幽 閉(大川周明)

具流次郎

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松澤病院院長室

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 壁の時計が「十二時四十五分」を指している。
内村院長と西丸医師、畑婦長がソファーで。
鮫島看護婦、朝倉看護婦は椅子に。
五人は座って固唾(カタズ)を飲んで時計を見詰めている。
朝倉が、

 「院長、本当に良いんですか? 警察に連絡・・・」
 「待ちなさい。一時に成るまで待つんだ」

西丸、

 「焦らなくても、またここに戻って来る」 

朝倉、

 「沢山の取り巻きを連れて。でしょう」
 「この病院から脱走して有名に成る患者は、あの人達以外は居ないでしょうね」
 「僕は、この件に関してはシ・ラ・ナ・イ! 関わりたくない」

西丸医師は冷えた紅茶を飲みながら、

 「院長のお父さん(内村鑑三)なら、そうは言わないでしょうね」

内村院長はきつい眼で西丸医師を睨(ニラ)む。
                つづく
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