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なりすまし
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まず、裕也には親も兄弟もおらず、一人暮らしをしているようだ。
裕也は沙紀に対して、熱烈な好意を寄せており、メールの文面からは恐さすら感じた。
相手を束縛しようとする感じも見受けられ、だんだん、沙紀がかわいそうにも思えてきた。
しつこい男性は嫌われるものだ。
しかし、沙紀は沙紀で、そんな束縛してくる裕也のことをちゃんと相手にしており、これはこれで交際として成り立っているようであった。
俺は面白くなかった。
こんな束縛男なんかより、俺の方がいい交際ができるのではないか、と考えてしまう。
まあ、彼女もおらず、仕事にも就けず、他人の携帯をこうやってのぞき見している俺に、そんな資格はないわけだが……
今頃、持ち主の裕也は何をしているのだろう?
俺だったら、まずは別の電話から自分の携帯に電話をかけ、着信音を鳴らして探したりするのだが、この携帯は一向に鳴る気配がなかった。
ということは、裕也は携帯を落としたことにまだ気付いていないのだろうか?
俺は「センター問い合わせ」をしてみた。
すると、1件のメールを受信した。
なんと、沙紀からだ。
画面に沙紀の顔写真が表示された。
あまりのかわいさに思わずドキッとしてしまう。
「やっほ~! さっき、おいしいご飯を食べたよ^^ 裕也は元気にしてる?」
女友達らしき人物とランチを食べている写真が添付されて送られてきた。
俺は、ちょっといたずらがしてみたくなった。
裕也に成り代わって、このメールに返信してみようと思った。
「沙紀~ 俺は元気だよ!!」
そう書いて、送信ボタンを押した。
しばらくして、返信が来た。
「そっか~、裕也、元気なんだね~ 夜に電話してもいいかな?」
これはまずい……
さすがに、電話に出たら、俺が裕也ではないことがバレてしまう。
急いで返信した。
「いや、今日は仕事が長引きそうだからゴメン あとでまたメールする」
どうやら、俺が書いたメールを、沙紀は裕也のものだと信じているようだ。
過去のメールのやり取りを見る限り、沙紀は今、友達と旅行に行っているようだ。
しばらくは帰ってこないとのこと。
直接会ってバレる可能性は、今のところはないだろう。
メールでやり取りをしてしまったがゆえに、俺はますます沙紀のことが気になってしまった。
沙紀が旅行をしている間、俺が裕也に成り代わってメールを楽しもう。
しかし、いつか、持ち主の裕也が気づいて、携帯の利用にストップをかけるかもしれない。
もしそうなったら、落ちてきた場所に携帯をこっそり戻しに行こう。
それまでの間は、俺は裕也を演じるという背徳感のある遊びを楽しむことにした。
裕也は沙紀に対して、熱烈な好意を寄せており、メールの文面からは恐さすら感じた。
相手を束縛しようとする感じも見受けられ、だんだん、沙紀がかわいそうにも思えてきた。
しつこい男性は嫌われるものだ。
しかし、沙紀は沙紀で、そんな束縛してくる裕也のことをちゃんと相手にしており、これはこれで交際として成り立っているようであった。
俺は面白くなかった。
こんな束縛男なんかより、俺の方がいい交際ができるのではないか、と考えてしまう。
まあ、彼女もおらず、仕事にも就けず、他人の携帯をこうやってのぞき見している俺に、そんな資格はないわけだが……
今頃、持ち主の裕也は何をしているのだろう?
俺だったら、まずは別の電話から自分の携帯に電話をかけ、着信音を鳴らして探したりするのだが、この携帯は一向に鳴る気配がなかった。
ということは、裕也は携帯を落としたことにまだ気付いていないのだろうか?
俺は「センター問い合わせ」をしてみた。
すると、1件のメールを受信した。
なんと、沙紀からだ。
画面に沙紀の顔写真が表示された。
あまりのかわいさに思わずドキッとしてしまう。
「やっほ~! さっき、おいしいご飯を食べたよ^^ 裕也は元気にしてる?」
女友達らしき人物とランチを食べている写真が添付されて送られてきた。
俺は、ちょっといたずらがしてみたくなった。
裕也に成り代わって、このメールに返信してみようと思った。
「沙紀~ 俺は元気だよ!!」
そう書いて、送信ボタンを押した。
しばらくして、返信が来た。
「そっか~、裕也、元気なんだね~ 夜に電話してもいいかな?」
これはまずい……
さすがに、電話に出たら、俺が裕也ではないことがバレてしまう。
急いで返信した。
「いや、今日は仕事が長引きそうだからゴメン あとでまたメールする」
どうやら、俺が書いたメールを、沙紀は裕也のものだと信じているようだ。
過去のメールのやり取りを見る限り、沙紀は今、友達と旅行に行っているようだ。
しばらくは帰ってこないとのこと。
直接会ってバレる可能性は、今のところはないだろう。
メールでやり取りをしてしまったがゆえに、俺はますます沙紀のことが気になってしまった。
沙紀が旅行をしている間、俺が裕也に成り代わってメールを楽しもう。
しかし、いつか、持ち主の裕也が気づいて、携帯の利用にストップをかけるかもしれない。
もしそうなったら、落ちてきた場所に携帯をこっそり戻しに行こう。
それまでの間は、俺は裕也を演じるという背徳感のある遊びを楽しむことにした。
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