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契約
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「――お前が必死なのはわかった。こっちはお前の持つ情報が欲しい。そしてお前は、俺の持つ地位を利用したい。互いの利害は一致している」
ソファに腰掛けたイクシオンは長い足を組み、静かに話し出した。
「はい」
「いいだろう。その契約、結ばせてもらう」
「はぁいぃ?! で、殿下ぁ?! 本気で言ってますかぁ!?」
ロイズの驚く声に、オリビアも少なからず驚いていた。まさかイクシオンがこんなに簡単に契約を結ぶとは思っていなかった。
「本当ですか?」
「なんだ、意外だったか?」
「はい。てっきりお断りされるものかと……」
「そしたらどうするつもりだ?」
伺うように金色の瞳で見つめられて言い淀む。
腐っても王族だからか美しい顔立ちだからか、イクシオンからは他の人間とは違うオーラのようなものを感じた。
「……しばらくしてから、また訪ねようかと思ってました」
「しつこいやつだな」
「諦めるつもりは一切なかったので」
「クククッ、ずいぶん肝の据わったやつだ!」
オリビアの返答が気に入ったのか、イクシオンは楽しそうに笑っていた。
「ただし、契約内容はこちらで決めさせてもらう。お前の意見があるのなら、この場で言え」
「私は、殿下の妃という立場をお借りできれば、どんな条件でも飲みます。ですので、他の条件はそちらで決めてくださって結構です」
「あとで後悔するなよ……」
意味ありげに微笑まれ、首を傾けて送られる視線にそこはかとなく色気を感じ、一瞬だけ躊躇した。
イクシオンに興味のないはずのオリビアも、思わずドキッとしてしまったが平静を装った。
「先ほども申し上げましたが、私は生半可な気持ちでここまで来たわけではないのです」
「――いい度胸だ。ロイズ、紙とペンを持て」
「あ、はい。殿下……本当に契約的な婚姻を結ばれるおつもりですか?」
「あぁ、最近退屈していたんだ。まさかこんなふうに婚姻を申し込まれるとは思いもよらなかった。これだから人生は面白い」
(とりあえず、イクシオンの興味を引いて契約を結んでもらえた。なんとか第一段階は達成できたな……)
オリビアは目を閉じて安堵の息を吐いた。
だが、まだ油断してはいけない。
契約を結ぶだけで、イクシオンが味方になった訳ではないのだ。
あくまで契約上の関係。
それを忘れてはいけない。
「そういえば契約期間はいつまでにするつもりなんだ?」
一息ついていたオリビアに、イクシオンが視線を向けて問いかけてきた。
「半年後、そこで建国祭があるはずです。建国祭には伯爵家以上の貴族は全員、王都に集まらなければいけません。その時に、殿下が私と共に出席してくだされば私の復讐は達成されます」
「建国祭か。そんなに後の話なら、今じゃなくても良かっただろう?」
イクシオンに指摘され、結婚するだけならば建国祭が始まる少し前でも良かったと思っている。
「それは確かに、そうなのですが……」
聞かれるまで言うつもりもなかったが、視線を少し下に落とし、ポツポツと自分の本音を語りだした。
ソファに腰掛けたイクシオンは長い足を組み、静かに話し出した。
「はい」
「いいだろう。その契約、結ばせてもらう」
「はぁいぃ?! で、殿下ぁ?! 本気で言ってますかぁ!?」
ロイズの驚く声に、オリビアも少なからず驚いていた。まさかイクシオンがこんなに簡単に契約を結ぶとは思っていなかった。
「本当ですか?」
「なんだ、意外だったか?」
「はい。てっきりお断りされるものかと……」
「そしたらどうするつもりだ?」
伺うように金色の瞳で見つめられて言い淀む。
腐っても王族だからか美しい顔立ちだからか、イクシオンからは他の人間とは違うオーラのようなものを感じた。
「……しばらくしてから、また訪ねようかと思ってました」
「しつこいやつだな」
「諦めるつもりは一切なかったので」
「クククッ、ずいぶん肝の据わったやつだ!」
オリビアの返答が気に入ったのか、イクシオンは楽しそうに笑っていた。
「ただし、契約内容はこちらで決めさせてもらう。お前の意見があるのなら、この場で言え」
「私は、殿下の妃という立場をお借りできれば、どんな条件でも飲みます。ですので、他の条件はそちらで決めてくださって結構です」
「あとで後悔するなよ……」
意味ありげに微笑まれ、首を傾けて送られる視線にそこはかとなく色気を感じ、一瞬だけ躊躇した。
イクシオンに興味のないはずのオリビアも、思わずドキッとしてしまったが平静を装った。
「先ほども申し上げましたが、私は生半可な気持ちでここまで来たわけではないのです」
「――いい度胸だ。ロイズ、紙とペンを持て」
「あ、はい。殿下……本当に契約的な婚姻を結ばれるおつもりですか?」
「あぁ、最近退屈していたんだ。まさかこんなふうに婚姻を申し込まれるとは思いもよらなかった。これだから人生は面白い」
(とりあえず、イクシオンの興味を引いて契約を結んでもらえた。なんとか第一段階は達成できたな……)
オリビアは目を閉じて安堵の息を吐いた。
だが、まだ油断してはいけない。
契約を結ぶだけで、イクシオンが味方になった訳ではないのだ。
あくまで契約上の関係。
それを忘れてはいけない。
「そういえば契約期間はいつまでにするつもりなんだ?」
一息ついていたオリビアに、イクシオンが視線を向けて問いかけてきた。
「半年後、そこで建国祭があるはずです。建国祭には伯爵家以上の貴族は全員、王都に集まらなければいけません。その時に、殿下が私と共に出席してくだされば私の復讐は達成されます」
「建国祭か。そんなに後の話なら、今じゃなくても良かっただろう?」
イクシオンに指摘され、結婚するだけならば建国祭が始まる少し前でも良かったと思っている。
「それは確かに、そうなのですが……」
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