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私の名前は鴻上凜香こうがみりんか
小説家、と言いたいところだけど、今はまだ、小説サイトに作品を応募しているだけの女子高生。
いつか作品を認めてもらって、作家デビューするのが私の夢。
その夢を実現させるために、今日も私はインターネットの小説投稿サイトで作品を書いている。

さて、私、鴻上凜香には実は特殊能力がある。
なんと、私は「時を戻せる」のだ。
いゆわる、タイムリープというやつである。
中学生くらいの時に、私はこの能力に目覚めた。

「時よ戻れ!」

と念じると、少し前の時間にのだ。
戻れることがある、と書いたのは、実は時をからだ。
どういう状況なら時を戻せて、どういう状況だと時を戻せないのか、私は検証をしてみた。

掃除当番で面倒な仕事を押し付けるジャンケン。
私はここで能力を使ってみた。
ジャンケンポン!
私はグーを出して負けた。
すかさず念じた。

「時よ戻れ!」

しかし、非情にも時は戻ってくれなかった。
私は、半分やけになりながら、教室のゴミ箱を持って焼却炉に向かった。
肝心な時に役に立たない能力。
と、私は思っていたのだが……

友達とパーティーをしたとき、お菓子が当たるくじ、というのを友達が作ってくれたので、私は引いてみることにした。

1番から5番までのくじがあり、友達5人が、1人1つずつ引く。
1つだけ、当たりが入っている。
凜香りんかから引いてみて」
そう言われ、最初に引くことになった。

真ん中の3番を引いてみた。
だが、引いてしまってから私は思った。
くじを作った友人の性格を考えてみれば、真ん中や両端に当たりは置かないのでは?
そんな気がしてきたのだ。

そこで、私は念じてみた。

「時よ戻れ!」

すると、時は戻ってくれた!
くじを引く前の状態になったのだ。

私は、2か4で迷い、2番を引いた。
次の子は4番を引いた。

それを見た私は、今度はなんとなく4番の方が当たりのような気がしてきた。
人の選んだものが良いように思えてしまう心理だ。
私は、またもや念じてしまった。

「時よ戻れ!」

すると、やはりちゃんと時は戻ってくれた。

私は4番を引いた。
よし、多分これが当たりだと思う。
私は、全員がくじを引き終わるまで、時を戻さずにそのまま待った。
果たして結果は……

3番のくじが当たりだった。

なんてこった。
時を戻してやり直したからといって、必ずしもいい結果になるわけではない。
私は更に念じてみた。

「時よ戻れ!」

しかし、時は戻らなかった。

私は、自分の能力の秘密に気がついた。
どういう場合に時を戻せて、どういう場合に時を戻せないのかを。


しかし、ようだ。

なんという中途半端な能力なんだろう……
しかし、この能力、うまく使えばきっと役に立つはず。

その後も試行錯誤を重ね、自分の能力の限界を試してみた。
やはり、結果が分からないうちは何度でもやり直せるようだ。

せっかくの私だけの能力なんだ。うまく使っていこう。
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