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悪魔ディエゴ
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「仕方ない、鉄隕石を降らせるか」
地球と異世界が融合してから数千年間、しょうこは、神として幾多の星を巡って仕事をした後、森の中に館を作り、秘密の場所に神の力を封印した。
そして、ただの人間の若い女として、魔法や特別な力は一つも使わずに森の奥深くで星の精霊の少年リオと暮らしていた。
しょうこは、森に迷う人間やモンスターを助け、いつしか住まいは、魔女の館と呼ばれていた。
ある日突然、しょうこの館の上に、若く美しい悪魔ディエゴが現れた。
彼は、古の悪魔ルシファーの生まれ変わりで、過去の全ての悪魔と比べても、最強だった。
彼は、乱暴に巨石を投げつけ始めた。しかし、この館は、あり得ないことに、傷一つついていない。
そして、ディエゴは、彗星を召喚し、館の何十倍もの大きさの鉄隕石を大気圏に突入、ついに館へ衝突させた。
鉄隕石の衝突によって、館の敷地を除く一帯の地面はドーナッツ型に消し飛び、周辺の森林が炎に包まれ、数えきれない鳥たちが火と煙の中で森から飛び立つ。
地震や地割れが起きて、近くの活火山は、噴煙を上げてマグマを流した。
鉄隕石の衝突は、地球がこの数億年で受けた中で最大の威力だった。
その様子を見つけたしょうこは、気高く、しかし怒りをにじませて彼に声をかけた。
「何をしているのですか、あなた。美しいものを壊そうというのは、野蛮そのものではありませんか?」
ディエゴは驚き、か弱い小娘の神々しさに目を奪われた。しかし、彼は悪魔としてのプライドを保ち、ぶっきらぼうに答えた。
「ただ、この建物の異常な強度を試していただけだ。この館の敷地を守るバリアの頑丈さ、まるで神が作ったかのようだ」
禍々しい悪魔の眼を真っ直ぐに見つめると、しょうこは、優しく眼を細めて、優雅に首を傾げた。
「それが何か。この私の館を荒らそうとすることなど、決して許しません。たとえ、館の敷地に傷一つつけることができなかったとしても」
ディエゴは、困惑しながら、気丈な小娘を近くで見つめた。彼にとっては、人間など虫ケラに等しかった。
「お前の館だと?神でもなく、悪魔でさえなく、人間の中でも特に何もできない人間の子が何を言う。嘘をつくにも程がある」
しょうこは、毒づく悪魔を柔らかく見つめ返して、微笑みながら頷いた。
「いいえ、間違いなく私の館です。私の大切な館を傷つけようとした罰として、あなたには、私の指示したことをしてもらいます。謝罪の気持ちをしっかり込めてやるといいわ」
ディエゴは、一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
人が作れるはずがない館も不思議だが、それ以上に理解をこえるのは、なぜこの人間は、悪魔に畏怖を持たないのかということだ。
「何だと?誰がお前の指図を受けると言った?」
しょうこは、クスッと笑い、流れるような自然な動きで、悪魔の黒々と反った先の丸い一本の角に触れた。
「さ、触るなっ!」
ディエゴは、怒りを込めて吠えたが、細い手指の弱い握力ですっぽりと角を掴まれたまま、何も出来ずに立ち尽くし、身を任せるしかなかった。
しょうこは、ディエゴの角から薫る甘く温かいムスクに似た匂いに夢中になった。それは、焼ける森の臭いよりも強く、心地の良い匂いだった。それに、黒く硬い角からは、心地よい熱も感じる。
「それがあなたに相応しいことです。これからは、私の言うことをちゃんと聞くように。そうすれば、もしかしたら、私があなたの罪を許す日が来るかもしれませんよ」
ディエゴ自身でも理解できないが、意外にも嫌悪感が湧いてこない。しかし、これほど舐められたままでは、邪悪な本性がおさまらない。
「……勝手にしろ。だが……」
地球と異世界が融合してから数千年間、しょうこは、神として幾多の星を巡って仕事をした後、森の中に館を作り、秘密の場所に神の力を封印した。
そして、ただの人間の若い女として、魔法や特別な力は一つも使わずに森の奥深くで星の精霊の少年リオと暮らしていた。
しょうこは、森に迷う人間やモンスターを助け、いつしか住まいは、魔女の館と呼ばれていた。
ある日突然、しょうこの館の上に、若く美しい悪魔ディエゴが現れた。
彼は、古の悪魔ルシファーの生まれ変わりで、過去の全ての悪魔と比べても、最強だった。
彼は、乱暴に巨石を投げつけ始めた。しかし、この館は、あり得ないことに、傷一つついていない。
そして、ディエゴは、彗星を召喚し、館の何十倍もの大きさの鉄隕石を大気圏に突入、ついに館へ衝突させた。
鉄隕石の衝突によって、館の敷地を除く一帯の地面はドーナッツ型に消し飛び、周辺の森林が炎に包まれ、数えきれない鳥たちが火と煙の中で森から飛び立つ。
地震や地割れが起きて、近くの活火山は、噴煙を上げてマグマを流した。
鉄隕石の衝突は、地球がこの数億年で受けた中で最大の威力だった。
その様子を見つけたしょうこは、気高く、しかし怒りをにじませて彼に声をかけた。
「何をしているのですか、あなた。美しいものを壊そうというのは、野蛮そのものではありませんか?」
ディエゴは驚き、か弱い小娘の神々しさに目を奪われた。しかし、彼は悪魔としてのプライドを保ち、ぶっきらぼうに答えた。
「ただ、この建物の異常な強度を試していただけだ。この館の敷地を守るバリアの頑丈さ、まるで神が作ったかのようだ」
禍々しい悪魔の眼を真っ直ぐに見つめると、しょうこは、優しく眼を細めて、優雅に首を傾げた。
「それが何か。この私の館を荒らそうとすることなど、決して許しません。たとえ、館の敷地に傷一つつけることができなかったとしても」
ディエゴは、困惑しながら、気丈な小娘を近くで見つめた。彼にとっては、人間など虫ケラに等しかった。
「お前の館だと?神でもなく、悪魔でさえなく、人間の中でも特に何もできない人間の子が何を言う。嘘をつくにも程がある」
しょうこは、毒づく悪魔を柔らかく見つめ返して、微笑みながら頷いた。
「いいえ、間違いなく私の館です。私の大切な館を傷つけようとした罰として、あなたには、私の指示したことをしてもらいます。謝罪の気持ちをしっかり込めてやるといいわ」
ディエゴは、一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
人が作れるはずがない館も不思議だが、それ以上に理解をこえるのは、なぜこの人間は、悪魔に畏怖を持たないのかということだ。
「何だと?誰がお前の指図を受けると言った?」
しょうこは、クスッと笑い、流れるような自然な動きで、悪魔の黒々と反った先の丸い一本の角に触れた。
「さ、触るなっ!」
ディエゴは、怒りを込めて吠えたが、細い手指の弱い握力ですっぽりと角を掴まれたまま、何も出来ずに立ち尽くし、身を任せるしかなかった。
しょうこは、ディエゴの角から薫る甘く温かいムスクに似た匂いに夢中になった。それは、焼ける森の臭いよりも強く、心地の良い匂いだった。それに、黒く硬い角からは、心地よい熱も感じる。
「それがあなたに相応しいことです。これからは、私の言うことをちゃんと聞くように。そうすれば、もしかしたら、私があなたの罪を許す日が来るかもしれませんよ」
ディエゴ自身でも理解できないが、意外にも嫌悪感が湧いてこない。しかし、これほど舐められたままでは、邪悪な本性がおさまらない。
「……勝手にしろ。だが……」
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