111 / 113
旅行編
後日談 ルーシェ
*
様々な事があった波瀾万丈な旅行から戻り、別の馬車に積んでいた荷持を紐解き、クロノ商会で購入してもらった商品を出して色々な物を試しに作ってみた。
ウィルソンは旅行から戻ったその足で直ぐに王宮へと行ってしまった。
淋しさもあるが、自分が長い間独占してしまったのだから仕方がないと言い聞かせた。
旅行の疲れも取れないまま仕事行かせてしまった事には後悔したが、馬車の中でウィルソンは心配するルーシェに気にするなと笑っていた。
次の日。
疲れが溜まっていて朝なかなか起きれなかったが、何とか学園へと向かった。
いつまでも休んで入られない。
そして学園が終わってから、厨房に運んでもらった購入した食材を並べ中身を確認していく。
「ルーシェちゃん、これはなんだ?」
料理人のジェフさんはかなり興味津々で、これでもかと台に並んだ沢山の食材を手に取って見ていた。
「ジャニールの商品は侯爵邸でも置いてませんもんね!さて、これから色々試していきましょう!」
台に並べた食材に向かい腕まくりをするルーシェ。
一気に食べれるほど数は少なくないので、数日に分けて調理していくことに。
ジャニールの商品はやはり日本食にかなり近い。
一番の収穫はやはりお米だ。
貰った穀物も鍋で炊いてみて成功したのて、早速食べてみたが口に入れた瞬間感動した。
(ん~!美味しい!!)
諦めていたお米が食べられる日が来ようとは!
厨房で見ていたジェフにも試食してもらう。
つやつやモチモチのお米に初めて食べたジェフはかなり驚いていた。
「んっ!こいつは…なかなどうして、美味いな!」
口に合ったのかジェフはそのあと無言で一皿平らげた。
それからココ最近のルーシェの主食はもっぱら炊きたてのご飯だ。
ウィルソンは5日、6日と経つがまだお屋敷には帰って戻っていない。
この美味しいご飯を一緒に食べたいのだが、忙しく働いて大変な思いをしているのに贅沢は言えない。
お屋敷の使用人達にもジャニールの食品を味見してもらった。特にジェフは他の食材も興味津々で食べていた。
「うんっ!美味しいねぇ~」
「ん~…私はちょっと苦手かも……」
反応も人それぞれで、口に合う物もあれば合わない物もある。
その中でもお米は一番の人気だった。
腹持ちも良く、何より栄養バランスもいいからだ。
ルーシェもそれに満足して、ジェフにもお米の炊き方を教え、今では主食にごはんを食べる人達も次第に多くなった。
◇
数日後。
ウィルソンがお城に泊まり込んでからすでに2週間以上が経つ。
日にちが延びるたびにルーシェのため息も多くなる。
「ルーシェちゃん、大丈夫かい?目元に隈が出来てるよ…」
休日に掃除をしていたルーシェとマーサ。
明らかに様子のおかしいルーシェを心配そうにマーサが声を掛ける。
「大丈夫です。勉強してたら少し寝不足で…」
そう言って窓を拭きながら無理矢理笑顔を作る。
「後は私がやるから、部屋で休んでおいでよ」
「いえ…本当に大丈夫です!それより早く終わらせちゃいましょう!」
努めて明るく振る舞うが、マーサにはそれが返って痛々しく映る。
ルーシェは必死に誤魔化そうとしているが理由はわかっている。
本当は瞼も腫れていたのだが、マーサは言うのを躊躇っていた。
無理をしているのがバレバレだ。
マーサの様子に気付いていないルーシェは、手を動かしながら反省する。
(ダメだな…しっかりしないと。たかがこれしきのことで心配かけてどうするの!)
確かに寝不足だったが、部屋に戻って一人になりたくなかった。
近頃はこうして仕事をしている時でも、不意にボーッとしていることが多くなる。
クラウスにも心配され自己嫌悪に駆られてしまう。
あれだけ長い時間一緒にいれた分、ウィルソンと会えない今の反動は相当なものだ。
自分が無理を言って忙しいあの人を旅行に連れ出したのだから仕方がない。
始めの一週間くらいはまだ大丈夫だった。旅行での楽しい思いを余韻にそこまでは寂しくなかった。
だか9日、10日…と帰宅が延びるに連れ、どんどん沈んでいく気持ちが抑えきれなくなっていく。
仕事や学園に通っている時はまだ気持ちが紛れるのだが、夜寝る時が特に一番辛く寂しかった。
お互い忙しく共にいる時間は短くても、夜に愛し合えていたからこそ満たされて充電出来ていた。
今まではそれが日常で、でもそれがあるからこそ自分が不満も無く満足出来ていたんだと気付く。
健康で規則正しい生活が取り柄のルーシェがなかなか寝付けず不眠になる。
もしかしたら夜に帰って来ているかもしれないと期待して眠りが浅くなってしまうからだ。
そしてウィルソンの夢を見ては途中で起き、誰もいないベッドに寂しさが込み上げ一人涙を流す。
(やっぱり、思っていた通りになった…ううん、それ以上に寂しい……)
自分はこんなにも弱かっただろうか。
一人で寝ていた時を思い出せない程自分の近くにウィルソンがいてくれた。
仕事も終わりベッドで蹲りながら、自己嫌悪と寂寥感に苛まれる。
◇
◇
今日で16日目。
やはりウィルソンが帰ってくる気配はない。
忙しい時でもここまで長い間王宮に泊まることは無かった。
ベッドで座りながら周りを見渡すが、自分の部屋がどこか色褪せて見える。
一人になると余計に考えてしまう。
ため息をはき、暗い部屋のベッドで一人横になる。
隣に置いてあるウィルソンの寝間着を引っ張りギュッと抱きしめながら匂いを嗅いだ。
もう薄れてきているがまだ微かに香っている。
最近では自分の安定剤の様に、こうしないと寝れなくなった。一人で寝ていた時が嘘のように。
夜が途方もなく長く感じる。
(ウィル様……早く…会いたい……)
こうしてまた長い長い夜が更けていく。
様々な事があった波瀾万丈な旅行から戻り、別の馬車に積んでいた荷持を紐解き、クロノ商会で購入してもらった商品を出して色々な物を試しに作ってみた。
ウィルソンは旅行から戻ったその足で直ぐに王宮へと行ってしまった。
淋しさもあるが、自分が長い間独占してしまったのだから仕方がないと言い聞かせた。
旅行の疲れも取れないまま仕事行かせてしまった事には後悔したが、馬車の中でウィルソンは心配するルーシェに気にするなと笑っていた。
次の日。
疲れが溜まっていて朝なかなか起きれなかったが、何とか学園へと向かった。
いつまでも休んで入られない。
そして学園が終わってから、厨房に運んでもらった購入した食材を並べ中身を確認していく。
「ルーシェちゃん、これはなんだ?」
料理人のジェフさんはかなり興味津々で、これでもかと台に並んだ沢山の食材を手に取って見ていた。
「ジャニールの商品は侯爵邸でも置いてませんもんね!さて、これから色々試していきましょう!」
台に並べた食材に向かい腕まくりをするルーシェ。
一気に食べれるほど数は少なくないので、数日に分けて調理していくことに。
ジャニールの商品はやはり日本食にかなり近い。
一番の収穫はやはりお米だ。
貰った穀物も鍋で炊いてみて成功したのて、早速食べてみたが口に入れた瞬間感動した。
(ん~!美味しい!!)
諦めていたお米が食べられる日が来ようとは!
厨房で見ていたジェフにも試食してもらう。
つやつやモチモチのお米に初めて食べたジェフはかなり驚いていた。
「んっ!こいつは…なかなどうして、美味いな!」
口に合ったのかジェフはそのあと無言で一皿平らげた。
それからココ最近のルーシェの主食はもっぱら炊きたてのご飯だ。
ウィルソンは5日、6日と経つがまだお屋敷には帰って戻っていない。
この美味しいご飯を一緒に食べたいのだが、忙しく働いて大変な思いをしているのに贅沢は言えない。
お屋敷の使用人達にもジャニールの食品を味見してもらった。特にジェフは他の食材も興味津々で食べていた。
「うんっ!美味しいねぇ~」
「ん~…私はちょっと苦手かも……」
反応も人それぞれで、口に合う物もあれば合わない物もある。
その中でもお米は一番の人気だった。
腹持ちも良く、何より栄養バランスもいいからだ。
ルーシェもそれに満足して、ジェフにもお米の炊き方を教え、今では主食にごはんを食べる人達も次第に多くなった。
◇
数日後。
ウィルソンがお城に泊まり込んでからすでに2週間以上が経つ。
日にちが延びるたびにルーシェのため息も多くなる。
「ルーシェちゃん、大丈夫かい?目元に隈が出来てるよ…」
休日に掃除をしていたルーシェとマーサ。
明らかに様子のおかしいルーシェを心配そうにマーサが声を掛ける。
「大丈夫です。勉強してたら少し寝不足で…」
そう言って窓を拭きながら無理矢理笑顔を作る。
「後は私がやるから、部屋で休んでおいでよ」
「いえ…本当に大丈夫です!それより早く終わらせちゃいましょう!」
努めて明るく振る舞うが、マーサにはそれが返って痛々しく映る。
ルーシェは必死に誤魔化そうとしているが理由はわかっている。
本当は瞼も腫れていたのだが、マーサは言うのを躊躇っていた。
無理をしているのがバレバレだ。
マーサの様子に気付いていないルーシェは、手を動かしながら反省する。
(ダメだな…しっかりしないと。たかがこれしきのことで心配かけてどうするの!)
確かに寝不足だったが、部屋に戻って一人になりたくなかった。
近頃はこうして仕事をしている時でも、不意にボーッとしていることが多くなる。
クラウスにも心配され自己嫌悪に駆られてしまう。
あれだけ長い時間一緒にいれた分、ウィルソンと会えない今の反動は相当なものだ。
自分が無理を言って忙しいあの人を旅行に連れ出したのだから仕方がない。
始めの一週間くらいはまだ大丈夫だった。旅行での楽しい思いを余韻にそこまでは寂しくなかった。
だか9日、10日…と帰宅が延びるに連れ、どんどん沈んでいく気持ちが抑えきれなくなっていく。
仕事や学園に通っている時はまだ気持ちが紛れるのだが、夜寝る時が特に一番辛く寂しかった。
お互い忙しく共にいる時間は短くても、夜に愛し合えていたからこそ満たされて充電出来ていた。
今まではそれが日常で、でもそれがあるからこそ自分が不満も無く満足出来ていたんだと気付く。
健康で規則正しい生活が取り柄のルーシェがなかなか寝付けず不眠になる。
もしかしたら夜に帰って来ているかもしれないと期待して眠りが浅くなってしまうからだ。
そしてウィルソンの夢を見ては途中で起き、誰もいないベッドに寂しさが込み上げ一人涙を流す。
(やっぱり、思っていた通りになった…ううん、それ以上に寂しい……)
自分はこんなにも弱かっただろうか。
一人で寝ていた時を思い出せない程自分の近くにウィルソンがいてくれた。
仕事も終わりベッドで蹲りながら、自己嫌悪と寂寥感に苛まれる。
◇
◇
今日で16日目。
やはりウィルソンが帰ってくる気配はない。
忙しい時でもここまで長い間王宮に泊まることは無かった。
ベッドで座りながら周りを見渡すが、自分の部屋がどこか色褪せて見える。
一人になると余計に考えてしまう。
ため息をはき、暗い部屋のベッドで一人横になる。
隣に置いてあるウィルソンの寝間着を引っ張りギュッと抱きしめながら匂いを嗅いだ。
もう薄れてきているがまだ微かに香っている。
最近では自分の安定剤の様に、こうしないと寝れなくなった。一人で寝ていた時が嘘のように。
夜が途方もなく長く感じる。
(ウィル様……早く…会いたい……)
こうしてまた長い長い夜が更けていく。
あなたにおすすめの小説
拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!
星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。
……のに。
「お腹すいた」
そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。
強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。
手当てすれば「危ない」と囲い込み、
看病すれば抱きしめて離さず、
ついには――
「君が、俺の帰る場所」
拾ってない。飼ってない。
ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。
無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の
距離感バグ甘々ラブコメ、開幕!
⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041