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アウリスは無言で手を伸ばしてきた。寝衣の裾をつまみ、横たわるベルタからゆっくりとはがしていく。
(あぁ……なんてはしたないことを……)
枕にしがみついて火照った顔を埋める。その間に太腿が、腰があらわになっていった。
「そうしていると脱がせない」
耳元で囁かれ、おそるおそる体を起こす。
上げた腕から寝衣が引き抜かれる。腰を持ち上げられて下着も取られた。
一糸まとわぬ体を横たえ、ベルタは星の天井から目をそらす。
「次は?」
「つ、次は……撫でなさい」
曖昧な命令を受けたアウリスは頭を撫でた。
その手付きはあやすようなものから愛撫へと変わっていった。指先が耳へ下り、首筋をなぞって鎖骨を描き、そこからさらに下っていく。
ベルタは目を閉じた。
真っ暗になると、ほとんど夢の中にいるようだった。自分の上を二つの手が這い回っている。気まぐれな動きで翻弄しようとしている。
怖い。だが、その怖さは見た夢のせいだ。アウリスのことが怖いのではない。
ベルタは目元を腕で覆った。
「……胸を、揉むのよ」
双丘が手のひらに包まれる。脇から掬うように揉みしだかれ、覚えのある感覚が湧き上がってくる。
(でも、これはアウリスの手)
ベルタの太腿が無意識の内に擦り合う。
息が乱れるほどの時間が過ぎ、ようやくベルタは命令を出した。
「い、いやらしいところを……いっぱい、触りなさい」
待ちわびていたように二つの手が乳首をつまんだ。
「んっ」
驚くほど甘えた声だった。我慢しようとしたが、胸の先を手のひらで撫でられ叶わない。
片手が下がり、閉じ合う太腿の隙間へ指をねじ込む。割れ目をなぞり、上下しながら深みへ潜ってゆく。
「はぁ、あ……!」
ぬるり、と花芯を擦られ、ベルタは喉を仰け反らせた。
頭頂まで貫くような甘い痺れが全身を駆け巡る。以前口で触れられた時とは違う、乱暴なほどに鋭い刺激だ。
「待っ、て……待ってぇ……っ!」
アウリスを止めようと腕を伸ばした。視界が開け、その姿を見つけて縋り付く。
だが、指は止まってくれない。アウリスは首を振った。
「今のはお願いだろう。命令してくれなければ」
「そ、んな……!」
乳首と同時につまみ上げられて反射的に腰が浮く。
頭が真っ白になりかけた時、突然手を放され、ベルタの体はシーツに沈んだ。
困惑してアウリスを見上げると、楽しげな唇が濡れた指を食んだ。
「ベルタ。次の命令はないのか?」
その目が爛々と輝いている。今ので加虐心がくすぐられてしまったようだ。
ベルタは唇を噛んだ。
「次、は……指を……」
「何本?」
「……二本……あぁっ」
性急に指が埋め込まれても、男性を受け入れた経験のあるそこはほとんど抵抗しなかった。
(このままじゃ、流されちゃう……)
意を決してアウリスの袖を引く。その様子にただならぬ緊張を感じたのだろう、銀色の頭が屈んで近づく。
ベルタは耳元へか細く囁き、……返ってきたのは低い笑いだった。
「なんだ。そんなことで私に嫌われないかと心配していたのか?」
「そ、そんなこと?」
声がひっくり返った。
「ああ、そんなことだ。むしろ嬉しいな……君の秘密がまた一つ分かるわけだ」
本気らしい様子に閉口する。
「なんだ?」
「いえ……やっぱり、変態なのね」
「……君が言うのか?」
「わ、わたしは自分の意志じゃないものっ」
「ほう、そうきたか」
枕を取り上げられたと思いきや、体を転がされベルタはうつ伏せになった。
軽く目を回している間に腰が持ち上げられ、お腹の下に枕が挟まれる。お尻を突き上げた体勢だ。
「これは……扇情的な眺めだな」
しみじみと呟かれ、顔が熱くなる。この格好はアウリスの前に秘するべきところを全てさらけ出しているのだ。
「すごくきつそうだ」
お尻を開かれれば、いやでも力が入るに決まっている。
だが、アウリスの指が下方から蜜を掬って窄まりを撫で回し始めと、さすがに慌てた。
「駄目、そんなところ触っちゃ……!」
「どうして。君が言ったのではないか」
「綺麗じゃないもの!」
「そんなことはない。綺麗な色だ」
「なっ……」
指の腹が中央を窪ませた。それを押し返そうと反射的に肉がうごめくが、逆に自身へ食い込ませてしまう。
「ひ……!」
ベルタはこわばった。異物感のためなのか、別の何かのためなのかは分からない。
ただ、同じことを繰り返される度に押さえきれないような声が出てしまう。
「気持ちいいのだろう?」
「よく……ないっ」
「こんなにひくひくさせているのに?」
ベルタは必死に首を横に振るが、ぐりぐりと指を食い込まされて声を上ずらせる。
悶える腰つきを前に、アウリスは熱いため息をついた。
欲望を放てない腹いせか、二本の指を蜜口へ突き立てると、音を立てて中をかき回す。
その指先が腹側の一点を押し込んだ時、ベルタの喉は今までとは違う可憐な声を上げた。
(なに、今の……?)
シーツを見つめる目を見開く。
同じ場所を触られてまた声が出る。何度も何度も、抜き差しされる指がそこを突く。
「あ、あぁ、あぁっ」
尻をもてあそぶ動きもベルタを追い詰める。新しい感覚が同時に襲い来て頭の中が混乱していく。
「あぁっ、わたし、だめっ、だめぇ……っ!」
自分が真っ白になるようだった。
寝衣の裾を整えられながらぼんやりと天井を見上げる。
花畑と星々。そういえばアウリスが最初にくれた青薔薇の夢と同じ風景だ。
「アウリス……」
夢見心地で名前を呼ぶと、足元にいた重みが近づいてきてベルタの隣に横たわる。目を合わせる間もなく口づけされて視界が美貌に覆われた。
「んぅ……」
熱い唇が息をつかせてくれない。眠たさに鈍っていた思考が目を覚ます。
(そうだ、アウリスはまだ……)
ベルタは重なりかけている体を押しのけ、身を起こした。
銀髪を散らしてシーツに寝転ぶアウリスは不思議そうに、しかし期待のこもった双眸でこちらを見上げる。その姿のなんといじらしいことだろう。
「ずっと我慢させてしまったわね。でもありがとう」
「……ん、もっと褒めてくれ」
「うん……」
ベルタは両手を突いてアウリスの体に覆いかぶさり、初めて自分から口づけた。
深い口づけも、人の服を脱がすのも、自分で手綱を握って初めて難しさが分かる。相手に気持ちよくなってほしいのに、遠慮が邪魔してぎこちないばかりだ。
そう考えるとアウリスは欲望に忠実だ。清々しいほどに。
ズボンと一緒に下履きをずらすと、その欲望の象徴が勢いよく飛び出てくる。咄嗟につむってしまった目を恐る恐る開けてみて、ベルタは驚いた。
一度体験したとはいえ、そもそも男性の形状に関する知識は曖昧にしか持ち合わせていなかったのだ。予想以上に複雑な姿を思わず凝視する。
それは既に先端から液体を溢れさせ、涎のように自身を濡らしていた。うっすらと浮き出た血管が脈動しているのが見える。
正直に言えば見た目はよくない。だが、アウリスの一部だと思うとなんだか可愛げもある気がする。
「辛そうね……」
そっとつかんでみると温かい。初夜の時の様子を思い出し、ベルタは両手でそれを包み、潤みを利用して上下に擦った。
アウリスの様子を見ながら徐々に力を込め、動きを速めていく。その手付きを見守る表情から余裕が消えていくと、喜んでくれているのだと分かって嬉しい。
ベルタは両手を色々な形にしてアウリスを握った。先端を親指で擦った時の反応が一番淫らだった。
「あぁ……ッ!」
声を上ずらせて頭を振るが、ベルタを見つめる時は唇を噛んで気丈に振る舞うのだ。
見つけた弱点をさきほどのお返しとして強く刺激すると、獣じみた唸りが上がった。
「ベルタ……もう」
「うん」
音がするほど扱いた直後、先端を隠す手のひらに熱がほとばしった。
手巾で互いを拭き、アウリスの体を這い上って唇同士を触れ合わせる。
「やりすぎたかしら」
「……よかったよ」
そう照れくさそうに言う。ベルタははにかんで笑った。
(あぁ……なんてはしたないことを……)
枕にしがみついて火照った顔を埋める。その間に太腿が、腰があらわになっていった。
「そうしていると脱がせない」
耳元で囁かれ、おそるおそる体を起こす。
上げた腕から寝衣が引き抜かれる。腰を持ち上げられて下着も取られた。
一糸まとわぬ体を横たえ、ベルタは星の天井から目をそらす。
「次は?」
「つ、次は……撫でなさい」
曖昧な命令を受けたアウリスは頭を撫でた。
その手付きはあやすようなものから愛撫へと変わっていった。指先が耳へ下り、首筋をなぞって鎖骨を描き、そこからさらに下っていく。
ベルタは目を閉じた。
真っ暗になると、ほとんど夢の中にいるようだった。自分の上を二つの手が這い回っている。気まぐれな動きで翻弄しようとしている。
怖い。だが、その怖さは見た夢のせいだ。アウリスのことが怖いのではない。
ベルタは目元を腕で覆った。
「……胸を、揉むのよ」
双丘が手のひらに包まれる。脇から掬うように揉みしだかれ、覚えのある感覚が湧き上がってくる。
(でも、これはアウリスの手)
ベルタの太腿が無意識の内に擦り合う。
息が乱れるほどの時間が過ぎ、ようやくベルタは命令を出した。
「い、いやらしいところを……いっぱい、触りなさい」
待ちわびていたように二つの手が乳首をつまんだ。
「んっ」
驚くほど甘えた声だった。我慢しようとしたが、胸の先を手のひらで撫でられ叶わない。
片手が下がり、閉じ合う太腿の隙間へ指をねじ込む。割れ目をなぞり、上下しながら深みへ潜ってゆく。
「はぁ、あ……!」
ぬるり、と花芯を擦られ、ベルタは喉を仰け反らせた。
頭頂まで貫くような甘い痺れが全身を駆け巡る。以前口で触れられた時とは違う、乱暴なほどに鋭い刺激だ。
「待っ、て……待ってぇ……っ!」
アウリスを止めようと腕を伸ばした。視界が開け、その姿を見つけて縋り付く。
だが、指は止まってくれない。アウリスは首を振った。
「今のはお願いだろう。命令してくれなければ」
「そ、んな……!」
乳首と同時につまみ上げられて反射的に腰が浮く。
頭が真っ白になりかけた時、突然手を放され、ベルタの体はシーツに沈んだ。
困惑してアウリスを見上げると、楽しげな唇が濡れた指を食んだ。
「ベルタ。次の命令はないのか?」
その目が爛々と輝いている。今ので加虐心がくすぐられてしまったようだ。
ベルタは唇を噛んだ。
「次、は……指を……」
「何本?」
「……二本……あぁっ」
性急に指が埋め込まれても、男性を受け入れた経験のあるそこはほとんど抵抗しなかった。
(このままじゃ、流されちゃう……)
意を決してアウリスの袖を引く。その様子にただならぬ緊張を感じたのだろう、銀色の頭が屈んで近づく。
ベルタは耳元へか細く囁き、……返ってきたのは低い笑いだった。
「なんだ。そんなことで私に嫌われないかと心配していたのか?」
「そ、そんなこと?」
声がひっくり返った。
「ああ、そんなことだ。むしろ嬉しいな……君の秘密がまた一つ分かるわけだ」
本気らしい様子に閉口する。
「なんだ?」
「いえ……やっぱり、変態なのね」
「……君が言うのか?」
「わ、わたしは自分の意志じゃないものっ」
「ほう、そうきたか」
枕を取り上げられたと思いきや、体を転がされベルタはうつ伏せになった。
軽く目を回している間に腰が持ち上げられ、お腹の下に枕が挟まれる。お尻を突き上げた体勢だ。
「これは……扇情的な眺めだな」
しみじみと呟かれ、顔が熱くなる。この格好はアウリスの前に秘するべきところを全てさらけ出しているのだ。
「すごくきつそうだ」
お尻を開かれれば、いやでも力が入るに決まっている。
だが、アウリスの指が下方から蜜を掬って窄まりを撫で回し始めと、さすがに慌てた。
「駄目、そんなところ触っちゃ……!」
「どうして。君が言ったのではないか」
「綺麗じゃないもの!」
「そんなことはない。綺麗な色だ」
「なっ……」
指の腹が中央を窪ませた。それを押し返そうと反射的に肉がうごめくが、逆に自身へ食い込ませてしまう。
「ひ……!」
ベルタはこわばった。異物感のためなのか、別の何かのためなのかは分からない。
ただ、同じことを繰り返される度に押さえきれないような声が出てしまう。
「気持ちいいのだろう?」
「よく……ないっ」
「こんなにひくひくさせているのに?」
ベルタは必死に首を横に振るが、ぐりぐりと指を食い込まされて声を上ずらせる。
悶える腰つきを前に、アウリスは熱いため息をついた。
欲望を放てない腹いせか、二本の指を蜜口へ突き立てると、音を立てて中をかき回す。
その指先が腹側の一点を押し込んだ時、ベルタの喉は今までとは違う可憐な声を上げた。
(なに、今の……?)
シーツを見つめる目を見開く。
同じ場所を触られてまた声が出る。何度も何度も、抜き差しされる指がそこを突く。
「あ、あぁ、あぁっ」
尻をもてあそぶ動きもベルタを追い詰める。新しい感覚が同時に襲い来て頭の中が混乱していく。
「あぁっ、わたし、だめっ、だめぇ……っ!」
自分が真っ白になるようだった。
寝衣の裾を整えられながらぼんやりと天井を見上げる。
花畑と星々。そういえばアウリスが最初にくれた青薔薇の夢と同じ風景だ。
「アウリス……」
夢見心地で名前を呼ぶと、足元にいた重みが近づいてきてベルタの隣に横たわる。目を合わせる間もなく口づけされて視界が美貌に覆われた。
「んぅ……」
熱い唇が息をつかせてくれない。眠たさに鈍っていた思考が目を覚ます。
(そうだ、アウリスはまだ……)
ベルタは重なりかけている体を押しのけ、身を起こした。
銀髪を散らしてシーツに寝転ぶアウリスは不思議そうに、しかし期待のこもった双眸でこちらを見上げる。その姿のなんといじらしいことだろう。
「ずっと我慢させてしまったわね。でもありがとう」
「……ん、もっと褒めてくれ」
「うん……」
ベルタは両手を突いてアウリスの体に覆いかぶさり、初めて自分から口づけた。
深い口づけも、人の服を脱がすのも、自分で手綱を握って初めて難しさが分かる。相手に気持ちよくなってほしいのに、遠慮が邪魔してぎこちないばかりだ。
そう考えるとアウリスは欲望に忠実だ。清々しいほどに。
ズボンと一緒に下履きをずらすと、その欲望の象徴が勢いよく飛び出てくる。咄嗟につむってしまった目を恐る恐る開けてみて、ベルタは驚いた。
一度体験したとはいえ、そもそも男性の形状に関する知識は曖昧にしか持ち合わせていなかったのだ。予想以上に複雑な姿を思わず凝視する。
それは既に先端から液体を溢れさせ、涎のように自身を濡らしていた。うっすらと浮き出た血管が脈動しているのが見える。
正直に言えば見た目はよくない。だが、アウリスの一部だと思うとなんだか可愛げもある気がする。
「辛そうね……」
そっとつかんでみると温かい。初夜の時の様子を思い出し、ベルタは両手でそれを包み、潤みを利用して上下に擦った。
アウリスの様子を見ながら徐々に力を込め、動きを速めていく。その手付きを見守る表情から余裕が消えていくと、喜んでくれているのだと分かって嬉しい。
ベルタは両手を色々な形にしてアウリスを握った。先端を親指で擦った時の反応が一番淫らだった。
「あぁ……ッ!」
声を上ずらせて頭を振るが、ベルタを見つめる時は唇を噛んで気丈に振る舞うのだ。
見つけた弱点をさきほどのお返しとして強く刺激すると、獣じみた唸りが上がった。
「ベルタ……もう」
「うん」
音がするほど扱いた直後、先端を隠す手のひらに熱がほとばしった。
手巾で互いを拭き、アウリスの体を這い上って唇同士を触れ合わせる。
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