」 向日葵は自分があの子のために配慮をしたことをわかってもらおうと説明した。
「向日葵先生、あの子を指名しないのは間違っています! 反省しなさい! 私が変わります」
森田先生と授業を交代した。
「今、向日葵先生と勉強して植物に興味をもって好きになったみたいで、先生はうれしいです。ごめんなさい。ここから、先生と一緒にお勉強してくれるかな、ダメかな?」
子ども達は、きょろきょろしながらも、頷いた。
「今から小さな紙を前から配るから、それを持って今から決めるグループで校庭に行き、植物の絵を描いて帰って来てほしい。時間は二十分、はい、ここがグループ、行ってらっしゃい、次ここがグループ・・・・・・」
子ども達が帰ってきて話し合いが始まる。
「グループの中で黒板に貼りにくる人を指名します。紙を貼った人は前で待っていてください。はい、~~さん、~~さん、・・・」
その中に場面寡黙症の女の子も指名されて、黒板に紙を貼った。
「みんなの代表で貼ってくれたお友達に拍手をしましょう~」
グループ代表者にみんなは拍手をした。そして、本時の学習である、校庭にはたくさんの身近な草花、木があることを理解した。
一日の振り返りで森田先生は、出来ない子と決めつけずに、何が出来るのか、どうすれば活躍の場を与えることができるのかを考えることが大切で、場面寡黙症の子がいたなら絵など表現させれば良いことを向日葵先生に力説した。
言葉は表現方法の一つ、どの子も活躍できる理科の学習が大切であることを学んだ。特に、指名しないことが配慮ではなく、その子に出来ることを見つけ出すことが配慮だということ。
(お父ちゃん、指名しないことが優しさではなく、障害や症状があっても、理科の学習を主体的にできるように創意工夫し、楽しい理科が出来るようにすることが大切なんだね)
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