138 / 169
第四章 獣人の国に咲いた魔女の毒花(竜人王祭編)
第14話
しおりを挟む
「いた、いた、シャルロット様!」
「あ、チャコちゃん、ユリアちゃんみんな!」
なんと! チャコちゃん達は可愛い、竜の妖精になっていた。可愛い。
「シーラン様、皆様、シャルロット様をお借りします」
と、彼女達はとことこと近付き、わたしだけを連れて、シーラン様達から離れた場所まで連れて行く。
そして顔を寄せ合った。
「シャルロット様どうでした? シーラン様に熱いキスさちゃった?」
「キ、キス⁉︎」
みんなは楽しそうにどうなの? どうなの? と爛々な期待の目を向けてくる。
「えーっと、ほっぺた……」
「ほっぺ?」
「シーラン様にほっぺたにキスされました」
「「ほっぺた、だけ⁉︎」」
大きな声をチャコちゃんが上げて、みんなに口を押さえられた。
「なーんだ。シャルロット様の余りの可愛さに、かばっと行くかと思ったけど。シーラン様って案外奥手なのかな?」
「そうかも」
「そうだね」
みんなはチラチラと、シーラン様を見てる。シーラン様、気付いてるのか眉を潜めた。
「あーあれかも、シャルロット様に一途過ぎて手を出せない。出したら後に引けないくて、最後まで⁉︎」
「「きゃーっ⁉︎」」
彼女達の間で、わたし達の凄い妄想が繰り広げられてる。聞いている本人はかなり恥ずかしいのだけど。
最後までとか……んん? 最後までシーラン様と⁉︎ いや、待てわたし達はまだ成人前だよ。
毒花のことで、それどころじゃなくなって、婚約だって正式にしていないし。
竜人王様が仰っていたことも、まだ終わっていない、
今は、シーラン様の側に入れるだけで幸せ。
日が暮れ初めて、彼女達は空を見上げた。
「そろそろかな?」
「そろそろだね。シャルロット様もうすぐ一日目の終わりの花火が上がるよ。わたし達はお邪魔にならない様に退散するね」
「チャコちゃん⁉︎ あ、みんな行っちゃった」
みんなは「またね」と、手を振り人混みに消えていった。
竜人王祭は王都と王都外で、計三日開催される。一日目の終わりの花火か楽しみ。
日本の花火とは違い、竜人王様の魔法使い達が魔法で夜空に打ち上げる。
ちょっと見た目も違って楽しい。星の形とか、渦巻、空全体にキラキラ輝くものまである。わたしだったら、どでかいのを上げたいな。
「シャルロット、みんなとの話は終わった?」
一人になりシーラン様達が来る。
「はい、もうすぐ一日目の終わりの花火が上がるそうですよ」
「花火がいいな」
「なぁ、花火。どこで見る?」
♢
みんなで花火の見える場所まで移動をした。
辺りが暗くなり、花火の上がる直前。
音もなく、夜空の星が消えて漆黒に染まった。わたし達の周りに見た事のない、ぽわっとオレンジ色に光る花が咲く。
漆黒の空には真っ赤な月。
これは、前の時と同じだ……前に戦った奴が来たの?
「こ、れは……なに?」
赤い月を見上げていた、隣でドサッと音を立てて、何かが崩れ落ちた。
わたしはそれを見て、声が出なくなる。
ドクンと音が聞こえるくらいの鼓動、あの赤い夢と同じだ。
はぁ、、はぁ、息が上手く吸えない。
「い、、いや……いや、いやだぁーー! シーラン様、リズ様、リオさん⁉︎」
今まで楽しくおしゃべりをしていたのに、みんなは動かず、足元に倒れている。
体を揺さぶっても、反応が返ってこない。
やだ、やだ、やだよ。
「「シーラン様! シーラン様って目を開けてよ。リズ様目を覚まして笑って、リオさん、目を開けて!」」
呼びかけも、目を開けてくれない。
「いやぁぁーーっ‼︎」
泣き崩れる、私の背後にバサァッと羽の音を聞いた。
「あららー無様ね、シャルロット!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
振り向くと……見目が、かなり変わったモフカがいた。
「あ、チャコちゃん、ユリアちゃんみんな!」
なんと! チャコちゃん達は可愛い、竜の妖精になっていた。可愛い。
「シーラン様、皆様、シャルロット様をお借りします」
と、彼女達はとことこと近付き、わたしだけを連れて、シーラン様達から離れた場所まで連れて行く。
そして顔を寄せ合った。
「シャルロット様どうでした? シーラン様に熱いキスさちゃった?」
「キ、キス⁉︎」
みんなは楽しそうにどうなの? どうなの? と爛々な期待の目を向けてくる。
「えーっと、ほっぺた……」
「ほっぺ?」
「シーラン様にほっぺたにキスされました」
「「ほっぺた、だけ⁉︎」」
大きな声をチャコちゃんが上げて、みんなに口を押さえられた。
「なーんだ。シャルロット様の余りの可愛さに、かばっと行くかと思ったけど。シーラン様って案外奥手なのかな?」
「そうかも」
「そうだね」
みんなはチラチラと、シーラン様を見てる。シーラン様、気付いてるのか眉を潜めた。
「あーあれかも、シャルロット様に一途過ぎて手を出せない。出したら後に引けないくて、最後まで⁉︎」
「「きゃーっ⁉︎」」
彼女達の間で、わたし達の凄い妄想が繰り広げられてる。聞いている本人はかなり恥ずかしいのだけど。
最後までとか……んん? 最後までシーラン様と⁉︎ いや、待てわたし達はまだ成人前だよ。
毒花のことで、それどころじゃなくなって、婚約だって正式にしていないし。
竜人王様が仰っていたことも、まだ終わっていない、
今は、シーラン様の側に入れるだけで幸せ。
日が暮れ初めて、彼女達は空を見上げた。
「そろそろかな?」
「そろそろだね。シャルロット様もうすぐ一日目の終わりの花火が上がるよ。わたし達はお邪魔にならない様に退散するね」
「チャコちゃん⁉︎ あ、みんな行っちゃった」
みんなは「またね」と、手を振り人混みに消えていった。
竜人王祭は王都と王都外で、計三日開催される。一日目の終わりの花火か楽しみ。
日本の花火とは違い、竜人王様の魔法使い達が魔法で夜空に打ち上げる。
ちょっと見た目も違って楽しい。星の形とか、渦巻、空全体にキラキラ輝くものまである。わたしだったら、どでかいのを上げたいな。
「シャルロット、みんなとの話は終わった?」
一人になりシーラン様達が来る。
「はい、もうすぐ一日目の終わりの花火が上がるそうですよ」
「花火がいいな」
「なぁ、花火。どこで見る?」
♢
みんなで花火の見える場所まで移動をした。
辺りが暗くなり、花火の上がる直前。
音もなく、夜空の星が消えて漆黒に染まった。わたし達の周りに見た事のない、ぽわっとオレンジ色に光る花が咲く。
漆黒の空には真っ赤な月。
これは、前の時と同じだ……前に戦った奴が来たの?
「こ、れは……なに?」
赤い月を見上げていた、隣でドサッと音を立てて、何かが崩れ落ちた。
わたしはそれを見て、声が出なくなる。
ドクンと音が聞こえるくらいの鼓動、あの赤い夢と同じだ。
はぁ、、はぁ、息が上手く吸えない。
「い、、いや……いや、いやだぁーー! シーラン様、リズ様、リオさん⁉︎」
今まで楽しくおしゃべりをしていたのに、みんなは動かず、足元に倒れている。
体を揺さぶっても、反応が返ってこない。
やだ、やだ、やだよ。
「「シーラン様! シーラン様って目を開けてよ。リズ様目を覚まして笑って、リオさん、目を開けて!」」
呼びかけも、目を開けてくれない。
「いやぁぁーーっ‼︎」
泣き崩れる、私の背後にバサァッと羽の音を聞いた。
「あららー無様ね、シャルロット!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
振り向くと……見目が、かなり変わったモフカがいた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。