やり直しの人生、今度こそ絶対に成り上がってやる(本編完結)

カイリ

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7-2 オリヴァー・フォン・スコットという男(R18)

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 オリヴァーが退避した後は混乱すると予想されていたため、オールディス伯爵領から出た後は帝都近くにある子爵領にある宿に避難していた。

 アレクシスはパトリックと打ち合わせがあると言ってオリヴァーは先に部屋を案内された。どうせこのまま戻ってこないのだろうな、と思って、すでに風呂の準備がされていたのでオリヴァーはゆっくりと湯に浸かった。

 ここまで来て一先ずは戦争が止められたのではないか、と安堵する。証拠は持ち帰れなかったが軍隊が突入していたのでオールディス伯爵が武器を大量に購入していたことや、ルドルフと共に戦争を企てていたことは白日の下にさらされるだろう。たった三ヶ月だったけれど、毎日、緊張状態が続いていただけに安心した途端に力が抜けた。どっと疲れが襲ってきて、オリヴァーはずるずると沈み込む。不眠気味だったのも相まって、瞼がゆっくりと降りてきた。寝てはいけないと思っていても体は素直だった。

「オリー兄様?!」

 ぐらりと体をゆすられてオリヴァーは目を覚ます。湯はとっくに冷めていて、かなりの時間寝てしまっていたのだと悟る。

「風呂で寝るのは危険ですよ。それに体も冷めてるじゃないですか」

 ぼんやりと顔を上げるとアレクシスが心配そうにこちらを見ている。別れる前までは鎧姿だったのに、今は寝間着に近いラフな格好だ。どことなく石鹸の香りもする。よく見れば髪の毛も濡れていた。

「風呂……、入ったのか?」

 起こされたときは急ぎの用事でもあったのかと思ったが、わざわざ風呂に入る余裕まであったのだから来た理由が読めない。アレクシスはオリヴァーの問いに「え?!」と動揺する。ルドルフ絡みで悪いことでもあったのだろうか。例えば脱走したとか。そう考えたら一気に目が覚め、ガバッと立ち上がるとアレクシスも「うわ!」と驚いて半歩下がる。

「何かあったのか?」

「え! あ、いや、違うんです! 違うんです!!!! とりあえず服着てください!!!!!!」

 アレクシスは棚に置いてあったタオルを引っ張るとオリヴァーに背を向けてタオルを突き付けた。なんだか処女みたいな反応だな、と思いながらタオルを受け取り、オリヴァーは風呂から上がる。バシャ、と水の跳ねる音が響くとアレクシスは大げさに体を震わせる。
「――お前」
 オリヴァーが肩を掴むと、耳まで真っ赤になっているのが見えた。さすがにそんな反応をされれば、ここへ来た理由もうっすら分かってくる。けれど馬車の中で過去のことをほじくり返され、人でなしのようになじられたのは忘れていない。まあ、実際、人でなしなのだが。

「なあ、アレクシス」

「……はい」

「なんで俺の部屋に来たんだ?」

 オリヴァーが性格悪くにやにやと笑いながら尋ねると、顔を真っ赤にしたアレクシスが意を決したように振り返る。

「あなたを抱きに来ました」





 慣れていなさそうなアレクシスを揶揄って遊んでやろうと思っていたが、いざベッドの上で二人きりになって向き合うとこれまでにない緊張感がオリヴァーを襲った。逆に腹を括ったアレクシスは口づけをしながらオリヴァーを押し倒す。

「っ……」

 舌が絡められて肩に置かれていた手が頬を撫でて、それから耳へと移動していく。ただ耳朶を揉んでいるだけなのに、指が動くと下半身が疼く。口を塞がれているせいでうまく呼吸ができず苦しくてたまらない。なんてことのない愛撫をされているだけなのに、どうしてこんなに翻弄されているのか。オリヴァーは思わず、アレクシスの体を押してしまった。

「……大丈夫ですか?」

 心配そうというより怪訝な様子にオリヴァーはアレクシスを睨みつける。

「大丈夫そうに見えているなら、医者を呼ぶことを勧めるぞ」

「いや……、オリー兄様はこういうこと慣れてるでしょ?」

 この時折出現するデリカシーが消失した発言は何なのか。

「人をあばずれのように言うな」

 アレクシスは難しい顔をするだけで何も言わない。暗にではなく、あからさまに言葉を肯定している。それに対して不機嫌な顔をするとアレクシスはようやく口を開いた。

「俺だって我慢できないんですよ。止めないでください」

 かなり必死そうな顔でそう言うと、アレクシスはオリヴァーの首元に噛みついた。べろりと舐められ甘噛みされる。

「ん!? っ、やっ」

 正直なところ、男との性行為なんて痛いだけで気持ち良くないとずっと思っていた。だから今回もアレクシスがそれで喜ぶのなら、と自己犠牲の精神のようなものであったのに、気付けば下半身が反応していてアレクシスの腹部に触れている。身じろぎすると擦れて先から汁が溢れ出てきた。

「ちょっと触っただけなのに、気持ちいいんですか?」

「……は、あ?!?」

 アレクシスが視線を下に向けると、びく、と自分のモノが震える。

「俺がキスして、触っただけでこんなになるなんて、他の奴にはどんな顔を見せてたんですか」

 じろっと睨みつけられ、これまでの失礼すぎる発言は嫉妬から来ていたのだとオリヴァーは知る。そう思うとたった二歳だが年上の余裕を見せたくなるが、本音を言うと自分自身もこんなことは初めてで余裕なんて微塵もない。

「お前だけだ」

「……え?」

「俺がこんなになるのはお前だけだって言ってるんだよ!」

 恥ずかしくてそんなことを叫ぶと、アレクシスががばっと覆いかぶさってきた。


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