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終】張り直すには、 ※

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目を覚ますと、目の前に浅黒い胸板です。

気を失っていたのは、短時間だったようです。

動く度に後孔からどろりと何かが出てきます。
何かって、分かってますけど、何かです。
垂れて、尻や腿とか脚の間とかヌルついて気持ちが悪いですね。抱かれてる時に垂れてた分もですね。

頭を撫でられてます。
後ろの気持ち悪いのを除けば、心地いい心音と温もりについウトウトしそうです。

「起きた?」
コクンと頷く。喉痛い……。
「これで最後?」
コクン。
「俺じゃダメ?」
コクン。
「清算したいんだな?」
コクコク。
クスッと頭の上で笑った。

顔を上げる。
獣の閃きはもう無い。優しく見つめる目と合った。
「負けたよ。これで最後。連絡先も消去する。ーーーーこれでいいか?」

「ありがとう」掠れた声で告げた。

イケメンの顔が歪む。
ん?
「あのさ……キスしたくなったんだけど、、、ダメだよね?」
苦笑い。
肩に手をかけ、ずるっと伸び上がって唇を重ねた。

目を瞠ってる。
厚い唇をぷにうにと食んで、舌を差し入れ絡めた。クチュクチュと音がする。
音に酔って、舌を絡ませ、絡めせられて、口の端から唾液が溢れた頃、チュッパッと離れた。
ムフゥンと微笑んで、起き上がった。
あれ? 立てない?
腹の出したいし、流したい……。

スイッと身体が持ち上がる。
「風呂でいいか? 運んでやる」
コクンと頷いた。

風呂の縁に身体を預けて、ナカから垂れ流されてるモノを腹を押さえながら、取り敢えず出す。
後ろで、シャワーの音がする。身体を洗ってるようだ。チラリと見たが後ろを向いてくれてる。

風呂のお湯で足元を流しながら、指で掻き出すのはもう限界だった。

コトンとシャワーが戻った音がした。
「俺出るから、なんかあったら声掛けて」
「分かった」
優しいじゃん。ヤる事はエグかったけど。

なんとか脚に力が入るようになった。
シャワーを手に本格的に流し出す。
ヤるのも見るのも嫌な後始末。しかもちょっと感じちゃう。
「ん……はぁ……」
抑え込んだ喘ぎ声が風呂に静かに反響する。

絶対出ないところに出された気がする。
お腹痛くなるなぁと洗い終わって、風呂に浸かってた。

帰ろうか。。。

ザバッと上がった。

髪を拭き拭き出てきたら、身支度を始めてたイケメンと目が合う。

ソファとテーブルに散らばってたオレの服などが纏めて置いてあった。悪いヤツじゃ無いとは思うんだ。センサー反応しなかったし。とは言え、オレのセンサーちょっと不調が続いてます。もう使わないと反省。

「手助け要らなそうだから帰るわ」
コクンと頷く。
スマホを確かめる。有るね。
開いて、イケメンさんの連絡先を表示。

グッと突き出した!

向こうもスマホを出して、オレのを表示して、削除した。仕事が早いな。

オレも削除。

「じゃ! 部屋代は俺が持つから」
「分かった」
オレから誘ったけど、これでいいか。

手を振って別れた。

さて、帰ろう。


***


家になんとか帰り着く。
ズタボロでベッドに潜り込むと、沈むように泥のように眠った。

目覚めると、朝だった。
お腹痛い! チキショウ! 自業自得!!!

マスターはもう部屋で寝てるはず。
トイレに駆け込んでスッキリして出てきて、風呂の準備。
なんだかまだアイツのが染み付いてるみたいで、嫌になる。お湯が貯まるのもそこそこに入った。

上がってくると、マスターがいた。
まだ寝てる時間なのに。

「なんかあった?」
眠そうな声。
「別に……」
コーヒーの入ったマグを渡された。
「そっか……」

二人でソファに座る。

「ーーーあった」
黒い液体を見つめながら、呟くように告げた。
もう終わらせて来たんだから、黙っててもいいはずなのに。
液体に波紋が広がる。
オレ泣いちゃった?

コトンとローテーブルにマグが置かれる音がして、マスターが近寄って来た。
スイッとマグが抜かれてテーブルへ。
視界が暗くなる。温かいいつもの胸板。抱きしめられてた。
またシャツ濡らしちゃうね.…。

気づいたらマスターに寄りかかって寝てた。そのマスターも寝てた。

寝息を聞きながら、音を染み込ませていく。
新たに張る弦は、マスターの色だけの一色がいい。
シェイカーの音。寝起きの掠れたドスの利いた声。キスを強請る甘い声。心地いい心音。何もかもが、優しくて、大好きなマスターで染まった弦。

スリっと胸にしなだれかかる。
もそっと動いて、マスターが目を覚ました。

「気が済んだか?」
首を振った。
肩を抱き寄せて、こめかみにキスしてくれる。

「何がしたい? どうしたい?」
「マスターとエッチがしたい」
「むはぁ! 直接的に来たねぇ」
戯けるマスターに、チュッと唇を掠めるようにキス。
頬をスリっと胸に擦り付ける。

「寂しい思いをさせたかぁ……」
ゆるゆる首を振る。
「俺が悪い。ーーーマスターが好き」
「俺もキミが好き」

顔を上げると悲しい色が瞳を染めている。
オレは酷い事をしちゃったんだ。
なのに何も言わずに、丸っと包もうとしてくれるマスターにしがみつく。

「ごめんなさい……」
消えいるような声だったけど、心を込めて伝える。

「ーーーー程々にな」
ハッと顔を上げると、唇が重なった。
言いたい事も思いも甘く溶けていく。

ハムハムと甘く上、下へと舐めて啄む。
俺もマスターの唇を啄む。

チュ、チュッチュ、チュ……

繰り返される重なる唇が、角度を変えて、深くなっていく。

クチュッ、チュ、クチュチュッ……

いつもの『入れて』と唇を舐めてくる。
薄く開いて、舌をチロリと出して舌先に触れさせて誘う。

スルッと舌が入ってきて、あちこちを舐めて刺激してくる。ズクンと奥が疼いた。

チュッパっと離れた隙に「マスター色に染めて……張るの手伝って」告げた。

唇を重ねて、漏れる吐息が震えてた。笑ってる。
「俺に出来ることなら。キミの思いのままに……」

オレを跨らさせ、服の裾から手を入れ込んで、滑らせるように撫で上げて、すっぽり脱がせた。
昼の日差しの下、赤く腫れた尖りが晒された。

ああ、後日にすれば良かった。跡が消えてから…でも、すぐにマスターが欲しい。

腫れた乳首を優しく含み、舐めて、ゆっくり吸ってよしよしとあやしてくれる。
反対側もサワサワと指の腹で撫で摩る。

「あふぅん、うふぅ、ハァぁ.…」
ゆるゆると快楽が盛り上がってくる。

尻肉をやわやわと揉み込み撫でて準備していく。

オレはマスターの髪に指を通して掻き回す。
腰が揺れる。
スエットに手が差し込まれて、直接に尻が鷲掴まれた。

「ハァァァ……」
マスターの手が染み込んくる。
「ベッド行こうか?」
「ここがいい……」
胸にチリって痛みが。キスマークつけたんだ。
「分かった。……確か前に」
ソファ下の引き出しに手を伸ばして、ローションのボトルとコンドームの箱を出した。

もう十分解れてるのに、前立腺を刺激しながら、ナカで指をバラバラに動かして拡げてる。ひとつひとつの動きが優しく染み込んでくる。
「はぁぁぁ……」

マスターの前が張ってるのは、さっきから当たってるから分かってる。
なかなか進まない。進めてくれない。悲しくなってくる。
チュッと唇を合わせると、スルッと膝から降りた。

マスターのスエットに手を掛けて、下ろすと怒張が現れた。オレに魅力がない訳ではなかった。
テカテカと濡れてひかる亀頭を舐めて、咥え込んだ。
「うぐぅう……」
上目遣いに様子を伺う。
感じてくれてる。
嬉しくなった。もっと感じて。オレもマスターを感じたい。

脚に絡んでたスエットと下着を抜き去る。
脚の間に身体を捩じ込むと、より深く咥え込んだ。

「はっ、くぅっ……」
オレの頭に手が乗る。やられてもいいと身構えながらも、頭を上下させながら、舌を這わし、吸い上げる。

耳裏や頭を撫で回して、静かに、熱い吐息を吐いて、口淫に感じてくれてた。染み出してきてるものが、口に広がって苦味と臭いがキツくなってきた。もう出る?

喉を開いて、奥まで導く。
喉を締めて強く吸って舌を絡めて頭を上下させて、ラストに向かう。

「うぅ、はぁ、はぁ、ぐぅぅ」
グワっと頭を掴まれた。
「すまん!」
喉奥に押し込まれた。いつものマスターなら、射精する時は外なのに、突っ込まれて、出された。
喉に衝撃と熱がぶつかり弾けた。

喉に流し込まれる粘性にある液体を時折り嘔吐きながら、全て飲み干した。

舐めて、残滓も吸いとって、丁寧に舐めていくと、再び力が漲って勃ち上がってきた。

ゴムを這わして、ゴム越しにキスする。

見上げると顔を顎を撫で回され、抱き上げられた。
「酷い事した…申し訳ない……」
唇を重ねて、口に残ってる精液を舐めとるように、口内を舌が蠢く。

「いいョ。マスターは遠慮し過ぎ…」
キスの合間に、マスターの頬を手で覆って今まで言えなかった事を目を合わせて言ってみた。

「俺から離れないでくれ」
絞り出すように願う切ない声。
「オレを離さないで。離れないから…」
願い、思いを込めて伝える。

唇を重ね、後孔に竿を握り先を当てる。

ツプンと入った。
つぷ、くぷっと徐々に咥え込んでいく。

一番太いところを咥え込んで、一息つく。

チュッパと唇を離して、目を合わせる。
「離さない」
「離れない」
腰に手が添えられ、オレは腰を落とす。
ゆっくり、ゆっくり…
オレの中に、マスターが入ってくる。

染み込むマスターの熱を内側で感じつつ、上下させながら、少しずつ奥まで挿れ込んでいった。

「全部?」喘ぐ息の中マスターに訊く。
「ああ、全部」チュッとキスしてくれる。
よく頑張りましたって言ってるみたい。
嬉しくって、オレからもキス。

「離さないでね」
「離さないさ」
オレは腰を振る。
マスターが低く呻く。
オレも喘いだ。
水音と声が混ざり絡み、撚り合わされて、マスターとオレで染まった弦が張っていく。

クッと腰を掴まれて、そっとソファに押し倒された。
パンパンと打ちつけられて、快感の波に沈んでいく。

汗で濡れる肌が絡み、クイクイと前立腺を刺激されながら、昂みに連れていかれる。

頭上で片手を指を絡めて縫い付けられ、片手はマスターの汗ばんだ背に絡め、激しい動きに揺さぶられ続けた。

そして、心地いい波に打ち上げられ…イった。
しっかりと弦が張ったと確信した。

奥に熱を感じる。
マスターの愛しい人の熱がここに。
心地良い熱が嬉しく。腹を摩り、満足な吐息が漏れた。
覆いかぶさるマスターの熱い吐息が耳を擽る。

幸せだ。

もうこの手を離さない。

指を絡めてた手をぎゅっと握った。
握り返され、唇を重ねた。

オレもキスが好きになった。



ーーーーーーーー

もう離れないでしょうね(^_^)
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