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54. 帰宅
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おうちに帰るまでが遠足だって、昔の偉い人も言っていた。
家の財政は、今のところプラス。
そして俺がほしいものを買ってややマイナス分がある。
帰り道では、ちょろっと色々なものを買う。
まずショウガ。それからニンニク。今までうちにはなかった。
こういう香辛料というか香味野菜というか癖の強い野菜類は、ちょっと使うだけで料理の幅が広がるので便利だ。
タマネギ、ダイコン、ニンジンなんかは前から育てている。
ショウガもニンニクも全部は消費せずに、畑の隅のほうで育てておこう。
ドドンゴに頼っているだけでは、たまにあると便利だけどなくても大丈夫みたいなものに気が付かない。
こうして見て回ると、たまに欲しいものが出てくる。
一応でも兵士、騎士団の街道の見回りということになっているので、目立たないように隅っこで、露店などを見ていった。
あとあまり寄り道する時間もないので、流し見だ。
おろし金なんかも買った。ジャガイモとかショウガとかあとワサビとかをするのに便利だ。
あとはピーラーとかあればさらに便利だろうけど、ないもんはないな。うん。
飛ばし気味に街道を通って片道五日間、領都滞在含め往復で約二週間、やっと我らのスモーレル地区に戻ってきた。
「「「ただいま」」」
鶏小屋を見てみる。ヒヨコちゃんももはやヒヨコじゃないな。若鳥になっていた。
メスは卵に期待しよう。はやく産んでくれるようになるといいね。
六軒目の本当の宿舎の建設もだいぶ進んでいた。
ヘルベルグ騎士は相変わらず冴えない顔をしているおっさんだけど、やるときはやるのは知っているから、まあいい。
完全に見た目で損してるから、ちょっと可哀想。
その点、アンダーソン騎士のほうは今が頂点ではなく、これから出世しそうという。このヨーラル山のヨーラル峠警備の仕事は実績づくりみたいなもんだろう。
アンダーソンの父親も、騎士団の偉い人らしいし。
ところで厳密には軍と騎士団ってなにがどう分かれてるか、よくわからんよね。
「じゃあ、ヘルベルグ騎士、さようなら、また二週間後」
「ああ、では、行ってくる」
ヘルベルグ騎士を見送って、俺たちはまったりする。
本日はタンポポコーヒーにしよう。
「ほう、タンポポコーヒーも悪くはないな」
「でしょ」
アンダーソン騎士も美味しそうに飲んでいた。いつも本物のコーヒーではちょっと財政が破綻しちゃうかもしれない。
「なんか、一仕事終えて、家に帰ってきたって感じがする」
「あはは、まあ、そうだね。私もここを第二の故郷にしようかな」
「騎士様がこんな田舎なんて」
「なに、田舎だからこそ、いいんじゃないか。変な人もいないし」
「確かに」
「あははは」
騎士様もリラックスだ。どうせこの山を登ってくる人はあまりいない。
「祠に帰還の挨拶でも、しにいきますか、騎士様も」
「そうだね」
俺たちは外に出て、祠に祈る。
『ただいま、戻りました。妖精様、女神様。これからもよろしくお願いします』
ぽぽ、ぽ、と光が灯り、黄色い妖精光が辺りに広がっていく。
「実に神秘的だね」
「そうですね」
本当にこれは不思議だ。
兵士は今回は合計で十五人。五人は工作兵というやつで、山道の改良に当たるらしい。
だから馬車も二台でやってきた。
十五人で家一軒はちょっと狭いかもしれない。六軒目の宿舎の完成が待たれる。
兵士は男ばかりだから、うちの女の子たちは癒しだ。
翌日。朝の仕事と、鍛錬が終わったころ。
集落にお客さんが飛んできた。
うん。飛んできたと言っても、走ってきたの比喩表現ではないよ。
空をバサバサいや、静かに翼を動かして飛んできたんだ。
「こんにちは」
「ああ、こんにちは」
降りてきて、挨拶をしてくれた。
その子は俺たちよりちょっと上くらいの年齢の女の子だった。
青いストレートヘアーに丸いくりくりの青い瞳、可愛い顔、白い肌、細い手足、背は俺たちよりちょっと高い程度。
それから、少しだけど胸がある。
手とは別に、背中に純白の翼が生えている。これで金髪碧眼だったら、どう見ても天使っぽい。
ついでに言えば白いミニスカートなんだけど空飛ぶときに中見えたりしないのかね。
「すごいな。空飛んでくるなんて」
「なんだお前、翼人族を知らないのかい?」
「うん。初めて聞いた。初めて見た」
「ふーん。ボクはジェシカ・ルガードだよ」
「俺はブラン。苗字があるんだね。偉い人なんだ」
「そんなことないよ。ああ、そういえば、先に隊長に挨拶しないと」
そういって向こうを見る。アンダーソン騎士だ。
「ジェシカ・ルガード、着任しました。アンダーソン隊長」
「はい、了解した。以降、命令あるまで待機。たまに空を飛んで哨戒してくれ」
「わかりました」
普通の敬礼をしてアンダーソン騎士と挨拶を交わす。
ということは、この年で軍属なんだな。
まあ、普通の人が意味もなくこんなところに飛んでこないか。
家の財政は、今のところプラス。
そして俺がほしいものを買ってややマイナス分がある。
帰り道では、ちょろっと色々なものを買う。
まずショウガ。それからニンニク。今までうちにはなかった。
こういう香辛料というか香味野菜というか癖の強い野菜類は、ちょっと使うだけで料理の幅が広がるので便利だ。
タマネギ、ダイコン、ニンジンなんかは前から育てている。
ショウガもニンニクも全部は消費せずに、畑の隅のほうで育てておこう。
ドドンゴに頼っているだけでは、たまにあると便利だけどなくても大丈夫みたいなものに気が付かない。
こうして見て回ると、たまに欲しいものが出てくる。
一応でも兵士、騎士団の街道の見回りということになっているので、目立たないように隅っこで、露店などを見ていった。
あとあまり寄り道する時間もないので、流し見だ。
おろし金なんかも買った。ジャガイモとかショウガとかあとワサビとかをするのに便利だ。
あとはピーラーとかあればさらに便利だろうけど、ないもんはないな。うん。
飛ばし気味に街道を通って片道五日間、領都滞在含め往復で約二週間、やっと我らのスモーレル地区に戻ってきた。
「「「ただいま」」」
鶏小屋を見てみる。ヒヨコちゃんももはやヒヨコじゃないな。若鳥になっていた。
メスは卵に期待しよう。はやく産んでくれるようになるといいね。
六軒目の本当の宿舎の建設もだいぶ進んでいた。
ヘルベルグ騎士は相変わらず冴えない顔をしているおっさんだけど、やるときはやるのは知っているから、まあいい。
完全に見た目で損してるから、ちょっと可哀想。
その点、アンダーソン騎士のほうは今が頂点ではなく、これから出世しそうという。このヨーラル山のヨーラル峠警備の仕事は実績づくりみたいなもんだろう。
アンダーソンの父親も、騎士団の偉い人らしいし。
ところで厳密には軍と騎士団ってなにがどう分かれてるか、よくわからんよね。
「じゃあ、ヘルベルグ騎士、さようなら、また二週間後」
「ああ、では、行ってくる」
ヘルベルグ騎士を見送って、俺たちはまったりする。
本日はタンポポコーヒーにしよう。
「ほう、タンポポコーヒーも悪くはないな」
「でしょ」
アンダーソン騎士も美味しそうに飲んでいた。いつも本物のコーヒーではちょっと財政が破綻しちゃうかもしれない。
「なんか、一仕事終えて、家に帰ってきたって感じがする」
「あはは、まあ、そうだね。私もここを第二の故郷にしようかな」
「騎士様がこんな田舎なんて」
「なに、田舎だからこそ、いいんじゃないか。変な人もいないし」
「確かに」
「あははは」
騎士様もリラックスだ。どうせこの山を登ってくる人はあまりいない。
「祠に帰還の挨拶でも、しにいきますか、騎士様も」
「そうだね」
俺たちは外に出て、祠に祈る。
『ただいま、戻りました。妖精様、女神様。これからもよろしくお願いします』
ぽぽ、ぽ、と光が灯り、黄色い妖精光が辺りに広がっていく。
「実に神秘的だね」
「そうですね」
本当にこれは不思議だ。
兵士は今回は合計で十五人。五人は工作兵というやつで、山道の改良に当たるらしい。
だから馬車も二台でやってきた。
十五人で家一軒はちょっと狭いかもしれない。六軒目の宿舎の完成が待たれる。
兵士は男ばかりだから、うちの女の子たちは癒しだ。
翌日。朝の仕事と、鍛錬が終わったころ。
集落にお客さんが飛んできた。
うん。飛んできたと言っても、走ってきたの比喩表現ではないよ。
空をバサバサいや、静かに翼を動かして飛んできたんだ。
「こんにちは」
「ああ、こんにちは」
降りてきて、挨拶をしてくれた。
その子は俺たちよりちょっと上くらいの年齢の女の子だった。
青いストレートヘアーに丸いくりくりの青い瞳、可愛い顔、白い肌、細い手足、背は俺たちよりちょっと高い程度。
それから、少しだけど胸がある。
手とは別に、背中に純白の翼が生えている。これで金髪碧眼だったら、どう見ても天使っぽい。
ついでに言えば白いミニスカートなんだけど空飛ぶときに中見えたりしないのかね。
「すごいな。空飛んでくるなんて」
「なんだお前、翼人族を知らないのかい?」
「うん。初めて聞いた。初めて見た」
「ふーん。ボクはジェシカ・ルガードだよ」
「俺はブラン。苗字があるんだね。偉い人なんだ」
「そんなことないよ。ああ、そういえば、先に隊長に挨拶しないと」
そういって向こうを見る。アンダーソン騎士だ。
「ジェシカ・ルガード、着任しました。アンダーソン隊長」
「はい、了解した。以降、命令あるまで待機。たまに空を飛んで哨戒してくれ」
「わかりました」
普通の敬礼をしてアンダーソン騎士と挨拶を交わす。
ということは、この年で軍属なんだな。
まあ、普通の人が意味もなくこんなところに飛んでこないか。
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