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10.友達

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昨日、自分の話をされていた事なんて全く知らずにリンは寮から教室にと普通に登校する。

昨日仲良くなったシノーラことシノと教室で話をしていた。そんな2人の所にカナリア様が駆け寄ってきた。

「おはよう!リンさん!シノーラさん!いきなりごめんね!昨日は色々迷惑かけて大変だったでしょ?!」

カナリア様が本当にいきなり話しかけてきた。ビックリして2人は固まる。周りもなんであの二人に話しかけているのと言わんばかりに3人を見る。

シノが慌てて話し出したのは凄い面白い光景で忘れられないほどに焦っていた。

シノーラ「うわわぁ~!!カナリア様!昨日はありがとうございます。助かりました。なんて言ったらいいのかわからないですけどありがとうございます」


カナリア「こっちがうわわぁ~よ!ビックリした、ってかカナリア様ってなに!!やめてよ!私そう呼ばれるの嫌いなの!」

コントでもやってるように息ぴったり。

シノーラ「じゃなんて読んだらいいの…。あっ。なんて読んだらいいですか!」

カナリア「敬語禁止!昨日リンさんが言ってた通り私たち同い年なのよ!そんな特別扱い嫌いなの!!カナリアでもカナでもなんでも呼んで!さっきシノって呼ばれてたよね?私もそう呼んでいい?」

シノーラ「わかりました。ちがっ…分かった。じゃカナちゃんって呼びます…。呼ぶ。はい!是非是非呼んで…。」

緊張で変な日本語で話すシノだが人見知りなのだろう。でもすぐなれると思う。でも緊張がリンにも伝わってそれがおかしくリンは微笑みながら二人を見ていた。

カナリア「よし!で。リンさんって呼ぶの面倒だし距離あるから呼び捨てでいくね!リン!」

リンって呼び捨てにされるのは距離が近くてそう呼ばれるのが好きなリンは喜んで返事をする。

リン「もちろん!呼び捨てでもなんでも呼んで!じゃ私は…カナ!カナって呼ばせてもらうね!」

カナリア「うん!なんかありがとうね。私のテンションに付き合ってくれて…。」

シノーラ「いえいえ、そんな滅相もない。あれ?」

リン「えっと、まずシノ?そのまず慣れようか、そんな緊張してたらカナも困惑するでしょ?」

シノーラ「そっか。そうだよね。ごめん。普通に出来るように頑張る、、」

カナリア「まぁ慣れるまでそのカタコトでもなんでもいいからさ!これからよろしくね!」

そのようすをクラスのみんなが見ていたのをリンは知っている。目線が痛かった。
昨日まで存在感がなかったのにいきなり崇めていた貴族様をとられて悔しがっているのだろう。同い年に崇められていたらカナもしんどいだろうな。と考えていたリンにさっきより小さな声でカナはこう言う。

カナリア「私と話していたら誰かになにか言われるかもしれない。トラブルとかにも巻き込まれるかもしれない。でもそんときは私にいってね!私が守るから!」

うん。とは頷いたが…なんか足でまとい感があって嫌だったのと、申し訳なさが凄かった。

そしてリンとシノは守られる側。貴族様だから強いし優しさで言ってくれたのだろうと思う反面、複雑な感情が残るリンだった。
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