全裸ドSな女神様もお手上げな幸運の僕が人類を救う異世界転生

山本いちじく

文字の大きさ
17 / 116

カリンの旅立ち

しおりを挟む
 アウアウ様に助けられて炎犬の骨を持ち帰った後、ポンチョは、ゾゾ長老の館に1ヶ月滞在した。
 アウアウ様についての報告書をまとめ上げるのにそれだけの時間が必要だったわけではない。
 なぜ1ヶ月も滞在したのか?


 それは、ゾゾ長老を中心にポンチョ、カリン、パンセナが集まって、魔法研究が盛り上がったから。


 ソニレテ団長とガンダル、ヤードルも水の魔法習得に向けて取り組んだ。
 ソニレテ団長は、アクアウ様から愛情を注がれたせいとしか思えないくらい水魔法を使えるようになった。
 ヤードルは、ブリラードと組み合わせて氷の矢を作れるようになった。器用な人だ。
 ガンダルは。。。魔法には向かなかった。残念。そもそも男で魔法が使えるのは、かなり珍しい。


 僕は、ゾゾ長老に無詠唱の魔法を教えてもらった。と言っても、一度見せてくれただけだけど。その場にいた誰も真似することができなかった。ゾゾ長老の凄さが分かった。


 ゾゾ長老がかつて主張していたように、魔草を使う魔法は全て草木の魔法であり、魔石を使う魔法は土の魔法であることがわかった。


 なんと、伝統学派の魔法書が間違っていたことになる。ファイを使ったファイガスは、火の魔法ではなく、草木の魔法だった。
 まだ人類は、火の魔法も氷の魔法も風の魔法も知らないことになる。


 つまり、使えるのは、草木の魔法と土の魔法、新たに授けられた水の魔法だけってこと。


 そりゃ、盛り上がる。


 また、新たに水の魔法を授かったことで、魔法研究は大きく前進した。なんと水の魔法は、空気中の水と体内の魔素を集めて魔法を作るのだ。魔草やほかの素材は要らない。詠唱のみだ。これが研究に革命を起こした。
 しかも、炎犬のサンプルまであるから、火の魔法の研究も進む。


 ここにゾゾ長老を中心として、魔法研究におけるゾゾ派という新学派が誕生した。


 調査団が王都カラメルに帰る時、カリンだけでなくパンセナとゾゾ長老(!)も、一緒にパスカル村を出ることになった。
 ゾゾ長老は、100歳を超えている。誰か止めろ。サポートのためについて行っている場合じゃないぞ、パンセナ。


 そのパンセナは、久しぶりの王都カラメルの生活が楽しみで、ルンルンしている。


 秋晴れの下、調査団が5台の馬車の荷造りを終えて、王都カラメルに向けてもう出発し始めていた。
 ゾゾ長老もパンセナもとっくに馬車に乗り込んでいる。


「カリン、もう行くよ!早くしな!」


 ポンチョが最後尾の馬車からカリンを呼んでいる。
 カリンが僕に出発の挨拶をしにきてくれた。


「ピッケル、あたし、あなたなら試練を乗り越えれると信じてる。
 だって、あたしに何度も生きるチャンスをくれたもの。
 どんな試練だとしても、それを乗り越えればいいのよ。
 運命は、変えられる。
 あたしは、変えてきたわ!
 あたしが手伝ってあげる。隕石だって、ぶっ壊してやるわ!」


「う、うん。隕石、壊せるかな」


「もう!そういう軟弱なところがピッケルの悪いところね。
 できるかどうかじゃない!やるしかないじゃない!
 あたしは、先に王都カラメルで夢を掴んでくるわ。
 ピッケル、あなたにも必ずチャンスが来る。しっかり掴んで、自分の手で運命を変えるの。わかった?
 手紙を書くわ。ちゃんと返しなさいよ。絶対によ?誓って!」


「わ、分かった。手紙、必ず返す。
 こ、これ!僕作ったんだ。あんまり上手じゃないけど。。。ポッコロ様のお守り、2つ。1つはカリンが持ってて。見て、カリンに少し似てるでしょ?」


 プルーンに作り方を教えてもらいながら作った手縫いのポッコロ様人形をカリンに贈った。キキリの匂いを染み込ませた匂い袋が中に入っている。
 ドラゴンから避難するために、パスカル村と近隣の村が廃村になることが決まっている。パスカル村を去ることになる村700人全員に、このポッコロ様人形を作ることにしていた。
 パスカル村がなくなっても、故郷の記憶を少しでも繋げていけるように。


「似てるかな?可愛いから、まぁ、いいか。
 あははは!そっちは確かにピッケルに似てる!あ、ありがとう。大切にする」

 カリンの頬が少し赤くなった。きっと僕もそうなっていた。

「もう行かなきゃ。じゃあね!」


 カリンは、目標に向かって、キラキラと輝いて人生を楽しんでいた。眩しかった。振り返りもせずに、自分の希望や願望に向かっていった。
 よかったね、カリン。あの時、生き延びて、本当に良かった。


 夢や目標に向かって、できるかどうかより、希望を手にした瞬間が、前の世界も含めて、僕にあっただろうか。


 なかったな。


 そう思った。たしかに実際そうだった。
 僕は希望を自分から掴めるだろうか。いや、掴むんだ。
 僕もその一歩を踏み出すんだ。自分の運命を変える。やるしかない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

処理中です...