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16. マーリング辺境伯
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マーリング町は立派だった。それはそれは立派だった。
まず城門だけでなく石垣の城壁がある。
堀も巡らせてあって敵の侵入を拒んでいる。といっても最近は目立った敵はいないと思うけど、この辺でもたまに魔物が出たりはするんだと思う。
兵士さんが守る門を抜けると城下町が広がっていた。
今までの村では平屋の木の家が多かったが、この町は石みたいなのでできていて、しかも二階建てが多い。
ドドンゴは町に着いたら、まず商業ギルドに向かった。ギルド支部はペークヒェ町にもあるけど、そちらには寄らなかった。
美人のエルフの受付嬢のところへ行った。
「ちょっと辺境伯に試供品を献上、お売りしたい商品があるんだけど、紹介状頼めるかい?」
「はい、もちろんです。いつもご利用ありがとうございます。ドドンゴ様」
「ではお願いします」
「奥へどうぞ」
奥の応接室に通された。俺もついていっていいらしいので、後ろから様子を窺う。
「それでどのようなものを?」
「えっとノイチゴの蜂蜜ジャムと、ヤマモモの蜂蜜ジャムがあるんですがどうですか。これは試供品です。どうぞ」
ドドンゴは買ったジャムから一口だけ試供品用にスプーンに取り出してエルフ嬢に食べさせる。
「こ、これは」
「美味しいでしょう? どうですかね」
「は、はい。これなら紹介状、すぐご用意します」
「ありがとうございます」
「では待合席で、お待ちください」
そういうと解散になり俺たちは出ていく。
カウンター横の座席で少し待つと、紹介状を出してくれた。
「では、これはこちらで使者をお城へ出しますので、宿でお待ちください。早ければ明日には会えると思います」
「分かりました。場所はいつものところですので、分かりますよね」
「はい」
こうして俺たちは宿へ引っ込み、お城から遣いが来るのを待った。
宿の食事は小麦の白パンとサラダ、お肉と野菜の炒め物、スープだった。
俺の普段の食事よりはそれなりに豪華といえば豪華だ。
スープはコンソメみたいな感じの味かな。
翌朝、朝食後、遣いはいつかなと待っていると、さっそく二十歳くらいの青年が現れた。
「ドドンゴ様ですね、マーリング辺境伯が今からお会いになります。すぐについてきてください」
「あ、今からですか?」
「はい、今からです」
「はぁ。分かりました」
俺たちは馬車が迎えに来ていたので、それに乗り辺境伯のお城に向かった。
城といっても平城なので、山の上に建っているとかはない。
普通の豪華な屋敷だった。
中に通されて待合室に行った。
そして辺境伯、奥さん、娘さん、娘さんその二がすでに待っていた。
辺境伯はナイスミドル一歩手前ぐらいのお父さんという感じで、娘たちは俺より少し上ぐらいだろうか。
「ようこそ、ドドンゴ。久しいな。まぁ座れ」
俺たちは一礼して座る。こんな田舎の礼服も着ていない子供を入れていいのか疑問だが、特に何も言ってこないのでいいみたいだ。
「何やら珍しい甘みを持参したとか」
「はい。その通りです」
「もったいぶらずに、すぐに言いたまえ」
「ノイチゴの蜂蜜ジャムと、ヤマモモの蜂蜜ジャムでございます」
「ほう。ノイチゴとヤマモモとな」
「そうです。どちらも少し山のほうへ行くと、自然に生えています。しかし持ってくるとなると実が潰れてしまい、日持ちもしないため、ここまで持ってくることができないものでした」
「なるほど、それでジャムにしたと」
「その通りでございます」
「それで、そちらの子供は?」
「ゴードンとナターシャの息子ブランダンでございます」
「ほうほう、なるほど、面白い」
俺が一礼して見せる。見様見真似だけどしょうがないじゃんな。
「ではさっそく一口味見をさせてもらっても、かまわないかね」
「もちろんです」
ドドンゴが小皿とスプーンを用意させて、小皿に少量二種類のジャムを出した。
「クッキーやパンにつけて食べると美味しいかと」
ドドンゴが食べ方を説明する。
「うむ、なかなかうまいな」
「お父様、美味しいです」
「美味しいですね」
「はい、美味しいかったですね」
みな同じことを言う。なんか台詞がカンペで後ろにあって順番に言っているみたいで面白い。
「あの、牛乳と一緒に混ぜてイチゴ牛乳にしたり、お茶と一緒になめるロシアンティーとかそういう食べ方もあります」
俺が付け加えると、娘、姫さまたちは、ごくんとつばを飲み込んで欲しそうな顔をしていた。
そのまま商談になり、手持ちにある分全部、小壺十個分を金貨で、かなりの金額で購入を即決めてくれた。
「これはまた買えるのかね?」
「いえ、あの、また来年同じ時期に実がなるので、それまでは手に入りません」
「そうか、また頼む」
「仰せのままに」
こうしてジャムの販売はなんとか成功をした。
まず城門だけでなく石垣の城壁がある。
堀も巡らせてあって敵の侵入を拒んでいる。といっても最近は目立った敵はいないと思うけど、この辺でもたまに魔物が出たりはするんだと思う。
兵士さんが守る門を抜けると城下町が広がっていた。
今までの村では平屋の木の家が多かったが、この町は石みたいなのでできていて、しかも二階建てが多い。
ドドンゴは町に着いたら、まず商業ギルドに向かった。ギルド支部はペークヒェ町にもあるけど、そちらには寄らなかった。
美人のエルフの受付嬢のところへ行った。
「ちょっと辺境伯に試供品を献上、お売りしたい商品があるんだけど、紹介状頼めるかい?」
「はい、もちろんです。いつもご利用ありがとうございます。ドドンゴ様」
「ではお願いします」
「奥へどうぞ」
奥の応接室に通された。俺もついていっていいらしいので、後ろから様子を窺う。
「それでどのようなものを?」
「えっとノイチゴの蜂蜜ジャムと、ヤマモモの蜂蜜ジャムがあるんですがどうですか。これは試供品です。どうぞ」
ドドンゴは買ったジャムから一口だけ試供品用にスプーンに取り出してエルフ嬢に食べさせる。
「こ、これは」
「美味しいでしょう? どうですかね」
「は、はい。これなら紹介状、すぐご用意します」
「ありがとうございます」
「では待合席で、お待ちください」
そういうと解散になり俺たちは出ていく。
カウンター横の座席で少し待つと、紹介状を出してくれた。
「では、これはこちらで使者をお城へ出しますので、宿でお待ちください。早ければ明日には会えると思います」
「分かりました。場所はいつものところですので、分かりますよね」
「はい」
こうして俺たちは宿へ引っ込み、お城から遣いが来るのを待った。
宿の食事は小麦の白パンとサラダ、お肉と野菜の炒め物、スープだった。
俺の普段の食事よりはそれなりに豪華といえば豪華だ。
スープはコンソメみたいな感じの味かな。
翌朝、朝食後、遣いはいつかなと待っていると、さっそく二十歳くらいの青年が現れた。
「ドドンゴ様ですね、マーリング辺境伯が今からお会いになります。すぐについてきてください」
「あ、今からですか?」
「はい、今からです」
「はぁ。分かりました」
俺たちは馬車が迎えに来ていたので、それに乗り辺境伯のお城に向かった。
城といっても平城なので、山の上に建っているとかはない。
普通の豪華な屋敷だった。
中に通されて待合室に行った。
そして辺境伯、奥さん、娘さん、娘さんその二がすでに待っていた。
辺境伯はナイスミドル一歩手前ぐらいのお父さんという感じで、娘たちは俺より少し上ぐらいだろうか。
「ようこそ、ドドンゴ。久しいな。まぁ座れ」
俺たちは一礼して座る。こんな田舎の礼服も着ていない子供を入れていいのか疑問だが、特に何も言ってこないのでいいみたいだ。
「何やら珍しい甘みを持参したとか」
「はい。その通りです」
「もったいぶらずに、すぐに言いたまえ」
「ノイチゴの蜂蜜ジャムと、ヤマモモの蜂蜜ジャムでございます」
「ほう。ノイチゴとヤマモモとな」
「そうです。どちらも少し山のほうへ行くと、自然に生えています。しかし持ってくるとなると実が潰れてしまい、日持ちもしないため、ここまで持ってくることができないものでした」
「なるほど、それでジャムにしたと」
「その通りでございます」
「それで、そちらの子供は?」
「ゴードンとナターシャの息子ブランダンでございます」
「ほうほう、なるほど、面白い」
俺が一礼して見せる。見様見真似だけどしょうがないじゃんな。
「ではさっそく一口味見をさせてもらっても、かまわないかね」
「もちろんです」
ドドンゴが小皿とスプーンを用意させて、小皿に少量二種類のジャムを出した。
「クッキーやパンにつけて食べると美味しいかと」
ドドンゴが食べ方を説明する。
「うむ、なかなかうまいな」
「お父様、美味しいです」
「美味しいですね」
「はい、美味しいかったですね」
みな同じことを言う。なんか台詞がカンペで後ろにあって順番に言っているみたいで面白い。
「あの、牛乳と一緒に混ぜてイチゴ牛乳にしたり、お茶と一緒になめるロシアンティーとかそういう食べ方もあります」
俺が付け加えると、娘、姫さまたちは、ごくんとつばを飲み込んで欲しそうな顔をしていた。
そのまま商談になり、手持ちにある分全部、小壺十個分を金貨で、かなりの金額で購入を即決めてくれた。
「これはまた買えるのかね?」
「いえ、あの、また来年同じ時期に実がなるので、それまでは手に入りません」
「そうか、また頼む」
「仰せのままに」
こうしてジャムの販売はなんとか成功をした。
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