【R18】ルーシェの苦悩 ~貧乏男爵令嬢は乙女ゲームに気付かない!?~

ウリ坊

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本編

彼女の悩み 1

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 アイリスにすら言いづらいのに、ここにウィルソンまでいては更に言えない。
 というかウィルソンには関係ないのだ。とりあえずお帰り頂こう。
 そう思い声をかけようとしたが、

「詫びも兼ねて、私もその原因とやらを聞こう。解決できるかもしれん」

「その様な訳には参りません。自分で解決しますので、結構でございます」
「君はそう言うが、解決出来ていないからその様に体調不良になっているんだろ?」
 
 
 (や~め~て~!頼むから引き下がって!もう良いからほっといてよ!貴方には関係ないんだってば!)
 
 心の中で悪態をつく。
 牽制するルーシェに、責任感の強いウィルソンは中々引いてくれない。
 そして畳み掛けるようにアイリスが言う。

「ルーシェ!お願いだから話して。友達が苦しんでいるのに何も出来ないなんて、そんなのイヤだわ」

 美少女が眼を潤ませながら懇願してくる。その様子を見て、ルーシェは深いため息を吐く。不敬にも取られかねないが、今はそこまで考えが及ばない。
 握っていた布団を更に強く掴む。


「─────実は…」

 
 意を決してルーシェは口を開いた。















「──私は、ここから少し離れた場所に部屋を借りているんですが、その……………」
「どうしたの?」
「夜になると聞こえてくるんです」

 アイリスが心配そうに俯いた顔を覗いてくる。

「何が聞こえてくるんだ?」

 ルーシェが言いにくそうにしているのに構わずウィルソンが続きを催促する。

「………声が」

 腕を組んで長い足を少し崩し、ウィルソンは不思議そうにルーシェを見た。

「声…と言うのはどんな?そのせいで眠れないのか?」
「………………………」
「ルーシェ?」

 やはり言いづらい。
 
 声に出して言うのは躊躇われる。が、言わないとこの二人はきっと納得してくれないだろう。

「深夜になると女の人の……………あ、あ、ぁぇぎ声が………」

「「………………」」

 二人は何とも言えない顔をする。
 語尾が小さくなってしまった。ルーシェは羞恥で顔が赤くなる。だから言いたくなかったのだ。返ってくる反応がわかっていたから。

「──え、えぇっと、とりあえずお隣の方に注意すればいいのではないかしら?」

 アイリスがその場を取り繕う様に話す。

「そうだな。もしくは大家に苦情を言うといい」

 立っていたウィルソンが腕を組み、長い脚をクロスさせる。

「───それが、出来ないのです」

「…何故?」
「何故かというと………」


「────私の隣の部屋には、誰も住んでいないのです」


「「──!」」

 アイリスは口に手を当て、固まってしまった。ウィルソンも険しい表情をしている。

「そして大家さんにも苦情は言えないのです」

 ウィルソンは納得したような顔をする。

「──なるほどな。そういう契約で住んでいる、ということか」

 頭の良い人間は理解が早くて助かる。
 
 ルーシェはかいつまんで自分の事情を簡単に説明する。家のこと、曰く付きの物件のこと、そして自分の今の状況──

「そういう訳なので、全て自分の責任です。ですから誰が悪い訳でもなく、私が悪いのです。自分で招いたこと。自業自得です」

 ルーシェは自嘲気味に笑う。

「…………ねぇ、ルーシェ。私のお父様に頼めば住む所くらい直ぐに手配して下さるわ。友人が苦しんでいるんですもの、私だって何とかしてあげたいわ!」

 アイリスが良いことが思い付いた、とばかりに話してくる。

「ありがとう、アイリス。でもそれは辞退させてもらうわ。さすがにそこまでしてもらうわけにはいかないから」
「……でも!」
「ううん、気持ちだけ頂いておくわ」
「──もう!私が寮に住んでいなければ、お屋敷から一緒に通えたのに!」
 
 アイリスは悔しそうに唇を噛む。
 例えそうだとしてもそれは無しだな、とルーシェは思う。男爵家の人間が侯爵家から通うなど、正気の沙汰ではない。見つかれば自分が惨めな思いをするだけだ。

「ならば話しは早い。うちの屋敷に住み込みで働くといい」
「…はぁ?」

 不味い。つい不満げな声が漏れてしまった。ハッとして口に手を当てる。しかし彼は気にしている素振りはない。

「うちから学園まではすぐだ。他でそれだけ働いているなら大丈夫だろう。侍女や執事も何名かは住み込みで働いている。問題はない」

 ───いやいや!むしろ問題大ありでしょう!
 
 ルーシェは心の中で盛大に突っ込んだ。大型のハハリセンがあったら横から叩きたいくらいだ。
 少し不躾な視線をウィルソンに向ける。
 
「大変お気持ちは有り難いのですが、そちらも辞退させて頂きます。まだ命は惜しいので──」
「?何故命の危険がある?うちはそこまで物騒じゃないぞ?警護もきちんとしている」

「──貴方様はご自身の人気を分かっていない。」

 はぁ、とため息を吐き、ルーシェはウィルソンを見る。

「まあ確かに、クロウド様はご令嬢方から大変人気でいらっしゃいますからね」 
 
 ニッコリと可憐に笑い、すかさずアイリスが助け船を出す。


 
 





 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

こちらの小説をお読み頂きありがとうございます!そして、お気に入りに入れて頂いた方、大変ありがとうございます!!
 
 しばらくは1日1話ペースで更新していきたいと思いますので、宜しくお願い致しますm(_ _)m

 ※三話目を少し加筆しました。よろしくお願いします。





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