異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)

深月カナメ

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 わたし、伯爵令嬢ヒーラギ・サンドリヤ十八歳、このカザール国の聖女で第一王子の婚約者だった。あ、元聖女と元婚約者かな? どうして聖女になったのかと言うと、十歳の時に弟、ギリジアンの大怪我を癒したのだ。

 それも痕も残らず綺麗に傷を癒やした。

 ことを知った両親は"奇跡の力"に大喜びして、『うちの子に神から奇跡の力を授かった』と社交界で娘自慢をして回った。

 その噂は国中に広がり人々は五年前に亡くなった、聖女様の後継者が生まれた、新しい聖女の誕生だと喜んだ。国中から奇跡の力を求めて領地に人々が押し寄せた。

 当時、十歳の少女に毎日癒しの力を使うのは大変だった。『体調が悪くて無理です』といっても、両親は話を聞きいてれくれず、文句を言うと背中、お尻を叩かれた。そして決まって『ヒーラギ、癒やして差し上げなさい』と『癒しは貴方しかできないのよ』『素晴らしい力は使わなくてはね』と言う。

『……はい』

 わたしは両親に言われるまま訪れた人の怪我を治した。後で知ったのだけど、両親はお礼として、金品、お金を受け取っていた。

 この奇跡の力で多額の金が手に入ると、分かった両親は癒す対象が金持ち、貴族達になていった。お金のない者は追い返していた。こうしてサンドリア伯爵領にどんな傷でも癒やす、娘がいるという噂は王都まで届く。


『なんとしてもその娘を、新聖女として向かい入れろ!』

 国王陛下の命令に聖職者達はサンドリア伯爵領まで訪れて、聖女は国には必要だと両親に一生遊んで暮らせるだけのお金を渡した。両親は陛下の頼みならと快くわたしを国に売った。陛下はすぐ新聖女が誕生したと、国民に知らせて、わたしを王城の離れに住まわせた。



 早朝五時。

『聖女様、お祈りの時間です』

 聖職者達はわたしの余儀なく、前聖女様が行っていた毎朝五時から祭壇で祈りを一時間、昼に二時間、夜に一時間、カサドール国のために祈りを捧げさせた。祈りと言っても前聖女が張った、国を覆う結界を補強するだけ。

 しかし毎時間祈りを捧げないと食事が食べれない。少しでも寝坊をすれば、引きずられて祭壇に座らされた。
 彼らは両親のように暴力は振るわれなかったけど、祈りは強要させられた。

 それには訳がある。

 カサドール国の近辺に魔王が収めるジュストラルクという魔物の国がある。古代歴史書によれば三百年前に勇者が冒険者仲間と魔王を倒して、ジャストラルク国は滅びたと記されていた。

 勇者に魔王は倒されてるんだと、安心したのも束の間。最近、新しく魔王が誕生したらしく、静かだったジュストラルク国は勢力を増した。平穏な日常が終わる。魔物たちは瘴気を放ち隣接するサタナ森を超えて、この国カザールに攻めてきている。

 魔物におびえた国王陛下は『聖女、聖女様のお力をお貸しください』と、当時十二歳になったばかりのわたしに願った。

 聖女は国の為に祈りなさい。
 これはあなたにしか出来ないことだと。
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