悪役令嬢には攻略対象達の○○○が通じない?

深月カナメ

文字の大きさ
4 / 4

しおりを挟む
「リアちゃんこの香りどう?」
「いい香り、でも、こっちも捨てがたいわ」

 王都に出て、パンケーキの前にカルザード様はここの店今女の子に人気の店なんだと、髪用の石鹸を売る店に連れてきてくれた。

 入るや否やカルザード様いらっしゃいませと、店長らしき人が挨拶をした。

 まさかカルザード様、このお店を貸し切ったの? 私の視線にカルザード様は微笑んだ。

「そう、リアちゃんの思った通り。一時間だけど、この店を貸し切っちゃった。ゆっくり見れるよ」

 私のために?

「す……ううん。ありがとうございます、カルザード様」

 ここは謝るのではなく、自分の今の気持ちを素直に告げた。

「よかった。喜んでくれて嬉しいよ」

「リア、こっちに薔薇の香りの石鹸があるぞ」

「リアさん、こっちは桃だよ」

「薔薇の香りも、桃の香りもどちらもいいですわね」

 だろうと、皆さんも買い物を楽しんでるみたい。では、私も楽しみます。

 化粧水、洗顔料、髪用と体用の石鹸。どれもいい香りで選べませんわ。

「はははっ、リアちゃん! 買い過ぎたよ」

「ほんと、袋パンパンにするまで買うなんてね」

「荷物を貸して」

 皆さんだってたくさん買われたのに! 私だけ欲張ったみたいに言うなんて。

「お母様と私の専用のメイドに……あとは、これを買いましたの」

 袋の中から四つ取り出す。皆さんの好きな香りを聞いたらラベンダーが一番だったので、プレゼント用のラッピングしていただいた物を掌の上に乗せた。

「一つは私のなの、お揃いの香りを選びました」

 部屋に置いてもよし、使ってもよし、少し小さめのを選んだ。 
 のだけど……どうしたのでしょうか? 皆さんこっちを見ずに明後日の方を見ていた。

 そのあと、きっちり受け取ってくださいました。

  
 私の目の前に薄めのパンケーキが三枚、生クリームの山がそびえました。
 その山に苺のソースをかけて。

「可愛い」
「リアちゃん、どう? 美味しい」

 私の口には頬張ったパンケーキが入っているので、喋らずこくこくと首を縦に振った。

 ここでもカルザード様は特別な部屋を予約してくれた、落ち着いて食べたいからね、だそうです。

 カルザード様とマサク様はシンプルなパンケーキを召し上がっている、タイガー様はコーヒーだけ?

「タイガー様は甘い物が苦手なの?」

「いや、今日の夜に国王陛下と会食が入ってるんだ」

 え、お忙しいのに買い物に付き合ってくれたんだ。

「おっと、リアさん落ち込まないで。久しぶりに外に出て、みんなと買い物ができて喜んでる。二人が護衛をしてくれてるからね」

 カルザード様とマサク様を見た。

「一応その話で外に出てるよ。でも、外にはちゃんとした騎士がいるだろうね」

 隣国の王子様って大変なんだ。ありがとうとお礼を口にしようとした。

 そのとき、特別室の扉が開き、アルフレッド様が乱入して声を上げた。

「貴様ら、ルリア嬢となにしている?」

 と、テーブルを見回したけど、私の姿はないことに気づく。

「いきなりなんですか? アルフレッド王子」

「いや、お前達がルリア嬢を連れて、王都に出たとローリス嬢に聞いたんだ。ルリアはどこだ?」

 探してもいないはず、私はマサク様の変化の魔法がかかって、いつもとは違う子になっていますもの。

「いたか? アルフレッド王子。せっかく私の大事な友人が来てるんだ、帰ってくれないかな?」

「タイガー王子……いないのならいい。一言申す。あなたはルリア嬢に騙されてる、あの女はローリス嬢にいろいろ悪さをしている。一緒にローリス嬢を守ろうではないか?」

「断る。それに君は婚約者のルリアさんをあの女と、いつから呼ぶようになったのだ?」

 アルフレッド王子を睨み、タイガー様の尻尾が怒りを表していた。

「うるさい、婚約者をどう呼ぼうが俺の勝手だ!」

「そんなに嫌ならさぁ、アルフレッド王子は婚約を破棄しちゃいなよ、そしてローリスさんと婚約すれば?」

「そうだよ、そうすればいい。婚約が嫌なんでしょ? 嫌なのに無理しなくてもいいよ」

 二人の言葉に、アルフレッド王子は顔を青くさせた。

「カルザード、マサク! お前達まであの女に……いや、魔女に騙されやがって!」

 魔女? それ違うわ。
 そこは悪女と、言うのが正解ですアルフレッド王子。

 喚き散らす王子を見て。
 お店に迷惑とアルフレッド王子の世間体にキズが付くと判断した、タイガー様の騎士とアルフレッド王子の従者にカルザード様が加わり、王子を外に連れ出し馬車に押し込んだ。


 部屋に戻ってきたカルザード様は一言。

「アルフレッド王子はもうダメだ。入学する前と言っていることが正反対になった。マサク様は何か見えた?」

 コクリと頷く。

「王子はローリスの魅了の魔法にかかってたよ。ルリアを大切にしたかったら、気を付けてとあれほど言ったのに、僕は解かないから」

「当たり前だ解かなくていい。あの出所がわからぬ女性の、お粗末な魔法にかかる王子など……呆れてしまうよ」

 魅了の魔法? ローリスさんは魔法が使えたの? ゲームでそんなことがあったかしら?

「ルリア、アルフレッド王子が言ったことは、気にしなくていいからね」

「そうだよ、ルリアちゃん」
「ルリアさんは私が守るからね」


「私は平気ですわ。それと今日はリアですわよ皆さん」


 いずれは、その様になると思っていたのだし。婚約破棄まであと二年、あの二人を眺めるのもよし、皆さんと過ごすのもいいですわね。

「そうだなリア。夏休みに入ったら俺の国においで、一緒に水浴びをしよう」

(邪魔な、アルフレッド王子が粗末な魅了にかかったのは、私にとっていい誤算だ。国王陛下にそれとなく伝えてみるか。一番の問題は、あとの二人をどうやって蹴散らすかだな)

「タイガー様と水浴びですか?」

 それは楽しそう。

「あ、俺はリアちゃんの護衛として付いて行こう、リアちゃんとルリアちゃんの水着姿も見たい!」

(タイガー王子め、独り占めにはさせないよ。俺がルリアちゃんを守る。そして俺だけのルリアちゃんにする!)

 両方とも私なのですが……カルザード様はよろしいのかしら?

「ルリアの水着はいいね。僕もリアになる魔法をかけなくちゃいけないからね、当然ついていくよ」

(抜け駆けはさせない。僕がルリアを幸せにする、そうだ二人ともローリスの魅了にかけるとか? ……それだと、ルリアが悲しむかな) 


 三人の気持ちは果たして、当の本人。ルリアに届くのでしょうか?
 
 
 ルリアはパンケーキを頬張りながら、これから始まる、楽しいことに心を躍らせたのだった。

(この、姿は案外使えるわね)と。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

Marron
2022.02.08 Marron

とても楽しく読ませて頂きました。
ただこれでお話は完結だと判ってはいるのですが
魅了にかかったアルフレッド王子とかけたゲームヒロインさんが
今後どうなっていくのかな?だとか、ルリアさんに想いを寄せる
攻略者さん達との今後はどうなり誰と結ばれたりするのかな?とかが
非常に気になってしまい、続きをを読んでみたいという思いが
物凄く募ってしまいました…スミマセン💦

2022.02.09 深月カナメ

コメント、お読みいただきありがとうございます。

続きが読みたいと言っていただき、とても嬉しいです。

いつになるかわかりませんが、書いてみようと思います。気長にお待ちください。

解除

あなたにおすすめの小説

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

悪役令嬢ですが、二度目は無能で通します……なので執事は黙っててください

放浪人
恋愛
社交界で“悪女”と呼ばれ、無実の罪で断罪された公爵令嬢リディア。 処刑の刃が落ちた瞬間、彼女は断罪される半年前の朝に時を遡っていた。 「二度目も殺されるなんて御免だわ。私は、何もできない無能な令嬢になって生き延びる!」 有能さが仇になったと悟ったリディアは、プライドも実績も捨てて「無能」を装い、北の辺境・白夜領へ引きこもる計画を立てる。 これで平和なスローライフが送れる……はずだった。 けれど、幼い頃から仕える専属執事・レージだけは誤魔化せない。 彼はリディアの嘘を最初から見抜いているくせに、涼しい顔で「無能な主人」を完璧に演じさせてくれないのだ。 「黙っててと言いましたよね?」 「ええ。ですから黙って、あなたが快適に過ごせるよう裏ですべて処理しておきました」 過保護すぎる執事に管理され、逃げ道を塞がれながらも、リディアは持ち前の正義感で領地の危機を次々と救ってしまう。 隠したいのに、有能さがダダ漏れ。 そうこうするうちに王都からは聖女と王太子の魔の手が迫り――? 「守られるだけはもう終わり。……レージ、私に力を貸しなさい」 これは、一度死んだ令嬢が「言葉」と「誇り」を取り戻し、過保護な執事の手を振りほどいて、対等なパートナーとして共に幸せを掴み取るまでの物語。

この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!

naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。 そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。 シオンの受難は続く。 ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。 あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。