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俺は、大魔界人(おおま かいと)浪人生活三年目を送っていた。
その年は、ショート動画が投稿できるほどの衝撃的に大量発生したツクツクボウシが、夏の終わりを壮大に告げていた。
帰宅途中で事故に巻き込まれ、目を覚ませば見た事の無い生物が生息する異世界へと招かれ、その異世界の秩序と理、そして、魔法の存在を知る。
人と人以外の亜人族に魔族、神族も実在するこの世界で、俺は新たな人生を歩みだそうとしていた。
実際、自分の身に『ラノベ』のような異世界転移なる事案が起ころうとは……思ってもいなかった。
パニックになるものだと思っていたが、
意外とすんなり受け入れられてるものなんだと、自分でも驚きである。
事故に遭ったその日はと言うと、置き配用ボックスを導入する為、バイト先から最寄りのホームセンターで購入した帰りだった。
サイズはL(大)で、みかんの段ボール箱なら丸ごとスッポリと余裕のあるものを選んだ。
ありがたい事だが、仕送りをしてくれる母親が加減を知らず、家中にあるもの何でもかんでもかき集めては、段ボールをパンパンにして詰め込んでくる。
それも結構な頻度で送り付けてくるのだ。
多分、この置き配用ボックスなら置き配叶わず、ただ重い段ボール箱を持ち帰るだけの配達員の恨みを買うことも無いはず……。
置き配用ボックスを大事に抱えながら帰路の途中、歩道を歩く人混みの奥から悲鳴が聞こえてくる。
悲鳴の数は徐々に増え、こちらに近付いていた。
荒々しいエンジン音と共に大きな塊が迫る。
それは、制御を失った大型トラックが一台、混乱し逃げ惑う人の群れへと侵入していた。
つまづいて倒れた子供がトラックの進路上で動けずにいるのが視界に入ると俺は逃げる足を止めていた。
トラックと衝突したとしても、今、自分が抱えている置き配用ボックスがクッション替わりになると、唐突に思った俺は、全力でその子供の方へと駆け出していた。
「危ない!」
ドンッ!
激しい衝突音と衝撃を全身で感じた後、そこからの記憶は一切ないが、風に乗る緑の香りと鼻をくすぐる葉先で目が覚める。
抱き枕のように置き配用ボックスを大事に抱きしめながら…。
その年は、ショート動画が投稿できるほどの衝撃的に大量発生したツクツクボウシが、夏の終わりを壮大に告げていた。
帰宅途中で事故に巻き込まれ、目を覚ませば見た事の無い生物が生息する異世界へと招かれ、その異世界の秩序と理、そして、魔法の存在を知る。
人と人以外の亜人族に魔族、神族も実在するこの世界で、俺は新たな人生を歩みだそうとしていた。
実際、自分の身に『ラノベ』のような異世界転移なる事案が起ころうとは……思ってもいなかった。
パニックになるものだと思っていたが、
意外とすんなり受け入れられてるものなんだと、自分でも驚きである。
事故に遭ったその日はと言うと、置き配用ボックスを導入する為、バイト先から最寄りのホームセンターで購入した帰りだった。
サイズはL(大)で、みかんの段ボール箱なら丸ごとスッポリと余裕のあるものを選んだ。
ありがたい事だが、仕送りをしてくれる母親が加減を知らず、家中にあるもの何でもかんでもかき集めては、段ボールをパンパンにして詰め込んでくる。
それも結構な頻度で送り付けてくるのだ。
多分、この置き配用ボックスなら置き配叶わず、ただ重い段ボール箱を持ち帰るだけの配達員の恨みを買うことも無いはず……。
置き配用ボックスを大事に抱えながら帰路の途中、歩道を歩く人混みの奥から悲鳴が聞こえてくる。
悲鳴の数は徐々に増え、こちらに近付いていた。
荒々しいエンジン音と共に大きな塊が迫る。
それは、制御を失った大型トラックが一台、混乱し逃げ惑う人の群れへと侵入していた。
つまづいて倒れた子供がトラックの進路上で動けずにいるのが視界に入ると俺は逃げる足を止めていた。
トラックと衝突したとしても、今、自分が抱えている置き配用ボックスがクッション替わりになると、唐突に思った俺は、全力でその子供の方へと駆け出していた。
「危ない!」
ドンッ!
激しい衝突音と衝撃を全身で感じた後、そこからの記憶は一切ないが、風に乗る緑の香りと鼻をくすぐる葉先で目が覚める。
抱き枕のように置き配用ボックスを大事に抱きしめながら…。
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