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十一

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 薔薇が見渡せる庭園の中央。
 パラソル付きの長方形のテーブル。真っ白なテーブルクロス。水色の食器。二つ並んだケーキスタンド、そこに並んだケーキ、サンドイッチの数も覚えてる。

 目の前の、メイドが入れてくれたアールグレイ。

 王子の衣装、周りの令嬢のドレス。私の着たドレスに髪型。
 メイド、護衛の数、令嬢の従者達。

 どれも前と変わらず同じ。

 でも、違うものもある。それは私の座った席の位置に、ライチ君とチュチュが側にいる。

 前は。一時間も早く王城に着いて、王子の近くに座った。

 今は同じ公爵令嬢モリアン様とトコロール様が座っていた。
 モリアン様は頬を赤らめながら王子と話してる。王子の表情も満更では無い表情だ。

 このまま公爵令嬢のモリアン様か、トリコロール様のどちらかと婚約……者ではダメだ。書庫にライチ君を連れたいく約束だった。

 約束をしたのだもの、王子の婚約者になるにはどうしたらいい。前は、初めから決まっていたみたいに、いつの間にか決まっていた、感じがする。

 それに王子よりも、従者姿のライチ君の方がカッコ良く見えるし、早く帰ってお茶しながら、家の書庫で本を調べたり、彼と一緒にお喋りしたいな。

 そっちの方が有意義だわ。

 
〈ライチ⁉︎〉


 ライチ君? まさか立ちくらみ? 
 それとも近くに騎士がいるから、前に刺されたお腹が痛むの?

「ライチ?」

 心配で思わず、立ち上がってしまった。

〈リナ来るな、なんとも無い。お前がカッコいいとか、一緒にお喋りしたいなどと、不意打ちを食らわせたからだ〉

〈嘘。独り言だったのに聞こえちゃったの?〉

 念話は魔力に乗せて話すと聞いていた。

〈リナはまだ魔力の使い方が不安定だから、さっきから丸聞こえだ〉


 丸聞こえ⁉︎


〈だからこの前ダンス練習の後。お風呂中に部屋に突撃したのね! 専属のメイドもいたのに〉

 ライチ君は他の従者の方に手を借りて立ち上がって、周りにお辞儀をしながらお礼を言ってるのに、念話はしっかり飛んできた。

〈アレは焦ったな、従者としての習い事中、楽しげな鼻歌に、俺が頑張ってて素敵。だとかいい出すし。その日は念話しながら、お茶の入れ方を習ったから、リナに一番に入れたかったのもある〉

〈ライチ君のいれてくれる、お茶は美味しいもの〉
〈美味いチュ〉

 早くライチ君のお茶に、一緒にお喋りしたい。

〈だから、聞こえてるって〉


「どうした? 君の従者の具合が悪いのなら、部屋で休ませるか?」


 ライチ君を部屋に休ませる、良くなったとライチ君を書庫に案内する。
 書庫で本を調べて仕舞えば、王子の婚約者にならなくてもいい。

 これだわ。


〈リナ?〉
 
〈チュ?〉

「そう、お願いできますか? 私も心配なので彼について行きます」

 他の令嬢達は心配しながら。そう言った私に、センスに顔を隠して微笑んでる。ライバルは少ない方がいいもの。

「わかった、誰がカトリーナ嬢と従者を部屋まで案内をしてやってくれ!」

 王子の許可も取り、メイドに部屋に案内してもらった。
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