先生，理科って楽しいね。

⑤ 3年生自然観察

⑤　3年生自然観察

  向日葵先生は森田先生から野外での自然観察で安全以外で、学習内容で一番大切なことは何かと問われた。たくさんの花や昆虫に触れさせることと答えたら違いますと言われた。
　すでに２年生までの生活科で自然に触れているので向日葵先生はわからなかった。森田先生の答えは意外なものだった。
「昆虫ぎらいを作らないこと、すでに嫌いな子には留意して学習をすすめること」
　特に女の子は虫が嫌いだ。実は向日葵先生も嫌いなのだ。見栄え、動き方、手に触れた時の気持ち悪さが原因だ。
　森田先生から、セアカゴケグモやヒアリなど危険生物や湿疹やかゆみの出る植物もあるので、事前調査、直線調査、授業中のささいなことにも気を配るように向日葵先生はご指導いただいた。
　授業日に子どもたちへ学習の目当て、予想、ワークシートの使い方を説明して教室を出るように伝えた。しかし、ここで森田先生と変わることになった。
「楽しい野外観察の前に先生からも話したいことがあります。早く行きたい気持ちがあると思うけど聞いてください。みなさんが観察する植物は、一週間前、どうなっていたかな」
「もっと、小さかったと思います」
「花だったら、つぼみだったと思います」
　そのほかにもいろいろな意見が出た。
「そうだね、みんなは、今日、出会うけど、最初は小さな植物だったけど、どうして大きくなれたのかな」
「だれにも踏まれなかったからだと思います」
「だれも、その花をとらなかったからだと思います」
「今日、大きくなった植物を見るんだね、人間も小さい時は赤ちゃんで大きくなるね、大切にしてあげてください」
「はい！」
「それから、虫も観察するね、その虫はどうやって産まれたのかな」「お母さんから産まれたと思います」
　虫についてもいろいろな意見が出た。
「虫にお父さんやお母さんがいて、もしかしたら、子どももいるかも知れないね、だから、どんな虫でも大切にしてください」
「はい！」
「それでは、観察に行きましょう」
（お父ちゃん、森田先生は理科の指導書の留意点に書かれていないのに、子ども達に、命の大切さを教えたよ、理科の勉強は命の勉強でもあるんだね、理科って楽しい）