22 / 30
閑話 ブラン(上)
しおりを挟む
雪狼族――俺の母さんが生まれた北の大地。元々、雪狼は何らかの力を持って生まれてくる。母さんは五人兄弟の中で、癒しの力と守りの力を持って生まれた。
人々を癒す、癒しの巫女として育った。
中央大陸を収める黒狼族。年に一度開かれる当主会で父さんと母さんは出会ったらしい。黒狼の国王は一目で母さんの能力を気に入り、第一王子の嫁にしたいと白狼の王に申しでた。
白狼の王は縛ったが作物があまり育たない、雪深き北の大地と。多くの作物が育つ豊かな中央大地。
白狼を支援をする約束と共に、母さんは父さんの婚約者となり、王太子となった翌年に結婚した。
数年後――俺が生まれて父さんは黒狼の王となった。
戦争が好きではなかった前国王と父さんは違う。
多様な力を持つ白狼を使い、父さんは戦争を起こした。
ブラン0歳のとき。
二年を費やして南のエルフ国、西の竜人国、東の鬼人国と手に入れ一つの黒狼大国となる。大きくなった勢力は近隣にある豊かな大地を持ち、欲が出た王は人間の国が欲しくなる。
しかし、人間の多様な武器、勢力の前に黒狼は敗れた、人々は何もできない亜人達を力無き者を、大量虐殺を繰り返し奴隷として扱った。父さんは自分の命を守るため"癒しの巫女"の母さんを差し出したのだ。
ブラン五歳のとき。
王は王妃の座が空くと直ぐ、元々の恋人を王は王妃として向かい入れた。その翌年、双子が生まれる。王は愛する王妃との間に、生まれた子供を次の王にしたい。
そうなると長男のブランが邪魔になった。
このときのブランは弟達と、対等に扱われず愛に飢えていた……父の言うことを素直に聞き入れて、国を一つ任せるとブランは王城を追い出された。
ブラン十五歳の時。
ブランが父さんからもらった国は戦争で体を負傷した者、口減らしのため追い出された者、親のいない者が集まった国の端にある寂れた村。
そこでエルフのロンと竜人のヤンと幼馴染のリコと出会う。ロンはエルフと人間との混血の種族ハーフエルフだった、竜人の二人は戦争で両親を失っていた。
年上だと思うロン、同じ歳のヤンと二歳下のリコと力を合わせて、食べ物が少ない村を再起させようと奮闘した。魔力を器用に扱えるロンと、有り余る魔力を暴発させるブラン……ブランはロンの下で魔力の扱い方を習い始めた。
その一年後、ヤンとリコが村で初めての夫婦となった。
この日、村で盛大に祝った。
ブラン二十歳のとき。
順調に進む村の開発。王の子供――双子の弟達は兄ブランが落ちぶれ、惨めな思いをしている姿が見たくて村に来る。しかし村で仲間と楽しく働き、暮らすブランに腹を立て暴れる。
この時――彼らが投げた尖った石があたり、リコは両目を失明した。家を壊し、畑は荒らされ再建途中の村は崩壊した。
リコの両目はブランの癒しの力を使っても、治らなかった。残ったのは村の住民達の傷、踏み荒らされた大地……ヤンはリコを連れて翌日姿を消した。
+
ときは十六年ほど遡る。癒しと守りの白狼族を手に入れた人の国王。黒狼国を倒して、次に狙ったのは魔族達が住む魔王の国。
国王は密偵を送り、魔王など幹部が不在の日に戦争をふっかけた。もちろん癒しと守りの巫女を使い、魔族達の力を抑えて王は魔族軍に勝利する。
このとき魔王城に残っていた、魔王が最も愛する妻を連れていった。この魔王の嫁には不思議な力があったのだ。彼女の血が皮膚から流れ落ちると、コロンと真っ赤な宝石に変わる……その宝石は高価な値段で取引された。
彼女の一族はストーン族。
王の涙は透明な宝石となった、生まれた子にもその力は宿るとされていた。一族は宝石を欲した者達に滅ぼされ、消えた悲劇の一族。彼女は最後の生き残りだった。
『ワレの愛き姫を返せ!』
怒りに人間の国へと攻め入った魔王は、癒しと守りの巫女の結界を破り、愛する者を助ける前に致命的な傷を負い死んだとされた。
ブラン、二十三歳のときだった。
スラと出会ったのも、このとき。
話が捻じ曲がり、人間が魔王を倒したとしてブランの所まで届く。そのとき癒しと守りの聖女の話を聞いた。
呼び名は変わっていたが……その聖女の容姿を聞き。
ブランは亡くなったと、聞かされていた母さんだと気付く。
母さんは人間の国で生きている。
『ロン師匠、母さんを助け出したい!』
ロンはその願いを聞き入れ、魔力の扱いが器用なロンは事情収集。ブランは何かの時のためにポーションなどの薬作り。スラは……みんなの癒しだった。
人々を癒す、癒しの巫女として育った。
中央大陸を収める黒狼族。年に一度開かれる当主会で父さんと母さんは出会ったらしい。黒狼の国王は一目で母さんの能力を気に入り、第一王子の嫁にしたいと白狼の王に申しでた。
白狼の王は縛ったが作物があまり育たない、雪深き北の大地と。多くの作物が育つ豊かな中央大地。
白狼を支援をする約束と共に、母さんは父さんの婚約者となり、王太子となった翌年に結婚した。
数年後――俺が生まれて父さんは黒狼の王となった。
戦争が好きではなかった前国王と父さんは違う。
多様な力を持つ白狼を使い、父さんは戦争を起こした。
ブラン0歳のとき。
二年を費やして南のエルフ国、西の竜人国、東の鬼人国と手に入れ一つの黒狼大国となる。大きくなった勢力は近隣にある豊かな大地を持ち、欲が出た王は人間の国が欲しくなる。
しかし、人間の多様な武器、勢力の前に黒狼は敗れた、人々は何もできない亜人達を力無き者を、大量虐殺を繰り返し奴隷として扱った。父さんは自分の命を守るため"癒しの巫女"の母さんを差し出したのだ。
ブラン五歳のとき。
王は王妃の座が空くと直ぐ、元々の恋人を王は王妃として向かい入れた。その翌年、双子が生まれる。王は愛する王妃との間に、生まれた子供を次の王にしたい。
そうなると長男のブランが邪魔になった。
このときのブランは弟達と、対等に扱われず愛に飢えていた……父の言うことを素直に聞き入れて、国を一つ任せるとブランは王城を追い出された。
ブラン十五歳の時。
ブランが父さんからもらった国は戦争で体を負傷した者、口減らしのため追い出された者、親のいない者が集まった国の端にある寂れた村。
そこでエルフのロンと竜人のヤンと幼馴染のリコと出会う。ロンはエルフと人間との混血の種族ハーフエルフだった、竜人の二人は戦争で両親を失っていた。
年上だと思うロン、同じ歳のヤンと二歳下のリコと力を合わせて、食べ物が少ない村を再起させようと奮闘した。魔力を器用に扱えるロンと、有り余る魔力を暴発させるブラン……ブランはロンの下で魔力の扱い方を習い始めた。
その一年後、ヤンとリコが村で初めての夫婦となった。
この日、村で盛大に祝った。
ブラン二十歳のとき。
順調に進む村の開発。王の子供――双子の弟達は兄ブランが落ちぶれ、惨めな思いをしている姿が見たくて村に来る。しかし村で仲間と楽しく働き、暮らすブランに腹を立て暴れる。
この時――彼らが投げた尖った石があたり、リコは両目を失明した。家を壊し、畑は荒らされ再建途中の村は崩壊した。
リコの両目はブランの癒しの力を使っても、治らなかった。残ったのは村の住民達の傷、踏み荒らされた大地……ヤンはリコを連れて翌日姿を消した。
+
ときは十六年ほど遡る。癒しと守りの白狼族を手に入れた人の国王。黒狼国を倒して、次に狙ったのは魔族達が住む魔王の国。
国王は密偵を送り、魔王など幹部が不在の日に戦争をふっかけた。もちろん癒しと守りの巫女を使い、魔族達の力を抑えて王は魔族軍に勝利する。
このとき魔王城に残っていた、魔王が最も愛する妻を連れていった。この魔王の嫁には不思議な力があったのだ。彼女の血が皮膚から流れ落ちると、コロンと真っ赤な宝石に変わる……その宝石は高価な値段で取引された。
彼女の一族はストーン族。
王の涙は透明な宝石となった、生まれた子にもその力は宿るとされていた。一族は宝石を欲した者達に滅ぼされ、消えた悲劇の一族。彼女は最後の生き残りだった。
『ワレの愛き姫を返せ!』
怒りに人間の国へと攻め入った魔王は、癒しと守りの巫女の結界を破り、愛する者を助ける前に致命的な傷を負い死んだとされた。
ブラン、二十三歳のときだった。
スラと出会ったのも、このとき。
話が捻じ曲がり、人間が魔王を倒したとしてブランの所まで届く。そのとき癒しと守りの聖女の話を聞いた。
呼び名は変わっていたが……その聖女の容姿を聞き。
ブランは亡くなったと、聞かされていた母さんだと気付く。
母さんは人間の国で生きている。
『ロン師匠、母さんを助け出したい!』
ロンはその願いを聞き入れ、魔力の扱いが器用なロンは事情収集。ブランは何かの時のためにポーションなどの薬作り。スラは……みんなの癒しだった。
88
あなたにおすすめの小説
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
巻き込まれではなかった、その先で…
みん
恋愛
10歳の頃に記憶を失った状態で倒れていた私も、今では25歳になった。そんなある日、職場の上司の奥さんから、知り合いの息子だと言うイケメンを紹介されたところから、私の運命が動き出した。
懐かしい光に包まれて向かわされた、その先は………??
❋相変わらずのゆるふわ&独自設定有りです。
❋主人公以外の他視点のお話もあります。
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。すみません。
❋基本は1日1話の更新ですが、余裕がある時は2話投稿する事もあります。
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
夏灯みかん
ファンタジー
生まれながらに強い魔力を持つ少女レイラは、聖女として大神殿の小部屋で、祈るだけの生活を送ってきた。
けれど王太子に「身元不明の孤児だから」と婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
「……え、もうお肉食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?」
追放の道中で出会った冒険者のステファンと狼男ライガに拾われ、レイラは初めて外の世界で暮らし始める。
冒険者としての仕事、初めてのカフェでのお茶会。
隣国での生活の中で、レイラは少しずつ自分の居場所を作っていく。
一方、レイラが去った王国では魔物が発生し、大神殿の大司教は彼女を取り戻そうと動き出していた。
――私はなんなの? どこから来たの?
これは、救う存在として利用されてきた少女が、「自分のこれから」を選び直していく物語。
※スピンオフ外伝を連載中です
『悪食エルフと風魔法使いの辺境遺跡探索記』
肉も魔物も食べる“悪食エルフ”エドラヒルと、
老魔法使いオリヴァーの若き日の出会いと冒険を描いた物語です。
▼外伝はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/417802211/393035061
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
【2025.09.02 全体的にリライトしたものを、再度公開いたします。】
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
聖女の妹によって家を追い出された私が真の聖女でした
天宮有
恋愛
グーリサ伯爵家から聖女が選ばれることになり、長女の私エステルより妹ザリカの方が優秀だった。
聖女がザリカに決まり、私は家から追い出されてしまう。
その後、追い出された私の元に、他国の王子マグリスがやって来る。
マグリスの話を聞くと私が真の聖女で、これからザリカの力は消えていくようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる