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オリビアはバレッタのことを何も気にしていない様子で助けると言った。
バレッタはその言葉だけで救われる。
リアムのことについて尋ね何か少しでも思いついたら話して欲しいと情報を求めた。
「リアム様は確か夜会のことをとても気にしていらっしゃいましたわ。なのにドレスを決める時は上の空…。きっとあの時にはもう姿を消すつもりだったのですね。特に3日目を意識していた様子…。でもお恥ずかしながらこれ以上は何も知らないのです。」
「いいえ。ありがとうございます。私はそろそろ行かなければなりません。必ず助けます。貴方のお父様もこの国の民も…」
オリビアは部屋を出ようとした時バレッタが声を出す。
「あのっウォールデン嬢…私のことはどうぞバレッタと…。」
「分かりましたわ。バレッタ様。私のこともどうぞオリビアとお呼びください。」
「ありがとう…ございます。私の知っているオリビア様とは別人のようですわ。お気をつけて…」
そしてオリビアは塔から出た。もう日が沈みかかっている時間。少し小走りで部屋に戻る。
仕上げを行い客人を向かい入れる。華やかに飾られた会場に煌びやかな装い。皇族主催の夜会は離縁宣言されたあの夜会以来。
離縁宣言を思い出すような会場なのにとても夜会とは思えないほど会話が交わされない。数ヶ月前に離縁宣言したフレデリックも今ではオリビアを支え愛情を注ぐ。
ここにいる全員がハロルドの洗脳を受けているのだろう。異常な光景だった。
形式な挨拶を作業のように交わす。その中にバレッタの父親ミッチェル伯爵の姿もあった。
貴族の令嬢は皇族への挨拶に婚約者または父親に同行してもらうことになっている。リアムが失踪し婚約破棄となったバレッタの付き添い人は必然的にミッチェル伯爵になるのだが、最初から居なかったように平然と立ち去って行った。バレッタの頬を叩いた自分の手を見つめ違和感を感じていた伯爵はもう居ないのかと悲しくなる。
しかしオリビアは思った。ハロルドの忠誠心より娘のバレッタを優先しようとしたミッチェル伯爵をハロルドが許すわけないと。
バレッタが洗脳されずに捕らえれている理由が分からなかった。なんの意味もない拘束。もしこれがハロルドの罰や実験だとしたら?
失礼な態度で話したバレッタへの罰はもちろん強い洗脳より親子の絆が勝つのかを試しているのかもしれない。なにしろハロルドは臆病で少しでも可能性があれば排除する。だから実験のようなものを行っているのかもしれない。
もしかすればミッチェル伯爵はバレッタのことを思い洗脳が解けるのでは…?と微かに希望を持ったが1日目の夜会は終了してしまった。
夜会終わった真夜中、密かに避けていた食べ物をバレッタに渡しに行く。何かが運び込まれた気配はあったものの頻繁には誰も訪れてない様子。
涙を流しながらバレッタは食べ物を口にした。
甘やかされて育ったバレッタは食事がいつ来るかも分からない1人っきりな状態に精神が壊れかけていた。後2.3日が限界だろう。そう思わせるほどに瞳は光を失っていた。
時間はどれだけあっても足りない。夜会での会話がない以上情報が飛び交わない。必要な情報は自分で動くしかなかった。だが今は目の前の怯えている令嬢を助けるのが先決だった。少しでも気を紛らわせる為に雑談を交わす。心が疲れているからかバレッタは叶わぬ恋について話し出した。
「私数年前からずっとリアム様をお慕いしておりました。でもやっぱり強制的に婚約させられた私相手には心を向けてはくれなかった。気付いていましたの。リアム様が何か別の目的があるってことを…。だって明らかに公爵家のご子息様方の婚約は異常でしたから…。なのにそんな状態でも好意を寄せている私に優しく接してくれて罪悪感も感じてくださっていたの…。私…気が付かないふりをしましたわ。だってこの気持ちは抑えきれるものではなかったから…。」
「バレッタ様…。」
「オリビア様にこんな話をしてしまうなんて本当に私は疲れているようですわ。お願いです。リアム様を救ってください。私がお願いするのはおかしな話ですが一応元婚約者ですから…一人で背負ってどこかへ行ってしまったリアム様をお救い出来るのはオリビア様…あなただけですわ…」
「リアムの事はもちろん貴方のお父様や帝国民全てを助けます。だからバレッタ様…今は休んで。大丈夫だから…」
涙を流してオリビアに頼み込んだバレッタは安心したのかそのまま眠りについた。目のクマもひどい様子で寝れていなかったのだろう。羽織れるものなどを渡してあげたかったが誰かが来ていたという証拠を残せない。でも眠っているバレッタの表情は少し救われたように笑みを浮かべていた。
バレッタはその言葉だけで救われる。
リアムのことについて尋ね何か少しでも思いついたら話して欲しいと情報を求めた。
「リアム様は確か夜会のことをとても気にしていらっしゃいましたわ。なのにドレスを決める時は上の空…。きっとあの時にはもう姿を消すつもりだったのですね。特に3日目を意識していた様子…。でもお恥ずかしながらこれ以上は何も知らないのです。」
「いいえ。ありがとうございます。私はそろそろ行かなければなりません。必ず助けます。貴方のお父様もこの国の民も…」
オリビアは部屋を出ようとした時バレッタが声を出す。
「あのっウォールデン嬢…私のことはどうぞバレッタと…。」
「分かりましたわ。バレッタ様。私のこともどうぞオリビアとお呼びください。」
「ありがとう…ございます。私の知っているオリビア様とは別人のようですわ。お気をつけて…」
そしてオリビアは塔から出た。もう日が沈みかかっている時間。少し小走りで部屋に戻る。
仕上げを行い客人を向かい入れる。華やかに飾られた会場に煌びやかな装い。皇族主催の夜会は離縁宣言されたあの夜会以来。
離縁宣言を思い出すような会場なのにとても夜会とは思えないほど会話が交わされない。数ヶ月前に離縁宣言したフレデリックも今ではオリビアを支え愛情を注ぐ。
ここにいる全員がハロルドの洗脳を受けているのだろう。異常な光景だった。
形式な挨拶を作業のように交わす。その中にバレッタの父親ミッチェル伯爵の姿もあった。
貴族の令嬢は皇族への挨拶に婚約者または父親に同行してもらうことになっている。リアムが失踪し婚約破棄となったバレッタの付き添い人は必然的にミッチェル伯爵になるのだが、最初から居なかったように平然と立ち去って行った。バレッタの頬を叩いた自分の手を見つめ違和感を感じていた伯爵はもう居ないのかと悲しくなる。
しかしオリビアは思った。ハロルドの忠誠心より娘のバレッタを優先しようとしたミッチェル伯爵をハロルドが許すわけないと。
バレッタが洗脳されずに捕らえれている理由が分からなかった。なんの意味もない拘束。もしこれがハロルドの罰や実験だとしたら?
失礼な態度で話したバレッタへの罰はもちろん強い洗脳より親子の絆が勝つのかを試しているのかもしれない。なにしろハロルドは臆病で少しでも可能性があれば排除する。だから実験のようなものを行っているのかもしれない。
もしかすればミッチェル伯爵はバレッタのことを思い洗脳が解けるのでは…?と微かに希望を持ったが1日目の夜会は終了してしまった。
夜会終わった真夜中、密かに避けていた食べ物をバレッタに渡しに行く。何かが運び込まれた気配はあったものの頻繁には誰も訪れてない様子。
涙を流しながらバレッタは食べ物を口にした。
甘やかされて育ったバレッタは食事がいつ来るかも分からない1人っきりな状態に精神が壊れかけていた。後2.3日が限界だろう。そう思わせるほどに瞳は光を失っていた。
時間はどれだけあっても足りない。夜会での会話がない以上情報が飛び交わない。必要な情報は自分で動くしかなかった。だが今は目の前の怯えている令嬢を助けるのが先決だった。少しでも気を紛らわせる為に雑談を交わす。心が疲れているからかバレッタは叶わぬ恋について話し出した。
「私数年前からずっとリアム様をお慕いしておりました。でもやっぱり強制的に婚約させられた私相手には心を向けてはくれなかった。気付いていましたの。リアム様が何か別の目的があるってことを…。だって明らかに公爵家のご子息様方の婚約は異常でしたから…。なのにそんな状態でも好意を寄せている私に優しく接してくれて罪悪感も感じてくださっていたの…。私…気が付かないふりをしましたわ。だってこの気持ちは抑えきれるものではなかったから…。」
「バレッタ様…。」
「オリビア様にこんな話をしてしまうなんて本当に私は疲れているようですわ。お願いです。リアム様を救ってください。私がお願いするのはおかしな話ですが一応元婚約者ですから…一人で背負ってどこかへ行ってしまったリアム様をお救い出来るのはオリビア様…あなただけですわ…」
「リアムの事はもちろん貴方のお父様や帝国民全てを助けます。だからバレッタ様…今は休んで。大丈夫だから…」
涙を流してオリビアに頼み込んだバレッタは安心したのかそのまま眠りについた。目のクマもひどい様子で寝れていなかったのだろう。羽織れるものなどを渡してあげたかったが誰かが来ていたという証拠を残せない。でも眠っているバレッタの表情は少し救われたように笑みを浮かべていた。
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