キスで隷属化するFPSの異世界転生化〜生身がほしいAI美女からモテまくる!?〜

山本いちじく

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ヘリポートへ急げ

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 親衛隊五名は、階段の奥の闇から姿を現した。

 黒光りする強化アーマー。
 赤いバイザー。
 反応速度は人間の限界を超え、全身から「殺気」が溢れていた。

「ユウマ!」

 シルフィの警告よりも速く──

 銃口が光った。

 ――パァンッ!!

 レーザー弾が走り、壁が焼ける。
 ユーノスが素早く身体を横に滑らせ、二丁サブマシンガンを撃ち返した。

「ユーノス、右側を抑えて!」
「了解、ユウマ!」

 フィーンは柱の影に飛び込み、制圧射撃を叩き込む。
 火花が廊下を裂き、黒い親衛隊の装甲をじりじり削る。

「一体、どんな改造してんだよコイツら……硬すぎる!」

 シュナが息をつく間もなく距離を測り、
 精密射撃で関節部を次々に撃ち抜く。

「よし……膝を落とした!」

 ユウマはその瞬間を逃さない。
 近接加速を一瞬だけ解放し、
 風の弾丸のように前へ──

 ガンッ!!

 親衛隊の喉元へ掌底。
 強化アーマー越しに骨が砕け、兵士は崩れ落ちた。

「残り四!」

「任せなさいッ!」
 ユーノスが壁を蹴る。
 宙で一回転しながら、斉射が一斉に走った。

 ――バリバリバリッ!!

 銃火が光の壁となり、
 親衛隊の視界を奪う。

 その隙にフィーンが二丁で左右から挟み撃つ。
 弾丸がアーマーをひしゃげさせ、
 シュナの狙撃がトドメを刺した。

「ダウン確認。」

 ユウマが最後の一体の残心を払い、
 静かに息を吐いた。

「シルフィ、解析は?」

「……終わったわ。」

 シルフィは端末を握りしめた。
 その顔は青ざめ、しかし目は強い光を宿している。

「これが──ストアドプロシージャ。
 お父さんとお母さんが残した、AI進化の核。」

 その瞬間。

 ――ピコン。

 端末に赤い警告が点滅した。

 > 《DETONATION:起動》
 > 《解除不能爆弾 ONLINE》
 > 《爆発まで360MIN》

「……は?」

 爆発まであと一時間!?

「その嘘、本当?……爆弾が起動した!?
 解除コードが……無い!?」

 地下研究棟全体に
 低い振動が走り始める。

 ズズゥゥゥゥゥ……!

 フィーンが叫ぶ。
「まずい!このままじゃ全部吹き飛ぶ!!」

 ユウマが判断を下す。
「出口へ向かう──急げ!!」

 五人は廊下を駆け上がる。
 天井の照明が次々と落下し、
 爆弾の熱が床下から迫ってくる。

「ユーノス、前方警戒!」
「了解!敵影なし、進める!」

「シルフィ、出口ルートは!?」
「……ダメ、封鎖されてる!
 でも……屋上のヘリポート、使われてない整備機がある!」

「そこを目指す!」

 爆発前の振動が重く身体に響く。
 手すりが崩れ落ち、
 通路が傾き、
 冷却液のパイプが破裂した。

 ――バシュウウウウッ!!

 白い霧が視界を奪う。

「ユウマ、左来る!」
 フィーンの警告と同時に、影が飛び出した。

 親衛隊第二波だ。

「どけぇぇ!!」
 ユウマが拳で装甲を砕く。

 シュナは狭い廊下に跳び上がり、
 天井配管を蹴って射線をずらしながら狙撃。

 ユーノスが前線に滑り込み、
 左右二丁で壁のような弾幕を張る。

「今のうち!走って!!」

 親衛隊第三波、四波が襲いかかり、
 ユウマたちは撃ち、殴りながら階段を登る。

「距離あと15階……っ!」
「こっちも限界よ……!」

 階段を駆け上がりながらの迎撃。
 爆熱と揺れで足元も不安定。

 ──そして40分後。

「はぁ、はぁ、登りきった」

 鉄扉を蹴り開けると──
 夜風が一気に吹き抜けた。

 扉はガチャンと閉まり、ピピッと電子音が鳴ってロックされた。
 もう扉はびくとも開かない。

「なにか、おかしいぞ。屋上に閉じ込められた?!」

 屋上は広く、
 中央にはグレーの軍用ヘリが停められていた。

「でも、あれで脱出──」

 シルフィが言いかけて、息を飲んだ。

「その嘘、本当?……ユウマ……違う……これ──」

 ユウマは既に感じていた。
 全身の毛穴が逆立つ、冷たい気配。

「やっぱり罠だ。」

 その言葉と同時に──

「AIが俺たちをここに誘き寄せるために、シルフィにわざとヘリコプターの情報を見せたんだ」

 ヘリの前に屈強な強化型擬人化熊鬼と巨体をもつ赤い熊鬼。

 赤い光が、闇の中で輝く。

 巨大な爪。
 異様に膨張した筋肉。
 血よりも濃い紅を撒き散らす皮膚。

 シルフィが叫ぶ。

「あれは赤熊鬼!」

 咆哮が、夜空を裂いた。

 ――グォォォォォオオオオオオオッ!!!

 建物が揺れた。
 五人全員が本能的に身構える。

「マジかよ……!?」
 シュナが銃を握り締める。

「よりにもよってここに現れるか!」
 フィーンが歯を食いしばる。

 ユーノスは即座に二丁を構え、
 ユウマの一歩前に立った。

「ユウマ……
 あれは、狂ってるぞ。」

「ビビってる暇ねぇだろ。」
 ユウマはM4を構え直す。

「全員、生きて帰るぞ。」

 赤熊鬼が地面を叩き、
 鉄骨が弾け飛んだ。

 戦場は屋上。
 逃げ場はゼロ。

 死闘が幕を開けた。
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